6月16日に鎌倉三十三観音霊場巡りの結願を円覚寺で迎えました
去年の7月に杉本寺で発願したので
およそ1年かけて巡ったことになります
三十三観音巡りは
発願と結願以外の札所は順不同でもよいとされています
ガイドブックを見ると3日で巡るコースもあり
私は納経をしているので、やはり時間がかかりました
鎌倉のすぐ近くに住んでいるため
ゆっくり周ることが出来たのだと思います
円覚寺の門前に広がる白鷺池(びゃくろち)
名勝庭園に指定されている白鷺池ですが
そのど真ん中に明治22年に横須賀線の線路が開通
神霊に導かれた場所が〜
鎌倉観音霊場第三十三番
瑞鹿山(ずいろくさん)
円覚寺 ※鎌倉五山第二位
紅葉の季節ともなれば
鮮やかに総門が照らし出されます
中国から来日した無学祖元禅師
同じ北鎌倉の建長寺の開山・蘭渓道隆禅師に帰依していた8代執権北条時宗公は
師の死後、新たな高僧を探し求め
1279年、中国の僧・無学祖元禅師を日本へ呼び寄せました
この時時宗公は28歳
当時仏教(禅宗)は武士をまとめるツールの一つでした
中国から高僧を迎えることは必要だったのでしょう
選仏場(座禅道場)
無学祖元禅師の指導法は懇切丁寧で「老婆禅」ともいわれ
時宗公をはじめ多くの鎌倉武士の支持を得ました
煩悩を取り払うといわれている三門
夏目漱石の小説「門」の舞台にもなりました
三門の楼上には通常非公開である十一面観音、十二神将、十六羅漢が祀られています
国家の危機・元寇
仏殿(昭和39年に再建)
無学祖元禅師が来日する11年前(1268年)
モンゴル帝国の皇帝であるクビライ・ハンが
「従属せよ」という手紙を日本に送ってきました
国家の危機です
その年18歳だった時宗公は8代執権に就任
危機に備えてのことです
ものすごい重圧にさらされたでしょうね…しかも18歳
手紙が来て2年後
モンゴルの使節が再来日して武力侵攻を警告
その間手をこまねいていたわけではありません
ご本尊の宝冠釈迦如来像
・軍備増強(これ重要)
・敵国調伏
などを行いました
・調伏とは?
仏教用語。祈祷(きとう)によって悪魔・怨敵(おんてき)を下すこと。
(デジタル大辞泉より)
調伏のために建てられた寺社も全国にありますね
(例:将門公調伏…成田山新勝寺。故に神田明神の氏子は新勝寺は詣らないとされている。)
古代・中世では当たり前に行われていました
善悪はともかくとして
国家守護を第一とし、仏教はこのような役割も担っていたのでした
モンゴルからの警告はその後も続きましたが
一切無視
今の日本だったら考えられませんね
前田青邨監修、守屋多々志作「白龍図」
その間も時宗公は国内で自分に反対する勢力を粛清
執権がいかに権力を持っていたのかがわかりますね
日蓮上人が佐渡ヶ島に配流されたのもこの時でした
政治でも、宗教でも足並みを揃える必要がありました
ついに攻めてきたモンゴル軍
文永11年(1274年)モンゴル軍が日本に襲来(元寇)
従属を促す手紙が来て6年後のことでした
この時は激戦の末に撃退成功!
方丈前のビャクシン
しかし翌年
また使節がやってきて降伏を求めました(しつこいね)
方丈庭園
時宗公はなんとその使者を処刑してしまいます
これが平安の世ならモンゴルに侵略されていたかもしれませんね
武士政権だからこそ、ここまで軍事力に直結出来たのでしょう
弘安4年(1281年)に二度目の元寇がありますが
結果は皆さんご存知ですね
侵略されていたら今の日本は存在していません
時宗公は元寇からわずか3年後
32歳の若さで病死してしまいます
異国からの襲来という国難に対し
身も心も疲弊していたのではないでしょうか
時宗公が亡くなる2年前に建立された円覚寺
時宗公の墓所は円覚寺の塔頭寺院である佛日庵にあります
その佛日庵は
三十三観音巡りの結願の札所でもあります
早速向いましょう
時宗公御廟所・佛日庵
佛日庵はこじんまりとしたお寺で
四季を通じて様々な花を楽しめるお寺としても知られています
開基廟
この廟の下に時宗公のご遺体を安置したと言い伝えられています
廟所内には時宗公が禅の修業をしていたときに信仰していた十一面観音坐像と
北条時宗公、貞時公、高時公の各木像が安置されています
こちらではお抹茶と干菓子をいただけます
普段は長椅子に毛氈が敷かれ(この日は生憎雨)
そちらでお茶を喫することが出来ます
雨でしたが本堂の縁側でお抹茶を楽しんでいる人が何人かいました
紫陽花の季節は北鎌倉だと明月院に観光客が集まりますが
こちらでも素敵な紫陽花に出会えましたよ
しばしギャラリーをお楽しみください
これにて鎌倉三十三観音霊場巡りは
円覚寺をもって結願となりました
佛日庵では「おめでとうございます」と御朱印の受付の方に
声をかけていただきました
感慨深いな〜
これからもお天道様がいつも見ているという気持ちで
人生の酸いも甘いも楽しんでいきたいと思います
次回はグルメ編
よろしければどうぞ
これまでの鎌倉観音巡り
(上から古い順になっています)
鎌倉最古の杉本寺で発願
線路を渡ってゆく甘味屋さん
樹々に囲まれた昭和古民家カフェ
天空に近いバーガーショップ
谷奥の名庭とビーフシチュー
花の寺と体に優しい焼菓子屋さん
美しい火灯窓とバウムクーヘン
国師が求めた世界とガーデンカフェ
史上最高のクロワッサン
感動の長谷観音と絶品ハンバーグ
鎌倉のシンボル長谷大仏と鳩サブレー
鎌倉一美しい観音様に会いに
北鎌倉で観るべきお寺といえば
ゴジラ上陸を目撃したお寺
悲恋の物語とレトロな雑貨屋さん
踊る仏教と感動ポトフ
紅葉の明月院と北鎌倉フレンチ
新田義貞公ゆかりの寺と小町のビストロ
鎌倉で一番好きなお寺で喫茶去を
桜ほころぶ建長寺と海老真丈ランチ
平家ゆかりの品が残るお寺