セミ センタイ(徳川園 加藤久幸)

夏が行く、アブラゼミがいる風景

 名古屋では、私の子どもの頃に比べ、アブラゼミが驚くほど減っています。

 (子どもとのセミ取りで体感しました/今から4~5年前の話です)

 その代わり、クマゼミが増えました。

 

 子どものころ(45~50年前)、クマゼミはまだ名古屋に少なく、それを捕えた時は、近くにいる子たちに自慢することが出来るほどでした。

 オスの腹裏にある発声器官のオレンジ色が、とても美しいと感じました。

 

 クマゼミは、羽が透明な、比較的大形のセミです。アブラゼミより大きいです。

 もともと西日本地域に分布していましたが、温暖化によって東進し、もともと見られなかったという関東方面でも、増えていると聞きます。

 

 セミは鳥類を天敵とします。

 鳥たちはこの時期、セミを食べているのです。

 

 アブラゼミは鳥に食べられやすいのですが、それは、敵に見つかってもすぐに飛び立たず、樹を歩いて移動して逃げようとするためです。
 樹のまばらな都会では、それでは逃げ切れず食べられてしまいやすいのです。それに比べて、クマゼミは敵に見つかると飛んで逃げようとするため、都会部での生存率が高まります。

 

 

 徳川園 龍仙湖(徳川園 加藤久幸)

徳川園・龍仙湖の風景。建物は観月楼

徳川園は、住宅地のなかにある日本庭園です。武家庭園です。

大きな湖は、龍仙湖。

夏の時期は、心地よい涼やかさを感じます。

 

 

 ボタン園(徳川園 加藤久幸)

ボタン園

2~3月(冬ボタン、寒ボタン)、4月には、美しい花を見せてくれた徳川園のボタン園

 

 

 

 2021年8月1日、午後2時半頃に、日本庭園・徳川園(名古屋市 東区)に入場しました。

 このところ徳川園を訪れるのは、午後からの訪問ばかりです。

 

 それは、夏休みになって、中学生の娘の勉強を見ているからです。

 家庭内の、夏期講習です。

《英語の前置詞・不定詞を勉強しています。英単語の口頭試問をしていた時、“フーは、どういう意味ですか?”と質問しましたら、“誰”と答えるので、ブブーッ と返しました。答えは、お父さんの ため息。》

 

 

 

 徳川園は、武家庭園(日本庭園)です。

 名古屋駅から車で15~20分程の距離にあります。

 JRの最寄り駅は大曽根(大曽根/中央腺で、名古屋から4駅目の駅)で、下車後徒歩10分程で園に着きます(バスなら、大曽根発の栄行きで2区乗車)。

 平成16年に庭園として整備されました。尾張徳川家の宝物を展示する徳川美術館が、隣接しています。

 

 自宅から20分程の場所に、徳川園があります(自宅から徒歩8分+JR1区3分+降車後徒歩10分)。

 庭園の花たちを楽しむため、そして隣接する美術館(徳川美術館)の展示を見に、折々訪れています。

 

 小学生の頃(50~45年程前)、家も近かったので、この場所で遊んでいました。

園内に大きな池はなく(小さな池はあった)、どこでも見られる公園でした。驚くほどの変わり様です。

 

 

【徳川園について(公式サイト掲載文)】

 徳川園は、徳川御三家筆頭である、尾張藩二代藩主光友が、元禄8年(1695年)に自らの造営による隠居所である大曽根屋敷に移り住んだことを起源としています。

 当時の敷地は約13万坪(約44ha)の広大さで、庭園内の泉水には16挺立の舟を浮かべたと言われています。

 光友の没後、この地は尾張藩家老職の成瀬、石河、渡邊三家に譲られましたが、明治22年(1889年)からは尾張徳川家の邸宅となりました。

 昭和6年(1931年)、十九代当主義親から邸宅と庭園の寄付を受けた名古屋市は整備改修を行い、翌年「徳川園」が公開されました。

 昭和20年(1945年)に大空襲により園内の大部分を焼失した後は一般的な公園として利用されてきましたが、平成16年秋に日本庭園としてリニューアルしました。

 

 

 

 

 

 

 

セミ センタイ(徳川園 加藤久幸)

昆虫 アブラセミ(油蝉)   

※生薬名:センタイ(蝉退)  ※セミの抜け殻   

 

 7月頃に始まるセミの鳴き声が、夏の暑さを運んで来るようです。

 

 アブラゼミの「ジジジジジ」という鳴き声が、油で揚げる音を思わせるので、この名がつきました。

 寿命はごく短いと思われていましたが、調査によると1カ月程生きるようです(調査での最長寿命、アブラゼミ32日・ツクツクボウシが26日・クマゼミ15日)。

 

 セミの抜殻を、ノドの炎症・皮膚の炎症(かゆみ)の治療に用います。

 漢方薬に実際に使われていて、皮膚病治療に用いられる消風散(しょうふうさん)に配合されています。

 

※セミの抜け殻を薬として用い、センタイ(蝉退)と呼びます。

【センタイ(蝉退)  性味:甘、寒  帰経:肺・肝  効能:解表・透疹・止痒・退〇・止痒】

【センタイを用いた漢方薬:  消風散(しょうふさん)など】

 

 

セミ センタイ(徳川園 加藤久幸)

セミの鳴く風景

 

 

 

 

 

 

 

タカサゴユリ(徳川園 加藤久幸)

タカサゴユリ(高砂百合/ユリ科 ユリ属 多年草)

 細長いロート、もしくはトランペットを思わせる形の、白いユリです。

 たたずまいが美しい花です。

 

 台湾原産のユリで、日本には1924年に入った来た帰化植物とされます。

 台湾の古称「高砂国(たかさごこく)」を、名称に使っています。

 原産地の台湾では、このタカサゴユリ(高砂百合)や、タイワンユリ(台湾百合)と、呼ばれます。

 

 高速道路ののり面などで、大群生を見ることもありますが、連絡障害が出やすい種とされ、いつか一斉に旅立つイメージで、その場所から姿を消すことがあります。

 

 

タカサゴユリ(徳川園 加藤久幸)

観月楼を背景に、タカサゴユリの美しい立ち姿

 

 

タカサゴユリ(徳川園 加藤久幸)

タカサゴユリの花

 

 

 

 

 

 

 

シュウカイドウ(徳川園 加藤久幸)

シュウカイドウ(秋海棠/シュウカイドウ科 シュウカイドウ属 多年草・球根植物)

 「秋」の名がつくシュウカイドウが、美しく咲いています。

 暑さの中で、秋の命は生まれ始めるのですね。

 (シュウカイドウは、俳句では秋の季語)

 

 シュウカイドウは、中国大陸・マレー半島に分布する植物。

 日本には江戸時代に園芸用として持ち込まれた、帰化植物です。

 

 湿気が多く、(直射日光では温度が上がり過ぎるのですが)明るい場所を好みます。九州以北では、定着し野生化しています。

 同属の多くの種が栽培され、それらはベゴニアの名で呼ばれています。

 (シュウカイドウは、ベゴニアとは呼ばれません)

 

 別名として、相思草、断腸花などとも呼ばれることがあります。

 そんな名を知ると、何か深い物語が隠れていそうな気がします。

 

 

シュウカイドウ(徳川園 加藤久幸)

シュウカイドウの花

 

 

 

 

 

 

 

(徳川園 加藤久幸)

茶室脇の小径

 

 

(徳川園 加藤久幸)

茶室脇の小径で見た、せせらぎの中のカエデ落葉

 

 

 (徳川園 加藤久幸)

茶室へ通じる路

 

 

 (徳川園 加藤久幸)

茶室・瑞龍亭(園の西側にある)

 

 

 (徳川園 加藤久幸)

茶室・瑞龍亭からの風景

この場所はもともと平坦でした。造成工事で土を盛ったので、眺めが良い高台に変わりました。

 

 

 

 

 

 

 

 スイレン(徳川園 加藤久幸)

スイレン(睡蓮/スイレン科 スイレン属 水生多年草)

 スイレンは、美しい花ですね。

 じっと見つめてしまいます。

 スイレンの花を描いた、モネの名画が思い浮かびます。

 

 日本ではスイレン属植物は、ヒツジグサ(未草)しかありませんでした。

 今見られるスイレン(睡蓮)は、幾つかの野生種を交配させたり、品種改良させたりして産み出されたものです。

 日本では明治時代に外来種が入れられ、スイレンの栽培が始まりました。

 

※   オニバス(スイレン科の水生一年草)の成熟した種子の仁

【ケンジツ(実)  性味:甘・渋、平  帰経:脾・腎  効能:健脾・止瀉・補腎・固精

【ケンジツを配合した漢方薬: 金鎖固精丸(きんさ こせいがん) 】

 

 

スイレン(徳川園 加藤久幸)

スイレンの花

美術館側の出入口すぐ、龍門の瀧の上の池に、花が咲いていました。

 

 

モネのスイレン 東京上野

モネの スイレン

上野 国立西洋美術館「松方コレクション展」で。

痛んでしまった、モネの睡蓮の絵。

(2020年1月/撮影可能なものを撮りました)

 

 

モネのスイレン 東京上野

モネの スイレン

上野 国立西洋美術館「松方コレクション展」で。

(2020年1月/撮影可能なものを撮りました)

 

 

 

 

 

 

 

サザンカ(徳川園 加藤久幸)

サザンカ(山茶花/ツバキ科 ツバキ属 常緑広葉樹)

 サザンカの果実が、大きくなっていました。直径5cm程です。

 表面はつやつや、硬いものですが、絞れば、ツバキの果実・種と同じように、油をとることが出来ます。

 

 品種改良されたもの(園芸種)は寒さに強いのですが、もともとサザンカは、寒さに特に強いものではありません。

 ツボミが強い寒さにあたれば、開かずに落花してしまうことがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 ソテツ(徳川園 加藤久幸)

ソテツ(蘇鉄/ソテツ科 ソテツ属)

 ソテツの花が咲いていました。これは、雄花です。

 

 ソテツは、自然分布では日本列島の固有種です。

 九州南端や南西諸島で見られ、現在は台湾や中国大陸南部でも見られます。海岸近くの岩場に生育する事の多い、常緑低木です。

 樹が弱った時、鉄釘を幹に打ち込むと蘇るという伝承から、この名がつきました。

 

 宮崎市を定期的に業務(漢方講演会の講師)で訪れていましたが、「鬼の洗濯岩」の名所である青島では、砂浜に出ていた店で、ソテツの実で出来たお守りと、美しい貝殻を買いました。

 貝殻は、子どもへのおみやげにしました。

 

 

ソテツ(徳川園 加藤久幸)

ソテツの花

 

 

ソテツ(徳川園 加藤久幸)

ソテツの花

3本のソテツの木、左の株に花が咲いています。

 

 

ソテツの実のお守り 難を去る

ソテツの実で出来たお守り(ソテツの鈴)

青島(宮崎県)の砂浜に出ていた露店では、「ソテツの鈴」の名で売られていました。おサルさんのシールが貼られ、南男猿(なんおさる)の名が付けられている事もあるそうです。それは、「難を去る(なんをさる)」の掛詞(かけことば)で、お守りにされます。

 

 

ソテツのお守り、販売風景(宮崎県 青島)

 

 

青島(宮崎県)の風景①

島の対岸です。(画面に島は見えていません)

 

 

青島(宮崎県)の風景②

島へ渡る150mほどの橋の画像。正面が青島です。

 

 

青島の岩の様子

青島(宮崎県)の風景③

 

 

青島(宮崎県)の風景④

青島の中央部にある、青島神社。春のキャンプで訪れる読売ジャイアンツの選手が毎年参拝され、個々の活躍と、チームの優勝を祈願します。

 

 

 

 

 

 

 

 ヤブラン(徳川園 加藤久幸)

ヤブラン(藪蘭/キジカクシ科 ヤブラン属 多年草)  ※リリオペや、サマームスカリと呼ばれることがあります。

 

 徳川園ではヤブランの花がいくつか見られました。花期としては、もう終わり頃です。

 

 ヤブランは、東アジアに見られる植物。花色は、薄フジ色~濃紫青色です。さわやかな青空の色です。

 

 公園の植え込みにされるため(冬でも枯れないので、グランドカバーにされます)、植物に興味のないかたも、この花は目にしていることが多いです。

 

 葉はとがった長い剣のよう、花穂は20~40cmほどで、そこには淡紫色の小さな花が30以上も咲いています。

 秋に、それは多数の丸い果実になります。直径1cmほどで、秋には緑、冬には黒色(紫黒色)に、色づきます。

 

 根の途中が肥大化し、そこを肺の機能亢進に用いるバクモンドウ(麦門冬/ジャノヒゲの根の途中の肥大部)の、代用に出来るとされます(現在、用いられないと言って良い状態)。

 

 しかし代用というのは、本家(バクモンドウ)の薬効より、作用が落ちるということです。

 

 

 

 

 

 

 

 サルスベリ(徳川園 加藤久幸)

サルスベリ(百日紅、猿滑/ミソハギ科 サルスベリ属 落葉中高木)

 

 サルスベリは夏に咲く花、赤・ピンク・白など、様々な花色があります。

 

 樹皮じゃコルク層がはがれて、皮そのものがない、すべすべした外見になります。

 それは見た目、誰かに樹皮をはがされてしまったような状態です。

 

 「この樹皮では、猿も(滑ってしまい)うまく樹上を移動できないだろう。」という意味から、サルスベリの名になっています。中国南部の原産です。

 

 この花を見ると、夏の思い出が蘇ります。

 今は遠いあのひとと一緒に過ごした、忘れられない夏。

 

 

 

 

 

 

 

 サンシュユ(徳川園 加藤久幸)

サンシュユ(山茱萸/ミズキ科 ミズキ属)

生薬名:サンシュユ(山茱萸)  ※果実

 

 サンシュユの果実がなっています。

今はまだ緑色ですが、これから熟してツヤツヤの赤になります。

 その赤くつややかな果実を薬とするため、江戸時代に大陸から運ばれ、日本に定着しました。

(もともと日本では見られない植物でした)

 

 秋には赤いつややかな果実が鈴なりになるのが好まれ、春には枝一杯に黄色い咲く花が好まれ(ハルコガネの別名がある)、観賞用樹として、今も各地で目にすることがあります。

 

 赤くつややかな果実は、見た目、甘くておいしそうなのです。

 しかし食べると甘味はほとんどなく、酸味と渋味が強いものです。

 その酸味・渋味で、身体からの「(体液の)漏れ」を防ぎます。それは、消耗を防ぐ意味を持ちます。

 

【サンシュユ(山茱萸) 性味:酸・渋、微温  帰経:肝・腎  効能:補肝腎・補陰・固精・止汗

【サンシュウを含んだ漢方薬:六味地黄丸(ろくみじおうがん)、八味地黄丸(はちみじおうがん)

 

 

 

 

 

 

 

ソヨゴ (徳川園 加藤久幸)

ソヨゴ(戦、冬青/モチノキ科 モチノキ属 常緑小高木)

 吹く風に、その葉がそよぐ(戦ぐ)。その時、特徴的なザワザワという音を立てるので、ソヨゴの名がついたとされます。

 

 日本(本州中部西・四国・九州)・中国・台湾に自然分布する植物、雌雄異株です。

寒さや日陰にも強いので公園樹や庭木として植栽され(成長が遅いのでそれが好まれることもある)、硬い木材はソロバン珠やクシの材料として使われています。

 

葉にはタンニンが多く含まれ、褐色の染料としても使うことが出来ます。

(モチノキのように、樹皮を水にさらし、トリモチを作ることも出来ます)

 

 

 

⇒ 徳川園 8月1日の花②(カノコユリ、ホトトギス など) に つづく

 

 ⇒  徳川美術館(展示会・家康から義直へ) 刀剣乱舞の世界  (7月25日)

 

 

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⇒ 8月1日 徳川園の花たち(2021年 徳川園)をみる

 

⇒ 7月25日 徳川園の花たち(2021年 徳川園) をみる


⇒ 7月13日 夕刻に見た花たち(2021年 徳川園) をみる

 

⇒ 6月15日 ハナショウブと和傘の光景、そして刀剣乱舞 (2021年 徳川園) をみる

 

⇒ 5月8日 スイレンやショウブなど、水辺の花(2021年 徳川園) をみる

 

⇒ 4月26日 鯉のぼりと、ボタンなど、春の花(2021年 徳川園) をみる

 

⇒ 4月11日 咲き競うボタンの花に(2021年 徳川園)をみる

 

⇒ 3月28日 ツバキなどの花(2021年 徳川園) をみる 

 

⇒ 2月21日 冬ボタンの花(2021年 徳川園) をみる 

 

⇒ 2月9日 ウメやボケの花(2021年 徳川園) をみる

 

⇒ 1月9日 冬ボタンの花(2021年 徳川園) をみる

 

⇒ 12月19日 サザンカの花、赤い果実たち(2020年 徳川園) をみる

 

⇒ 11月2日 寒ボタンの花(2020年 徳川園) をみる