『言葉』

 

作:川崎 洋

 

 

 演奏を聴いていなくても

 人は

 ♪を耳の奥に甦えらせることができる

 

 言葉にしなくても

 一つの考えが

 人の心にあるように

 

 むしろ

 言葉に記すと

 世界はとたんに不確かになる

 

 私の「青」

 はあなたの「青」なのだろうか?

 

 あなたの「真実」は

 私の「真実」?

 

 

 

 川崎 洋(1930年-2004年)詩人、放送作家。「ジャンボ・アフリカ」の脚本で放送作家としてはじめて芸術選奨文部大臣賞を受賞。「風になりたい」「海の不思議」などNHK全国コンクールの作詞も担当。

 

 

 

 

香薬のあじわい

 

 

 ・三原色の一つ

 ・青系統の色をいうことば

 ・青信号の略

 ・つやのある黒馬の毛なみ

 ・年が若く未熟なこと

 

 角川国語辞典によると

 「青」には、

 そんな意味があるらしい。

 

  な~んて、

 客観的な視点を、引き合いに出して、

 言った気になっていますけど(笑)

 

 ”真摯に共感”しようとするなら、

 論理だけを引き合いに出しては、

 

 薄っぺらのペラペラ♪

 なんでしょうね。きっと。

 

 「間違ってはいないんだけどね・・・」

 になる可能性が高い。

 

 人間が持っている独特な質感(qualia

 というやつは、

 

 科学や論理だけでは表しきれない、

 もっと複雑で、深いものまで

 とらえる力をもっている。

 

 青と言いつつも、「遺伝子操作」とか

「火星の夕焼け」のことなのかもしれないし、

 

 もしかしたら、近未来の可能性までも

 含めているのかもしれない。

 

 同調しようと先走って、

 最大公約数で、

 ぼんやりと調子を合わせてみたり、

 

 適当な平均値で、

 核心をついた気になってしまうのは、

 

 悪い癖。

 

 わかってもらいたい、

 個性を尊重してもらいたい

 

 と自分も思うのなら、

 相手の見えない部分に敬意を払いながら、

 

 自分との共通点、

 異なる点を見いだして、

 

 関係性を丁寧に、

 大切に、つくっていきたい。

 

 

 

『心の香薬』もくじ