ふるいの中に残るもの ◇4 | 有限実践組-skipbeat-

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 前話こちら⇒ふるいの中に残るもの<13>



■ ふるいの中に残るもの ◇4 ■





 ドレッサーはとてもエレガントなデザインで、ミラーの両サイドには光を集めたかのような4灯のLEDライトが付いていた。



 まるでヨーロッパクラッシックを思わせる白家具。

 その机上には、いかにも可愛い子ぶったメルヘンテイストなコスメキットが置いてある。


 もちろんそれすら私好み。



 鏡を覗き込んで今の自分の姿を知って

 驚いていた私の視界にあるものが飛び込んだ。



「 …なに、これ… 」



 コスメの後ろに、鏡に寄りかかるように真っ白な洋形封筒が立てかけられていた。


 封筒表面には私へ…と書かれていて

 その字は確かに自分のもの。


 思わず首を右に一回、大きく傾げた。



「 私宛て?…って、一体どういうこと? 」



 封はされていなかった。

 中身を確認すると入っていたのは白色の便せんが一枚のみ。


 封筒から三つ折りのそれを抜き去り、手紙を広げた。



 文面は親愛なる私へ…から始まっていて

 自分から自分に宛てたらしい手紙を読み進めるうち、私の顔はみるみる、しかめっ面に歪んでいった。




「 なっ…信じられない! 」



 手紙には

 こんな事が書かれてあった。






 ――――――― 親愛なる私へ



 たぶん、この手紙を一人で見ているものと思うけど、もし違うなら今すぐ一人になって読んで欲しい。

 でないと記憶を絶った意味がないから。




 そう。

 いま私の記憶が欠落しているのは、私がそれを望んだから。



 何故そうしたのか

 理由はいまここでは明かせない。



 その答えはそのままの私が

 誰の助けも借りずに自分で見つけて。



 それが私の望み。私が真実願うこと。



 一応言っておくけど、誰も何も知らないからね?



 ごめんね。本当は凄く悩んだ。悩んだ上でのことだった。


 いまもしかしたらスゴク怒っているのかな。

 でも私は信じてる。


 他ならぬ私が

 リミットまでにきちんと答えを見つけてくれることを






「 …はぁぁぁい!?答えってなんの答えよ?!問題が判らないのに答えを探せ?そんなの無理に決まっているじゃない!! 」



 まるで意味が判らない。

 当然と言えば当然だ。


 何しろ自分にはこの手紙を書いた記憶がないのだ。


 けれど字は確かに自分のものだった。



「 意味不明だわ、3年後の私!! 」



 文面にある通り、怒りがメラメラ燃えていた。



 これは一種の挑戦状だ、と思った。



 3年後の自分から

 いまの私に投げつけられた意味不明な挑戦状。



 そして手紙の最後。

 追伸…と書かれた一文を読んだ私の頭に一気に血が昇った。





 ――――――― 追伸。敦賀さんに八つ当たりするのは止めてね







「 はっ?八つ当たり?されるのはこっちの方だと思いますけど!??

 今までどれだけ私が煮え湯を飲まされたと思っているの?紳士な笑顔を振りまいて、親切心を押し付けて、いっつも私に毒舌を浴びせて私のことをやり込めてきたのは向こうの方でしょうが!敦賀蓮ってそういう男よ!! 」




 ただ、手紙を読んで妙に納得できた。

 それは記憶喪失となった自分の現状だ。


 我ながら不思議だったのだ。


 どうして自分はこんなにも平常心で居られるのだろうか、と。



 これはあくまでも私の見解だけど、一般的に記憶喪失になると、登場人物は誰もが一様に不安がる。


 自分が何者か判らない。

 自分の軌跡が判らない。


 それが不安で、自分という足元がおぼつかなくて、怖いらしい。


 けれど、私には不安そのものが全く無かった。



 それは

 自分が最上キョーコだと知っているせいかもしれないし


 あるいは

 少なくともいま16年間の生きた記憶が私にあるせいかもしれないと考えもしたけれど。



 なんてことはない。この状況を作ったのが他でもない自分自身だったからなのだ。

 それが、不安要素が生まれてこない本当の理由なのだろう。


 そこまで考えてハッとした。



 未来の私からの条件は、自分で答えを見つけること。

 さっきはその答えに至るための質問が判らないと言ったけど、なぜ自分が3年分の記憶欠落を望んだのか。


 その理由を探ればおのずと答えが出て来るのではないだろうか。




 私は慌てて居間に向かった。

 とにかく情報量が少なすぎると思った。


 自分のこと、周りのこと、様々な事を知らなければまず話にならない。



 あの人と会話なんて、本当はしたくなかったけれど。



「 でも、少なくともいまここで3年後の私を知っているのはあの人しか居ないのよ。だったら聞くしかないでしょう 」



 居間に戻ると敦賀さんは誰かと電話で話していた。



「 ……はい、はい。

 良かったです、連絡が取れて。そうですね、スケジュールを確認して……ええ… 」



 もしかしたらあの男性と連絡が取れた?

 だったら話は早いかも。



 電話を耳に当てたまま

 私に気付いた敦賀さんが、私を見て大きく一度頷いた。



 やった。

 やっぱりそうなんだ!



 いいわ。こうなったら絶対自分の力で答えを見つけてやろうじゃないの。



 このとき湧き上がってきたのは

 やってやるわ!…という、逆境に立ち向かうような闘争心だけだった。






 ⇒◇5 に続く


所で、6巻のACT.30の頃って、正確には何月のいつ頃だか、根拠ありで判るお嬢様がいらっしゃいますでしょうか…。

スキビ年表、持っていたはずなのだけど、どこかに行ってしまったぁぁぁ。



⇒ふるいの中に残るもの◇4・拍手

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