私は、さしあたってオリンピックには興味が無い。
例の“ぼったくり男爵”やら、利権目当てと名誉欲で開催をゴリ押しした前首相と現首相のおかげで、完全に興味は失せた。
とはいえ、出場するアスリートの皆さんには罪はない。
せめて、開催するならするで、出場する人たちのために、もっともっと良い環境を用意してあげられなかったものか。
7月26日に開催されたトライアスロン競技で、ゴールした選手が激しく嘔吐したことが、全世界に報じられた。
もともと会場となった東京湾の水質があまりに酷いと、かねてから問題視されていたのだそうだ。
2019年8月、同じ会場で行われた水泳オープンウオータースイミング(OWS)の五輪テスト大会で、参加した選手から「正直くさい。トイレみたいな臭いがする」と苦情が相次いでいた。
さかのぼれば2014年9月の港区議会定例会にて、榎本茂議員がこんな指摘をしていた。
(当時の議事録より引用)
「東京都下水道局では、平成24年度に簡易処理水と呼ぶ排出基準を満たさない未浄化の下水を180万7200立方メートル、実に東京ドーム15杯分(原文ママ)に相当する莫大な量を運河に放水しております。この放水を実際に目にすると、誰もが驚くのですが、焦げ茶色の汚水が濁流となって放水され、あっという間に運河は黄土色に変わり、高浜水門から運河の外へ流れ出し、レインボーブリッジ、お台場へと順次海の色を変えていきます」
(引用、ここまで)
このことについては、当時の「日刊ゲンダイDIGITAL」が詳しく報じてくれていた。
それによると、榎本議員は自身のホームページでも、
〈山手線エリアの内側のほぼ全域から(トイレや台所などの)汚水が、私たちの街に集められ、雨が降るたび茶色の「簡易処理水」として運河に放水されているのです〉
と、写真付きで警鐘を鳴らしていたとのこと。
榎本議員は、そのホームページのプロフィールによれば、
(引用)
港区の海が汚れるメカニズムを国の研究機関と共同で解明し、東京大学から水質検査機材の提供を受け、 自らの事務所を研究室として、独自に調査研究したデーターを基に行政に改善策を促し続けている。
(引用、終わり)
つまり、榎本議員は、ちゃんとした科学的なデータに基づいて問題点を指摘していたのだ。
また、榎本議員は、NPOの代表をしていた平成19年に、この同じ場所でカキを使った大規模な水質浄化実験を実施したことがあった。
しかし、宮城県から提供してもらったカキは、1年を待たずして死滅してしまったという。
原因の一つに挙げられたのが、毎月何度となく流れ込んでくる未浄化の生活排水であった。
このことを伝える当時の「日刊ゲンダイDIGITAL」は、記事の最後をこう締めくくっている。
(引用)
水質汚濁や富栄養化などを防ぐための浄化対策としても使われるカキが、1年も持たずに死滅し、雨が降った後は大量の黄土色の汚水が広がる海でなぜ、トライアスロン競技を強行する必要があるのか。一体誰のため、何のための五輪なのか、あらためて考えるべきだ。
(引用、終わり)
仮に、この汚水の問題がクリアされたとしても、もう一つ問題がある。
それは気候である。日本の夏は“高温多湿”であるため、この時期にオリンピックを開催するのは暑すぎるのではという指摘がかねてからあった。
ちなみに、57年前の1964年度東京オリンピックは10月開催だった。
今回の大会では、選手が熱中症で倒れたり、あまりの暑さに選手が悲鳴を上げたり、試合時間を夜に変更してほしいという要望も出た。
7月27日の「新潟日報」のコラム「日報抄」が、オリンピックが真夏の最も暑い時期に開催されることになった内幕を伝えている。
(引用)
五輪の真夏開催は、高額の放送権料を支払う米テレビ局の意向が大きいことはよく知られる。この季節はプロフットボールNFLなどの開幕前で、視聴者やCMスポンサーの獲得に有利なためだ
莫大(ばくだい)な赤字を税金で穴埋めした1976年モントリオール大会の反動で、後の商業化につながったという。自ら稼ぐことが求められるようになったとはいえ、現状はあまりに選手を犠牲にしていないか。
(引用、終わり)
今からでもオリンピックは中止するべきだ、という意見もある。
正直、私はその意見が正しいかどうか判断がつかない。
いったん始めてしまったものを途中で中止すると、これはこれで混乱によって思わぬアクシデントが起きるのではないかという不安があって、声高にオリンピック中止を主張できない自分がいる。
だが、現状では8月24日に開催予定のパラリンピックは中止した方がいいだろう。
(hamperiumによるPixabayからのフリー画像)
(注:この画像はこの度の東京オリンピックのものではありません)