新春の、日本庭園・徳川園
徳川園の2023年(営業)は、1月2日から始まります。
1月2日、9:30の開場とともに入園しました。
庭園風景をまとめた卓上カレンダーと、飴(2個/ウサギの形、ミカン果実の形)をいただきました。
ありがとうございました。
ワラの三角屋根の中で、寒さに耐えようとがんばる、冬ボタンの花。
徳川園、ボタン園
冬ボタンの樹。
それぞれにワラの三角屋根屋を与えられ、厳しい寒さに耐えています。
徳川園、冬ボタン
美しい冬の命、冬ボタンの花姿。
2023年新春、日本庭園・徳川園は、1月2日9:30から始まりました。
大曽根門前に9:15分頃到着しました。
(JR大曽根駅から10分歩きました)。
開門は9:30です。
入口に並び、10番目くらいの位置。
最終的には、50名程が並んでいました。
冬ボタンの花を見ること、そして尾張万歳を見ること、2つの目的がありました。
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徳川園は、武家庭園(日本庭園)です。
名古屋駅から車で15~20分程の距離にあります。
JRの最寄り駅は大曽根(大曽根/中央腺で、名古屋から4駅目の駅)で、下車後徒歩10分程で園に着きます(バスなら、大曽根発の栄行きで2区乗車)。
平成16年に庭園として整備されました。
尾張徳川家の宝物を展示する徳川美術館が、隣接しています。
自宅から20分程の場所に、徳川園があります。
(自宅から徒歩8分+JR1区3分+降車後徒歩10分)。
庭園の花たちを楽しむため、そして隣接する美術館(徳川美術館)の展示を見に、折々訪れています。
小学生の頃(50~45年程前)、家も近かったので、この場所で遊んでいました。
園内に大きな池はなく(小さな池はあった)、どこでも見られる公園でした。驚くほどの変わり様です。
【徳川園について(公式サイト掲載文)】
徳川園は、徳川御三家筆頭である、尾張藩二代藩主光友が、元禄8年(1695年)に自らの造営による隠居所である大曽根屋敷に移り住んだことを起源としています。
当時の敷地は約13万坪(約44ha)の広大さで、庭園内の泉水には16挺立の舟を浮かべたと言われています。
光友の没後、この地は尾張藩家老職の成瀬、石河、渡邊三家に譲られましたが、明治22年(1889年)からは尾張徳川家の邸宅となりました。
昭和6年(1931年)、十九代当主義親から邸宅と庭園の寄付を受けた名古屋市は整備改修を行い、翌年「徳川園」が公開されました。
昭和20年(1945年)に大空襲により園内の大部分を焼失した後は一般的な公園として利用されてきましたが、平成16年秋に日本庭園としてリニューアルしました。
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冬 ボタン(冬牡丹/ボタン科 ボタン属 落葉小低木)
生薬名:ボタンピ(牡丹皮) ※通常は冬ボタンではなく、春に花咲くボタンの根皮を用います。
冬ボタンの美しい花姿、鮮やかな色調に、胸があたたかくなるように感じます。
しかしわたしには、この花を見ると、喜びとともに、哀しみの感情が浮かんでしまうのです。
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ボタンは通常(地植えの自然状態で)、4月半ばに花を咲かすものです。
しかし、1月頃に花を咲かせるボタンがあります。
これが、冬ボタン(冬牡丹)と呼ばれるもの。
自然にこうなったものではありません。
温室で調整栽培することで、寒風吹く1月に花を咲かせるようにしたのです。
新年近くに、彩りよい豪華な花姿を見たいと思うひとの欲望が、自然に逆行する姿勢を持ちました。
温室でボタンを栽培し花期を調整するもので、島根県・大根島での冬ボタン樹の栽培が有名です。
冬に花を咲かせる栽培方法は、『4℃で約50日間置き、その後15℃で10日程置く事で、ボタンの樹に「もう春が来たんだ」と勘違いさせ、花を咲かせる』といいます。
1~2月に花咲かせているボタンのほとんどが、この冬ボタン(冬牡丹)です。
(自然な状態で、1年に2度花を咲かせる、寒ボタンという希少な種が別にあります)
自然の摂理に逆らって花を咲かせているため、命は削られ、多くは1年で枯れるものが多いのです。
生き延びても、本来の春咲きに戻り、(自然栽培するなら)冬に花を咲かせる事は二度とないのです。
生命は、強さと弱さを併せ持ちながら、明日を目指すものです。
しかし、他に先駆けて咲く事を強要された生命は、いったいどんな思いを抱くのでしょう。
見る者にとっても、それは美しく、そして哀しい花姿です。
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◆ 冬ボタンとは異なる、寒ボタン(かんぼたん)という種があります。
寒ボタンという、希少な種があります。
1年に2度、春と秋に、花を咲かせる特徴があります。
自然の状態で、そうなります。
(庭園などでは、秋に咲く花が希少なので、春の花は、ツボミの段階で花を摘んでしまうことが多いものです)
冬ボタンは生育に時間がかかり、花を咲かせるまで10年程も待たなくてはなりません。
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◆ 春に花咲く通常のボタンを、薬にします。
生薬名:ボタンピ(牡丹皮) ※根の皮を用います。
ボタンの、根の皮を薬にします(根の芯の部分は引き抜いて用いない)。
乾燥させたそれには、独特の香りがあります。
鼻の奥が刺激される香り、春の香りが強い土とでも表現したら良いでしょうか。
ボタン根皮の有効成分が血中に入り、その熱を抑える働き。
(血の暴走を抑える ⇒ 具体的には、まずクールダウンに効き、そして血流正常化から「鎮痛」「止血」に役立ちます)
のぼせや、ストレスによる熱症状(あなたも、イライラしたときに顔が赤くなるでしょう?)に用います。
そして(走りすぎていた)血流を正常化するもので、「痛み(固定性の刺痛)」「出血(持続性の少量出血)」「腫瘤」を抑えます。
漢方薬では、ストレスによる精神不調(イライラ)を改善する加味逍遙散(かみしょうようさん)に配合されます。
血流促進し、チクチク痛(頭痛・生理痛)を治療する桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)に配合されます。
【 ボタンピ(牡丹皮) 性味:苦・辛、微寒 帰経:心・肝・腎 効能:清熱涼血、活血化瘀 】
【ボタンピが配合される漢方薬: 加味逍遙散、桂枝茯苓丸 】
冬ボタンの花 (品種名:黄冠)
冬ボタンの花 (品種名:島津紅)
冬ボタンの花
冬ボタンの花
ボタン園(徳川園、敷地内の北西部)の様子
冬ボタンの花
冬ボタンの花
徳川園、演じられた尾張万歳 ①
大曽根門前(園内)で、尾張万歳の口上がありました。
尾張万歳(おわり まんざい)は、新春の祝い行事です。
めでたい口上を話す・会話することで、新春の世に、福と笑いを運びます。
(テレビで毎日のように繰り返される、お笑いの漫才とは異なります)
この、おさんかたは、ご家族とのこと。
いつまでも、このように親子仲良くしていていただきたいもの。
また、長く尾張万歳を聞かせて欲しいものです。
⇒ 大晦日、厄払いの風習(三河万歳についてのコメントが最終部にあります)/2020年12月のブログ
徳川園、演じられた尾張万歳 ②
お父さん。
ご家族3名、詠って、踊って、大活躍です。
徳川園、演じられた尾張万歳 ③
可愛い、娘さん。
徳川園、演じられた尾張万歳 ④
りりしい、息子さん。
徳川園、演じられた尾張万歳 ⑤
徳川園、演じられた尾張万歳 ⑥
尾張万歳を見ようと、ひとが集まっています。
徳川園、紅葉残る風景
紅葉風景が、まだいくらか残っています。
徳川園、家族の風景
大きなコイに驚く、小さな女の子。
見守るご家族。
ナンテン(南天/メギ科 ナンテン属 常緑低木)
生薬名:ナンテンジツ(南天実) ※ナンテンの果実を用います。
赤い果実が、たわわ。
ナンテンの赤い彩りは、辺りを温かくしているように見えました。
またこの葉は、金色を含みます。
感じの良い葉の金と、果実の赤と、2色の彩り。
ナンテンは、『 難(なん)を転じ、幸運へと変える 』とされ、庭に植えられる事も多い植物です。
冬も落葉しない常緑低木(メギ科)。
半日陰も気にせず、折れた枝を無造作に地面に着き立てれば根付く、強い生命力を持ちます。
秋に赤く色付く丸い果実も(白果実のシロミノナンテンもある)、紅葉する葉も、美しいものです。
漢方処方に用いられる例を知りませんが、中国でも日本でも古くから民間薬として使われています。
若いかたは、ご存知ないかも知れません。
20~30年程前まででしょうか、ナンテン果実を配合した「ノド飴(赤い缶入りの、南天のど飴)」のTVコマーシャルが、繰り返し放送されていました。
そんな事から、「ナンテンはノド薬だ」と知られています。
果実5~10gを、600mlの水に入れ加熱、約半量になるまで煎じます。
出来た液を、1日3回に分けて服用します。
セキ止めに役立ちます。
カゼに、そして百日咳にも、用います。
葉を噛んでいると、乗り物酔いに良いと言われます。
ナンテンの花言葉は、「私の愛は増すばかり」です。
赤飯の上にナンテン葉を乗せる習慣がありますが、これは彩りを添える意味ばかりでなく、炊き上がった赤飯の熱と蒸気により葉から微量のシアン化水素が発生し、それが赤飯の腐敗を一定期間防ぐのです。
どなたかの実体験が、役立つ知識として延々伝えられて来たものなのでしょう。
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私は長い間、薬草販売の企業に勤めていました。
カゼが流行する冬場、ナンテン実の小分品500gの注文を、多くの薬屋さんからいただきました。
その際面白いと思うのは、「白ナンテンが欲しい」との要望が強い事です。
なぜなのか、記されている文献は見当たりません。
これは、「肺が属す色は白なので(五行色帯表の五色)、白色果実の方が薬効が高い」と、捉えたからだろうと理解しています。
民間薬事典には、「赤も白も、薬効に違いはない」と書かれています。
白ナンテン果実が高値なので、赤ナンテン果実を水に晒し脱色したものが市場に出ている事があります。
木部は、オウバク(黄柏/百草丸・陀羅尼助丸の主薬)を思わす鮮やかな黄色。
中国では当初枝や葉を止瀉薬として用いていました。
これは木部が黄色いため、その外観から「止瀉薬に良いオウバクと同薬効」と見立てたからでしょう。
止瀉薬としては十分な薬効がなかった事から、今はその用途には使われません。
セキ止めとして用いている現在、一般的には果実を煎じ(湯で煮る)、煎液を服用しています。
お子さんには、煎液にハチミツ(乳児はハチミツ禁忌、ポツりヌス菌があれば死んでしまうことがあります/身体の抵抗力がある乳児以上は、口にしても大丈夫です)や水飴を溶かし、飲みやすくして与えます。
【ナンテン(南天) 性味:酸・甘、平(有毒) 効能:止咳】
一度だけ 本当の恋が ありまして 南天の実が 知っております
(短歌、山崎方代 第三歌集「こおろぎ」より)
⇒ 新春の徳川園②(2023年 1月2日) に つづく
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来年1月、ズーム漢方講演会(無料)のお知らせ
テーマ
「冷え症の、漢方治療漢」
(血流不調の冷え性も、ストレス性の冷え性もあるのです)
1月 25日(水) 9:30~11:00頃
27日(金) 13:30~15:00頃
興味を持たれたかた、ご自身が冷え性で苦しんでおられるかた、どうかご聴講ください。
参加を希望されるかたは、 h-kato@matsuura-gp.co.jp へメール連絡ください。
(無料講演会であり、製品販売を勧めないものです。もちろん、販売を目的とするメール送付は行いません)
※1テーマで、100名超のかたに聴講いただいています(録画視聴者を含む)
※参加者では、一般のかたと医療資格者(登録販売者、薬剤師、医師)が、半数ずつです。
※指定の時間では(業務中などで)、参加することが出来ないかたは、録画視聴希望として、メール連絡をください。
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【 徳川園、過去のブログ/花風景 】
(2023年の、徳川園)
⇒1月2日の徳川園(新春、冬ボタンの花、そして尾張万歳)
(2022年の、徳川園)
⇒ 12月24日の徳川園(雪積もる風景)を みる
⇒ 12月18日の徳川園(まだ残る紅葉風景)を みる
⇒ 12月4日の徳川園(紅葉風景)を みる
⇒ 11月19日の徳川園(紅葉風景、赤い果実)を みる
⇒ 11月12日の徳川園(フジバカマ、源実朝も見た・詠んだ花)を みる
⇒ 11月8日の徳川園(カンボタン・寒牡丹)を みる
⇒ 10月29日の徳川園(カンボタン・寒牡丹)を みる
⇒ 10月23日の徳川園(カンボタン・寒牡丹) を みる
⇒ 10月16日の徳川園(キンモクセイ) をみる
⇒ 10月5日の徳川園(シモバシラの花) をみる
⇒ 9月25日の徳川園(ヒガンバナ、満開) をみる
⇒ 9月17日の徳川園(ヒガンバナ、3分咲き) をみる
⇒ 9月11日の徳川園(コムラサキ、キンミズヒキ) をみる
⇒ 9月4日の徳川園(クラッシック音楽会) をみる
⇒ 6月11日の徳川園(ハナショウブ) をみる
⇒ 5月4日の徳川園(美しきシャクヤク、子どもの日の軒菖蒲・のきしょうぶ) をみる
⇒ 4月24日の徳川園①(シャクヤクの花)を みる
⇒ 4月16日の徳川園①(ボタンの花)を みる
⇒ 3月27日の徳川園①(春空を目指して咲くアンズ)を みる
⇒ 3月5日の徳川園(開き始めた春の花 ウメ・マンサク・オウバイなど)を みる
⇒ 2月20日の徳川園(冬ボタン展示の最終日に) を みる
⇒ 2月11日の徳川園(開き始めた春花・フクジュソウなど) を みる
⇒ 1月29日の徳川園(冬ボタンのはな) を みる
⇒ 1月15日の徳川園(冬ボタンのはな) を みる
⇒ 1月11日の徳川園(園で見られた、3つの美しいもの) を みる
⇒ 1月4日の徳川園(冬ボタンの花、美しく哀しい花) を みる
(2021年の、徳川園)
⇒ 12月5日の徳川園(紅葉、この心高ぶるもの) を みる
⇒ 11月28日の徳川園(紅き野に思ふ) を みる
⇒ 11月13日の徳川園(紅葉の日本庭園は、自然の宝石箱) を みる
⇒ 11月6日の徳川園(千両・万両、両手に受けて) を みる
⇒ 10月23日の徳川園(美しく咲くツワブキ、つややかなサンシュユ果実) を みる
⇒ 10月17日の徳川園(ツリバナの果実の美しさ) を みる
⇒ 10月10日の徳川園(寒ボタンの美しい花姿) を みる
⇒ 10月2日の徳川園(シュウカイドウ・スイレンの美しさ、武家装束展) を みる
⇒ 9月18日 血潮の色のヒガンバナ(2021年徳川園) を みる
⇒ 8月21日 カブトムシの唄、秋の花咲く(2021年 徳川園) を みる
⇒ 8月1日 カノコユリ、そしてホトトギス(2021年 徳川園) を みる
⇒ 8月1日 タカサゴユリ、そしてシュウカイドウ(2021年 徳川園) を みる
⇒ 7月25日 刀剣乱舞の世界・徳川美術館(2021年 徳川園) を みる
⇒ 7月13日 夕刻に見た花たち(2021年 徳川園) を みる
⇒ 6月15日 ハナショウブと和傘の光景、そして刀剣乱舞 (2021年 徳川園) を みる
⇒ 5月8日 スイレンやショウブなど、水辺の花(2021年 徳川園) を みる
⇒ 4月26日 鯉のぼりと、ボタンなど、春の花(2021年 徳川園) を みる
⇒ 4月11日 咲き競うボタンの花に(2021年 徳川園)を みる
⇒ 3月28日 ツバキなどの花(2021年 徳川園) を みる
⇒ 2月21日 冬ボタンの花(2021年 徳川園) を みる
⇒ 2月9日 ウメやボケの花(2021年 徳川園) を みる
⇒ 1月9日 冬ボタンの花(2021年 徳川園) を みる
(2020年の、徳川園)
⇒ 12月19日 サザンカの花、赤い果実たち(2020年 徳川園) を みる
⇒ 11月2日 寒ボタンの花(2020年 徳川園) を みる