ウィークエンド・シンデレラ ◇28 | 有限実践組-skipbeat-

有限実践組-skipbeat-

こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


※出版社様、著作者様とは一切関係がありません。
※無断での転載、二次加工、二次利用は拒断致します。
※二次創作に嫌悪感がある方はご遠慮ください。

 いつもありがとうございます、一葉です。

 弊宅閲覧者数・延べ50万人様を記念して、はるやまち様からお与かりした記念リクエストの最終話をお届け致します。


 オレンジカラー・ナンバリングは二部の意。

 前話こちら【101112131415161718192021222324252627


■ ウィークエンド・シンデレラ ◇28 ■





 その後の練習は順調で、面白いほど踊れるのでつい熱が入り過ぎ、しばしば社からストップが入るほど。文字通り、蓮とキョーコは集中していた。



 そんなある日の朝。朝食後に蓮が一枚の紙をキョーコに差し出した。

 その紙面をひと目見たキョーコはかなり本気で焦ってしまった。


 なぜならそれがまるで婚姻届けのようだったから。



「 最上さん、これ書いて? 」


「 はーい?なんですか、これ・・・・って、なんですか、これ?!なんですか、まさかまさか、まさか婚姻届けっていうヤツですかっ?! 」


「「 うん、違うから 」」


「 へぇっ?! 」


「 最も、最上さんのそういう顔が見たくてわざと何も言わずに差し出したんだけどね。・・・ぷっ!! 」


「 なっ!そういうのを意地悪って言うんですよ!じゃあこれは何の用紙なんですか 」


「 ヒートダンス選手権予選会に出場するための登録用紙だよ、キョーコちゃん 」


「 この婚姻届けもどきが? 」


「 そう。社交ダンスはペア参加するものでしょ。だからそういう仕様になったんだろうね 」


「 だからって訳じゃないけど、この世界ではペアになることを籍を入れるって表現したりするんだ。だから君が言った婚姻届け?・・・もあながち嘘ではないってこと 」


「 ちなみに今までは俺が書いていたんだけどね 」


「 社さんが? 」


「 そう。でも急にコイツがね 」


「 締め切りまでもう少しだなって考えたら急に自分で書きたくなっちゃったんだ。で、ついでに最上さんにも書いてもらおうかなって 」


「 ・・・なんだ。別にいいですよ、自分の分を書くぐらい、別に。自分が出場する訳だし。えっと、右側の欄を埋めればいいんですよね? 」


「 そう。妻になる人はそっち 」


「 っっっ??!! 」


「 違うだろ、蓮。キョーコちゃんも凝視しなくても大丈夫。その用紙は間違いなく出場申請用紙だから。パートナーのキョーコちゃんが右側、リーダーの蓮が左側ね 」


「 そう。婚姻届けと一緒だね 」


「 っっっ?!! 」


「 お前、茶々入れるな!!キョーコちゃんも何度も見返さなくても大丈夫だってば。それはちゃんと出場申請用紙だから。ただ俺がいない時に書くのは気を付けた方が良いよ。ある日うっかり本当に婚姻届けにサインさせられるかもだから 」


「 っっっ!!本当にそうですね!了解です。社さんがいらっしゃる時だけ書くことにします! 」


「 ・・・余計なことを 」


「 大事なことだろうが! 」



 なんて、3人で会話を楽しみ合いながら、ずっと前からこうしていたみたいだなと思った。

 少なくともいま、キョーコの心には一つのわだかまりも無かった。




 二週間後。

 蓮とキョーコは上位競技会であるヒートダンス選手権で準決勝に進出し、二人は見事にB級へ。そして本選で6位に入賞するという快挙を果たした。


 報奨として貸与された賞金は蓮と二人で折半。自分の分として10万円を手にしたキョーコは、この賞金で迷わず練習靴を買おうと思った。

 さらに上を目指すために。



「 でも敦賀さん。社さんのお言葉に甘えて二人で折半・・じゃなくて、せめて2万円ずつ出し合って社さんに渡しませんか? 」


「 そうだね。じゃ、控室で 」


「 はい、そうしましょう。所で、良かったです、今回は控室があって。いつぞやの競技会みたいに会場の隅っこで着替えろとか、廊下でお願いしますとか言われるのを覚悟していたからかなり安心しちゃいました 」


「 さすがにね。上位競技会の場合は参加人数も限られるからペアごとに控室が用意されるんだ 」


「 そういうことですか。だったら私、意地でも級を維持したいわ。ううん、むしろ今より上を目指したい 」


「 ・・・つまり、俺とA級を目指すってこと? 」


「 そういうことです 」


「 ・・・ありが・・・ 」


「 やあ、楽しみだな、その日が来るのが 」


「 っ!? 」


「 あなたは・・・ 」


「 敦賀さん、どなたですか? 」


「 俺達の初競技会で俺を見つけて、俺にインタビューしてきた人 」


「 !!つまり、この人が私をまぁまぁなパートナーだってご丁寧に書いてくださった人ってことですね? 」


「 あれぇ?あの記事、読んでくれたんだ。光栄だな 」


「 どうも初めまして。敦賀さんのまぁまぁなパートナーをさせていただいております、最上キョーコです 」


「 あはははは。なにこの子、面白いね。自分で言っちゃう? 」


「 本当のことなので 」


「 へー。俺は全然そんな風に思っていないんだけどね 」


「 何を今さら 」


「 本当だよ、最上キョーコさん。俺、メチャクチャ面白いなって思って、編集長に無茶なお願いしてあの記事を書かせてもらったの。だって敦賀くんね、過去に一度として朗らかにインタビューに応じてくれた事なんて無かったんだよ。その彼が俺の質問に対して、まーまー良いじゃないですか、なんて意図的にパートナーの話を濁しちゃうなんて面白くないはずが無いじゃん! 」


「 それっ!!やっぱり分かっていたんじゃないですか!だったらあの記事は何なんですか!! 」


「 うーん?それはぁ、君に協力してあげたんだよ。君が快くインタビューに応じてくれたからねっ 」


「 は? 」


「 だってそうでしょ?競技会場には浮気相手候補がわんさかいるんだよ。それは彼女だって例外じゃない。いつ、どこで、どんなリーダーに見止められて声を掛けられるかもしれない。特に上を目指せる女性は希少だしね。

 つまりそういう事だろう?あのとき君が俺の質問をはぐらかした理由って。それを察しちゃってああいう記事にしてみたんだよ。けどどっちにしろ競技をしている奴は気づくだろうから、ま、時間の問題だろうけどね。ガンバレ、敦賀くん!あはははは 」


「 ・・・・っっ 」


「 ところで最上キョーコさん 」


「 はい? 」


「 今、ちょっとでいいんでインタビューに応じてくれない? 」


「 はぁ。私でいいんですか 」


「 もちろん!俺はね、ダンス雑誌月間ブーストで未来のトップダンサーを発掘する先見の明を持った記者って言われるのが夢なんだ 」


「 ってことは、つまりまだ誰にもそう言われた事が無いんですね? 」


「 まあね。それは追い追い。君が敦賀くんと一緒にトップダンサーになってくれたら、いずれはそう呼ばれるようになるよ 」


「 それはまた壮大な他力本願加減で。そう言って色んな人にマイクを向けているのでは? 」


「 これが俺の仕事なんで。さて君に質問。君ってド素人だったわけだよね?そんな君が競技ダンスを始めたきっかけって? 」


「 きっかけ?……それは、掃除に入ったビルでたまたま敦賀さんと出会って・・・・あ、そうか!!敦賀さんに押し倒されたことがきっかけです! 」


「 ぶっ!!・・・え?敦賀くん、押し倒したの? 」


「 まぁ、結果的にそうなりました 」


「 え、どういう経緯でそんなことに?そこんとこ詳しく!! 」


「 蓮、キョーコちゃん!!控室の清掃がもうすぐ入るぞ。その恰好で帰るつもりか? 」


「 あ 」


「 社さん!!すみません、いま着替えます!! 」


「 あーらら、もうタイムリミット?ごめんね、引き留めちゃって。色々聞きたいけどしょうがない、じゃあもう一個だけ!君は、ダンスをしている自分をどう思う? 」


「 好きですよ。思いっきり体を動かすのってすごく気持ちが良いですしね。でもまさか、自分が競技ダンスをすることになるなんて一年前には思ってもいませんでした。もともと私は童話作家になるのが夢だったので。ちなみに夢は叶ったんですけどね 」




 でも、人生って色々なことが起こりますよね。

 あんなに憧れていた仕事に就けて最初は凄く嬉しかったはずなのに、私は全然ダメダメで。それを思い知るたびに自分がしてきたことや、そもそもの自分の過去が全て否定されている気がして毎日がすごくつらかった。


 ある日突然、狂おしいぐらいに嫌になった時もあったりして。

 今までのことが全て無駄だったんだって、泣き叫んだ日もありました。でもどうすることもできなくて、ただ惰性で生活していた。



 競技ダンスを始めたことは逃げのような気もしていた。でも、そんな経験をして来た自分がいま振り返って思うのは、そこがリスタート地点だったんじゃないかって思えるようになったこと。



 夢を叶えたその時の気持ちが冷めてしまった訳ではないんです。


 ただ、理想とのギャップや

 上手くいかない壁にぶち当たってしまったのは本当に辛かった。


 そうなってしまうとそこから立ち上がって更に先を目指すのは並大抵のことじゃないんです。



 でも幸いなことに私は自分の足元を見る機会が与えられた。

 そして次の一歩を違う方へ踏み出す導きを頂いた。

 だから案外迷わず、競技ダンスという新たなスタートを切ることが出来たのかなって。


 つまりそこが私の人生でのリスタート地点。


 誰だって何かの壁にぶつかる事はあると思うんです。そんなときは自分の足元を見つめて、そこを新たなスタート地点にすればいいのかもって、今は思います。


 そんな風に何度もリスタートを切っているうちに

 乗れたら加速できるし、疲れたら徐行すればいいし、何なら無理せず立ち止まってもいい。


 だって、スタートしたら必ずその道のゴールテープを切らなきゃいけないなんてルールはどこにもないんですもん。



 そうしていいのだと気づくことが出来れば、きっと

 いつか努力が報われて、シンデレラのように変身できちゃって幸せになれるのかもって。


 今はそう思ってます。

 つまり、ダンスを始めて本当に良かった!!



「 ・・・と輝く笑顔を放った彼女は、苦しかった絵本作家時代にはもう戻らないだろうと呟いた 」


「 そんなことどこに書いてあるんですか。そもそも私は童話作家を辞めたつもりもないですよ 」


「 あれ、そうだった?ところで最上さん。今度の週末はどうする? 」


「 どうするって、どうしたいんですか?ダンスの練習以外に何かやることってあります? 」


「 あるよ。ドレス選びだ。約束通り、スキップ・ビート選手権で俺が君をシンデレラにしてあげる 」


「 そうですか。じゃあ私は、敦賀さんを王子様にしてさしあげます 」



 これからは二人でともに手を取り合い

 互いに上を目指しましょう。


 






     E N D


こちらのリクエストは、全体的にキョーコ頑張れ!と応援できたり、キョーコが頑張ってるから自分も頑張ろうって思えたり出来る感じで、ほのぼのニマニマうふふ・・・と気楽に読める社交ダンスの世界を、ということで頂きました。ほのぼの?ニマニマ?うふふ?という疑問はこの際わきに置いといてください。


本当はその他にも色々細かく呟いてくださっていたんですけどね。例えば夜の帝王で好きな子に意地悪な蓮と、からかわれて真っ赤になるキョーコが好きだからそういうのが読みたいとか、優雅なワルツの王子様だったけど挫折した蓮と、地味でつまらない女からの脱却目指して社交ダンスを始めて蓮と出会うキョーコとかね。そういうのは全て盛り込むことが大体できないんですよ。構成時間と能力の関係でw


結局長くなり過ぎないように突き詰めてお話を構築していったらこんな風になりました。少しでも楽しんでいただけたのなら幸いです。



さて、本編は終わりなのですが、こちらのシリーズはこのあとおまけを数話お届けする予定です。これから書くんですけどね。そちらにもお付き合い頂けたら幸いです。どうぞよろしくお願いします。



⇒ウィークエンド・シンデレラ◇28・拍手

Please do not redistribute without my permission.無断転載禁止



◇有限実践組・主要リンク◇


有限実践組・総目次案内   

有限実践組アメンバー申請要項