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■ ふるいの中に残るもの ◇22 ■
こうなるなんて思ってもいなかったけど
それでもきっと私は心のどこかで少しの期待を抱いていた。
もしかしたら敦賀さんに抱かれることで
花開くように記憶が一気にフラッシュバックするかもしれない…と。
残念ながら何も思い出せなかったけれど。
「 キョーコ、どう?平気そう? 」
「 ……だと、思いま、す…… 」
その夜、敦賀さんは
最後まで紳士な姿勢を貫き通し、私を支配してくれた。
行為はあっという間だった気もするし
けれどそうじゃなかった気もする。
ただ、終わったあとはどこかふわふわした感じで、夢を見ている気分だった。
「 クス…もしかしたらまだ緊張しているとか?もう終わったよ。リラックスして 」
「 ……っ!! 」
そんなこと言われても
17歳の私自身は初体験だったんです。
気恥ずかしいし
照れくさいし
どうしたらいいのか判らない。
えっと
これってやっぱり、終わったあとは自分の部屋に戻るべき?
そう考えて、そろり、そろりと起き上がろうとしたら敦賀さんの腕に力がこもった。
そのままぎゅっと抱きしめられ
ふわふわ嬉しい気持ちに満たされる。
敦賀さんが私の頭に唇を寄せ
親指を行き来させる方法で私の頬を優しく撫でた。
「 ……俺、やっとキョーコに触れることが出来てちょっと落ち着いたかも 」
「 え? 」
「 我慢……していたんだよ、これでも 」
「 我慢? 」
「 していたんだ。君の記憶がなくなってからずっと 」
「 ……それって、つまり敦賀さんはずっとこれをしたかったって事ですか? 」
「 それ。言っておくけど、性的に欲求不満だったとかそういう事じゃないよ? 」
「 違うんですか? 」
「 違うよ。……こんな風に人肌に直接触れるのって簡単にできることじゃないだろ。お互いに相手のことを信頼して、信用して、心を開いた相手に対してじゃないと出来ない事じゃないか。
君は一日2回の俺からのハグを受け入れてくれたけど、でもそれはずっと俺が一方的に触れていただけだったから。だから余計に触れたいって欲求が募っていって……って、ごめん。こう言うと、詰まるところ欲求不満だったんだろって感じにしか聞こえないな 」
「 ………いえ 」
なんとなく
敦賀さんが言わんとしていることが
判る気がした。
そうよね。
敦賀さんからしてみたら
ある日突然、自分の彼女が別人になってしまった…って、そんな感じだったのでしょうし。
でも少なくとも私の気持ちはたぶん
17歳でも19歳でも変わりないだろうという自信があった。
このときの私は、まだ。
「 ところでキョーコ。気持ち悪くない?つわりは平気? 」
「 あ、はい、今は… 」
「 そう。良かった。でも君はしばらくのあいだ外出は禁止ね。下のスーパーなら行ってもいいけど 」
「 え、どうしてですか? 」
「 単純に君のことが心配だから。人によって差はあるみたいだけど、つわりってまだしばらく続く訳だろ。俺や社さんがそばに居たら何かあっても対処できるけど、現実問題として君が俺たちと一緒に行動するのは無理がある。だから 」
「 だからって、そんなの不健康じゃないですか。そんなのやだ 」
「 ダメだよ。一日中家の中に居たら息が詰まるだろうなって考えて下のスーパーだけは…って結論に達したんだから。下ならエレベーターで行き来が可能だからね。でも君は基本、安静に過ごさなきゃ。
そんな訳でストレス禁止、重い物を持つのも禁止、立ちっ放し禁止。乗り物は立ち続ける可能性があるから当然電車利用禁止。つまり外出禁止ってことで。
下のスーパーに行くときも階段昇降禁止。行き来は必ずエレベーターを使うこと。買った物が重い場合は後で届けてもらって 」
「 敦賀さん、そっちの方がストレスが溜まりそうな気がします! 」
「 少しの辛抱だと思って我慢して。行きたい場所があるならそれは俺が連れて行くから。思いついてすぐ行動は無理だけど、でも出来る限り君の希望に沿うようにするから 」
「 そんなの絶対ムリに決まっているじゃないですか!敦賀さんにそんな暇がある訳ないですし 」
「 なるべく頑張るから。適度なストレスで済むならそれで生活して欲しいんだ。君が心配だから、キョーコ 」
「 ……一つ確認しますけど、敦賀さん的、適度なストレスってどんなのですか 」
「 たとえば、開けたばかりのボックスティッシュを1枚取ろうとして、4~5枚ごそっと出て来ちゃったとか、その程度 」
「 ぷっ(笑) 」
「 そのぐらい、笑えるストレスで毎日を過ごして欲しいんだ、キョーコ。せめて安定期に入るまでは… 」
「 安定期って、いつからですか 」
「 16週。妊娠5ヶ月以降だって 」
「 ……そうですか 」
産ませる気満々だなぁって
改めて思った。
でも不思議と反発心は起きなくて
それは、17歳の私自身が
敦賀さんと肌を重ねたからかもしれなかった。
19歳の自分に対する嫉妬心が薄れ
敦賀さんからのまっすぐな愛情を感じている。
――――――― 俺は、ここで大切な存在は作れないんだ
テレジャパで
この人から聞いたあのセリフを思い出してしまうとやっぱり胸は疼くけど
少なくともいま私がそれを知っているように
19歳の私だって、それは承知の上だったはず。
それでもこういう関係になった、ということは
きっとこの先
私が知らないドラマがあったのだ。
「 キョーコ…っ… 」
「 わかりました。じゃあ私、少なくとも明日は一日かけてじっくり部屋の掃除でもしようと思います 」
「 それ、重いものは持ったらダメだよ? 」
「 大丈夫です。模様替えじゃなくて掃除ですから。おそうじ 」
「 うん、それならいいけど…。でも絶対に無理は… 」
「 しません!しませんから!! 」
「 約束だよ? 」
そう言って敦賀さんは両手で私の顔を包み、私の額にキスをした。
「 具合が悪くなったら横になるんだよ?くれぐれも無理はしないように 」
「 分かりましたってば 」
この時の私は
正直、満たされてしまっていた。
敦賀さんが言ったように
記憶はそのうち戻ってくるのだろうし、だったら焦らなくてもいいのかも…とさえ思い始めていたのだ。
けれど翌日
私は自分の荷物から
意外な物を発見する。
⇒◇23 に続く
蓮くんのセリフ、「ここで大切な存在は作れない」…の『存在』を、ヒトと素で読めるお嬢様はスキビ通!!( ̄▽ ̄)つう♡
⇒ふるいの中に残るもの◇22・拍手
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