濱口桂一郎さんという労働法の研究者をご存じでしょうか。EU労働法が専門だと思いますが、私もかつてILOに関していろいろ調べていた頃、論文や書籍にはお世話になりました。労働法全般に関してわかりやすい本をいくつも出しておられます。

 

 その濱口さん、福岡の神谷さんのことに強い関心をもっておられて、ブログでときどき取り上げています。最新のものが、「労働基準法上に「民主集中制」という概念は存在しない」です。是非ご覧ください。

 

 私の共産党除名撤回裁判は明日の午後2時15分から東京地裁第421号法廷です。午後6時15分から報告集会です。今回、憲法学者の意見書を提出することもあって、いつもより少し注目度が上がっているようです。では、明日、お会いしましょう。

 

 

 

 

 今月、私が本業の仕事で編集して刊行したのが「9条論に依存しない9条論」です。著者は柳澤協二(自衛隊を活かす会)、伊藤真(9条の会)、中野晃一(市民連合)の各氏です。

 

 この言い出しっぺは柳澤さん。9条の会などに呼ばれてお話しするのだが、ウクライナ戦争後、話がかみ合わなくなっていて、なんとかしないと思ったそうだんです。その思いを共有した伊藤さん、中野さんが呼応してくれました。

 

 その柳澤さん、昨日、「大竹まことのゴールデンラジオ」にゲストとして出演されました。本のことはあまり話題にできなかったと言っておられましたが、パートナーで出演していた阿佐ヶ谷姉妹が「絶賛発売中」と宣伝してくださったそうです。

 

 以下からご覧ください。

 

 

 

〈本日、今週15日の裁判に関して、以下のプレスリリースを報道各社に配りました。昨年3月7日に訴状を提出しましたが、それに対する答弁書(6月20日)において、被告・共産党は渋谷秀樹氏の学説を引用して、袴田最高裁判決が正しいことの根拠としていました。その渋谷氏が、原告である私の側に立って、共産党の除名が違法であるとの意見書を書いて下さいましたので、15日の裁判に提出するともに、メディアその他のみなさまにも記者会見、報告集会で説明します。ご参集下さい。以下、被告答弁書の該当箇所。〉

 

「政党は、『有権者の意見を吸収・集約し、パッケージとしての政策を提示して有権者の多数の支持を獲得して政権奪取を目指す『 有権者の意思を媒介する存在(渋谷秀樹『憲法』(第3版)(有斐閣)(538頁)』として重要なのである。袴田事件最高裁判決が、『国民がその政治的意思を国政に反映させ実現させるための最も有効な媒体であって、議会制民主主義を支える上においてきわめて重要な存在である 』とするのは、 以上の趣旨である。」(答弁書6ページ)

 

〈プレスリリース〉

 

「共産党松竹事件」

第5回期日(5月15日午2時15分〜、東京地裁第421号法廷)

及び進行協議(午後1時15分から開催)の結果のご報告について

205年5月12日 松竹伸幸

 

〈記者会見〉

 

日時:2025年5月15日(木)午後3時〜

 

会場:司法記者クラブ

 

お話:原告・松竹伸幸 弁護団・平裕介(団長)、佃克彦、伊藤建、堀田有大

 

〈一般向け報告会(メディアも参加可能)〉 

 

日時:2025年5月15日(木)午後6時15分〜

 

会場:日比谷図書文化館4階セミナールームA

 

お話:原告・松竹伸幸 弁護団・平裕介(団長)、佃克彦、伊藤建、堀田有大

 

連絡先:

 

趣旨:

提訴から1年余りが経過し、被告がようやく認否らしきものをしてきたので、少しかみ合った議論が開始されたところです。その局面で、裁判長が交代しましたので(貝阿弥亮氏から和久一彦氏へ)、新裁判長の訴訟指揮が注目されます。原告としては、新裁判長にも理解をして頂けるよう、今回期日では、被告の前回準備書面に反論しつつ、提訴以来の主張を総括的に口頭で述べることも重視します。

注目して頂きたいのは、今回、憲法学者の意見書を提出することです。政党の部分社会論に関する判例をめぐって司法の場に学者意見書が提出されるのは、おそらく初めてです。書いて下さったのは渋谷秀樹氏(立教大学名誉教授)と栗島智明氏(埼玉大学准教授)。被告共産党が昨年提出した答弁書において、自説を補強するために渋谷氏の学説を引用していましたが、今回、被告の原告に対する除名処分が違法であるという意見書を執筆していただきました。その基本点もお伝えします。

 先ほど、YouTube動画でアップしました。サブタイトルは、「『資本論』ゼミの視聴の仕方」。 5月10日午後2時から開催される志位氏の講義を取り上げて論評したものです。

 

 中身の論評は講義を聞いてからですが、ここに至る「赤旗」での取り上げ方が尋常でなかったので、それを論じたのです。2つの面で。

 

 1つは、この種のものを「赤旗」の党活動欄で宣伝する分には、「これは共産党固有のことだ」ですまされるので、まだ許されるのです。ところか今回、「政治面」(田村委員長が国会の記者会見でメディア相手にゼミの視聴を呼びかけた記事の掲載)から「国民運動面」まで、『資本論』ゼミの宣伝が載りました。

 

 『資本論』をどう解釈するかは、あくまで学問の領域のことです。自分の『資本論』に対する見解を持ち、それを公表するのは誰にでも自由ですが、共産党の党首が党のメディアを使って行う場合は、党首個人の見解なのに党の見解だと捉えられる危険性があるので、慎重でなければなりません。不破さんだってそれなりに慎重だったと思いますが、それでも『資本論』研究者には圧力となって、少なくない研究者が不信感を募らせました。志位氏の場合は、自分の見解をそのまま党の方針にしているので、真理の独占のようになってしまいます。

 

 それがなぜ「宮本顕治の領域」なのかは、動画をご覧ください。私が宮本氏の絶対性に苦労した話もしています。

 

 もう1つは、民青同盟がこのゼミの成功へ、キャンペーンを展開したそうです(4月27日から5月10日まで)。その中身がズレていると思います。

 

 それを紹介した「赤旗」(5月8日)の11面(国民運動面)の記事によると、街頭で青年に向かってシールボードでこう尋ねるそうです。「資本主義より共産主義によってよくなると思うこと」。

 

 共産主義のほうが「良い」ということを前提にして質問するのです。しかも、自由に答えられるのではなく、選択肢は以下のようなことで決まっているそうです。「格差と貧困」「労働時間の短縮」「気候危機」「福祉・教育」「生産力の発展」「多様性」等々の9項目。

 

 誰もが思う「独裁」とか「人権抑圧」とかは回答に出てこないようになっているわけです。こういうことで準備された講義が、果たしてどんなものになるのでしょうかね。