(筑前国 小戸大神宮)




【古事記神話】本文 (~その33 筑紫の日向の小門の阿波岐原へ)




前回の記事では、伊邪那岐命は苦難の末に遂に!遂に!黄泉国を脱出完了!

さてこの後どうしたのでしょうか。


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【読み下し文】
是を以て伊邪那伎大神詔す 吾は伊那志許米 上 志許米伎 [此の九字以て音] 穢き(きたなき)國に而して在り祁理(けり) [此の二字以て音] 故に吾は御身之禊を爲さむと而して竺紫日向之の橘の小門(をと)之阿波岐 [此の三字以て音] 原に到り 而して禊祓ひたまひき


【大意】
伊邪那岐命は(黄泉国からなんとか逃げ出し)詔しました。「私はなんと醜い、醜い穢た(けがれた)国にいたものだろう。だから私は身の禊をしよう」と。そして筑紫の日向の小門の阿波岐原に行き禊祓えを行いました。


【補足】
◎さて…祝詞で唱えられる神話が遂に!

その祓詞をここで上げておきます。

『掛けまくも畏こき伊邪那岐大神 筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原に禊祓へ給ひしときに 成りませる祓戸大神等 諸々の禍事を罪穢有らむをば祓へ給ひ清め給へとまをすことを 聞こしめせと恐み恐みもまをす』

成りませた祓戸大神等は次回の記事にて。

◎「伊那志許米 志許米伎 穢き國に而して在り祁理」と。またずいぶんと酷い言い方をするものです。禊祓えの神話を創るためにこのように記したということでしょうが。

◎さて…「筑紫の日向の小門の阿波岐原」はどこなのでしょうか。
日向国の小戸神宮や江田神社(いずれも未参拝)、筑前国の小戸大神宮、阿波国の小門神社など多説ありますが、いずれももっともらしいもの。このうち阿波国は入植した忌部氏が、神話に基づく史跡や神社を次々と設けたのだろうと思いますが。

そもそも黄泉国を出雲とするなら、身の穢れた状態で何日もうろうろとはしないはず。一刻も早く祓いたいところ。あくまでも神話であるため何とも言いようのないところですが。





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