先ほど、YouTube動画でアップしました。サブタイトルは、「『資本論』ゼミの視聴の仕方」。 5月10日午後2時から開催される志位氏の講義を取り上げて論評したものです。
中身の論評は講義を聞いてからですが、ここに至る「赤旗」での取り上げ方が尋常でなかったので、それを論じたのです。2つの面で。
1つは、この種のものを「赤旗」の党活動欄で宣伝する分には、「これは共産党固有のことだ」ですまされるので、まだ許されるのです。ところか今回、「政治面」(田村委員長が国会の記者会見でメディア相手にゼミの視聴を呼びかけた記事の掲載)から「国民運動面」まで、『資本論』ゼミの宣伝が載りました。
『資本論』をどう解釈するかは、あくまで学問の領域のことです。自分の『資本論』に対する見解を持ち、それを公表するのは誰にでも自由ですが、共産党の党首が党のメディアを使って行う場合は、党首個人の見解なのに党の見解だと捉えられる危険性があるので、慎重でなければなりません。不破さんだってそれなりに慎重だったと思いますが、それでも『資本論』研究者には圧力となって、少なくない研究者が不信感を募らせました。志位氏の場合は、自分の見解をそのまま党の方針にしているので、真理の独占のようになってしまいます。
それがなぜ「宮本顕治の領域」なのかは、動画をご覧ください。私が宮本氏の絶対性に苦労した話もしています。
もう1つは、民青同盟がこのゼミの成功へ、キャンペーンを展開したそうです(4月27日から5月10日まで)。その中身がズレていると思います。
それを紹介した「赤旗」(5月8日)の11面(国民運動面)の記事によると、街頭で青年に向かってシールボードでこう尋ねるそうです。「資本主義より共産主義によってよくなると思うこと」。
共産主義のほうが「良い」ということを前提にして質問するのです。しかも、自由に答えられるのではなく、選択肢は以下のようなことで決まっているそうです。「格差と貧困」「労働時間の短縮」「気候危機」「福祉・教育」「生産力の発展」「多様性」等々の9項目。
誰もが思う「独裁」とか「人権抑圧」とかは回答に出てこないようになっているわけです。こういうことで準備された講義が、果たしてどんなものになるのでしょうかね。