『自分の歌』

 

作:岡本太郎

 

 

 他人が笑おうが笑うまいが

 自分で自分の歌を歌えばいいんだよ。

 

 歌にかぎらず

 他人の判断ばかり気にしていては

 本当の人間としての責任がもてない。

 

 もし自分がヘマだったら、

 “ああ、おれはヘマだな”と思えばいい。

 

 もし弱い人間だったら、

 “ああよわいんだなあ”でいいじゃないか。

 

 

 岡本太郎(1911年 - 1996年)芸術家。大阪万博で創作された「太陽の塔」が有名。

絵画・立体作品を制作するかたわら、縄文時代や沖縄の美術を再評価するなど、文筆活動も精力的に行った。

雑誌やテレビなどのメディアにも多数出演し「芸術は爆発だ!」が流行語になる。

 

 

 

 

香薬のあじわい

 

 

 “年をとると、涙もろくなる” 

 という現象。

 

 ”心が弱くなって”涙が出るようになる、

 ということではなく、

 

 むしろ逆で、

 懸命に生きているうちに、

 色々な感性が育ち、

 

 その感度が、高くなるがゆえに、

 

 小さなことや、少しの情報でも、

 その奥にあることを想像し、

 察することが、できるようになり、

 

 結果・・・涙が出るようになる

 ということだと、私は思っています。

 

 (先日「チコちゃんに叱られる」を見てたら、

 加齢による脳の機能低下といってました...が、

 コホン!

 まぁ、ひとまず置いておくとします。笑)

 

 

 目には映らないものが、見えるようになり、

 心の声が聞こえるようになる。

 

 人間の成長にとって、大切なことだけど、

 

 気づくがゆえに、苦しくなる。

 切なくなる。

 愛しくなる。

 

 涙がでる。

 

 

 神さまはうまい。

 各個人に合わせたウイークポイントをつく。

 

 鍛えようもない、

 強くしようにも出来ない 心の隅をつく。

 

 だから、ある時から私は

 

 こらえても、流れ出てしまった涙は、

 “いたしかたない“

 ということにしました。

 

 たいがいの場合、大局に影響はなし(笑)

 

 涙は、弱さではない。

 

 人生を歩むのに、

 弱い強いの判断もいらない。

 

 弱い時も、強い時も、

 

 「自力で最後まで歩く」のだと、

 ”自分が”

 わかってさえいれば、いい。

 

 

 

『心の香薬』もくじ