散る桜 残る桜も 散る桜
(良寛)
香薬のあじわい
やはり、
あの頃にはもどれない。
もどりようがないことが
起きたのだ。
時間が経てば経つほど、
破格だったと、強く実感させられます。
かすみがかっていた心の目が、
徐々に鮮明になり、
永久不変だと信じ込んでいた
自分に気づかされる。
不安とはなんでしょう。
予想を超えた展開。
いままでの経験が通用しない出来事。
先の時間が見えないこと。
途方に暮れる・・・。
でも
歩いて行かなくちゃいけない。
命があるのだから。
受け入れ難いことを飲み込んで、
歩き出すために、
私は「海を渡った」
と思うことにしています。
海を越えるときに
多くを失ったとしても、
漂着したこの新大陸で、
生きていかねばならぬのだと。
いずれ来る最後のその時まで、
今まで通りに、
心に灯を、ともし続けよう。
永遠の命など、
この世に一つもない。
だれもが散る桜。
そして、私も散る桜。
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