男女共同参画社会のはずなのに
以前、新入社員研修の中で悲痛な叫び声を聞きました。地方都市に本社がある某業界最大手の製造業の会社でのことです。毎年実施されている新入社員研修での一コマでした。大卒・大学院卒の新入社員を対象とした合宿研修を担当していた時のことです。研修の最後に社長や役員の前に立って新入社員研修の成果発表を行いました。と言っても人数と時間の関係もあり、3分間のスピーチを一人一人にやってもらいました。何人目かのときに参加者の中でもとても元気のよい女性の順番が回ってきました。開口一番社長に対して「参加している男性は皆さん総合職採用なのに、女性は一般職でしか採用しないというのは納得できません」といきなり本音を口にしました。このことは、募集の段階から承知していたことでした。内定式の中でも説明を受けてもいました。納得したうえで入社してきたはずなのですが、研修終了の高揚感も手伝ったようで溜まっていた想いを力いっぱいしゃべり始めました。以前、こちらの社長と打合せをしていた時に「高卒は駒」と言い放ったことを聞き逃しませんでした。一代で1,000億円企業をつくり上げた辣腕社長です。しかし、社員さんに対する考え方はかなり古いタイプの昭和一けた世代でした。総合職の社員(学卒以上の男性)には、研修も含めて様々な経験をさせていました。しかし、現場で働いている製造職には多くは求めていませんでした。ましてや一般職の女性社員は何年かしたら寿退職するもの決めつけていました。キャリアプランに関する研修を行う話が総務部長からあり、話を進めていると製造職と一般職は不要と鶴の一声で立ち消えとなりました。同じ社員さんなのに、入社の段階からキャリアを磨くことを求められる人と与えられたことを文句を言わずに行うことだけを求められる人がいました。この会社の業績は今でも右肩上がりです。かつてよりはかなり改善されましたが、古い体質は至る所に残っています。数字の上では執行役員や管理職に女性を登用していますが、他の会社と比べると微々たるものです。研修講師としてはご依頼いただく会社の方針に従わなければなりません。しかし、不条理を目にするととても複雑な気持ちになってしまいます。