『日本のさくら』

 

作:大木 実

 


 もういちど はじめから
 やり直そう
 そう思った
 さくらの花を仰ぎながら

 

 ボロの復員服を着て
 ボロ靴をはき
 南方帰りのぼくに
 日本の春は寒かった
 さくらの花だけが鮮やかだった

 家もなく
 金もないが
 いのちがある

 

 

 もういちど、そう思った
 あのときぼくは三十だった

 あの年のさくらのように
 さくらはことしも美しい

 ゆめのように
 希望のように
 梢に高く咲いている

 

 大木 実(1913 - 1996)詩人。10歳のとき関東大震災のため継母と弟妹を失った。

堀辰雄らの詩誌「四季」に寄稿、1942年同人となる。

素朴な一生活者としての人生の哀歓を歌い、人生的旅情を漂わせている。

 

 

 

 

香薬のあじわい


 

 この詩で、
 どれだけの人が救われただろう。
 
 悲しみや苦しみが続く、暗闇の時間。
 
 何度も何度も、もがいてみたけれど、
 抜け出せない現実。
 
 あと、どれだけ
 耐え続ければいいのか。
 
 未来も、夢も、考えられないほど、
 ボロボロに疲れ果てていたとき
 
 ふと目にした一文。
 
『 もういちど はじめからやりなおそう
 そう思った 』

 

 この詩の出だしの衝撃たるや。

 

 もういちど、

 はじめからやりなおす...だと?!

 

 どこを、どう叩いても、

 エネルギーなんか出て来やしない。

 

 落ちに、落ちた状態。

 

 でも、たしかに私には

 『 いのちがある 』

 

 命がある。

 

 

 人生一番の最悪を味わって

 

 その先に待っていたのは、

 

 冷たい闇への誘惑ではなく、

 

 暗い心の奥底を照らす、

 小さな種火だったとは...。

 

 

 どうやら、

 人間にそなわっている生命力は、

 思った以上に、潤沢で枯渇しないらしい。

 

 命がある

 

 いのちがある(笑)

 

 そう思えたら、なんだか笑えてきました。

 

 最強のカードをもっているのだと、

 今は信じよう。

 

 もういちどはじめから・・・


 

 

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