管理職研修でも、新入社員研修でも階層に関係なく時々行う質問があります。
それは、「今、ポケットにハンカチを持っている人は挙手してください」です。
毎回、データを正確に記録はしていませんが、手が上がる姿を思い起こすとハンカチを持参している人は10%にも満たないのが事実です。
今年担当した某企業の新入社員研修では受講者12名中、ハンカチを持っていた人はゼロでした。
この会社、8名が大学院卒で修士号を持っていました。
この事実を研修室の後方で事務局を務めていた、新卒採用担当を兼務していた総務課長のキョトンとした表情が忘れられません。
この総務課長さんとは研修の時に初めてお会いしました。
初対面の挨拶もそこそこに「今年の新入社員は応募者多数の中から厳選して採用しました」と自慢気に語っていました。
しかも、専門分野に特化した即戦力を採用したことにご満悦と言うことが伝わってきました。
「優秀な新入社員を採用できたんですね」と社交辞令を言うと、「そうなんですよ、とても優秀な人材ばかりです」とさらにうれしそうに語ってくれました。
研修の内容に関しては、人事教育担当部門と何回にも渡ってすり合わせをして構築しました。
当然、新入社員研修なので社会人としての基本的な心構えや基本的な行動に関する内容も網羅していました。
しかし、この総務課長さん土壇場で「うちは優秀な新入社員ばかりなので、基本的なことはいいから仕事に役立つ応用編を中心にしてくれますか」とご要望が入りました。
細かな途中経過はカットしますが、急遽ご要望通りに進めることになりました。
確かに研修を進めてみると、反応はいいしこちらの質問に対する返答も的を射た方ばかりでした。
勉強が出来る人たち、と言うことは直ぐに伝わってきました。
研修も進み、最後の休憩が終わりまとめの段階に入りました。
流れの中で、「今、ポケットにハンカチを持っている人は挙手してください」と問いかけました。
それまで、ご満悦と表情や態度に表れていた総務課長さんでした。
しかし、この質問をした後の研修室はシーンとしていました。
つまり、一人もハンカチを持っていなかったんです。
ちなみにこの研修施設の洗面所にはペーパータオルも送風乾燥機もありませんでした。
研修講師としては余計なことは言わずに研修は終了しました。
研修直後の打ち合わせでは、総務課長さんは別人でした。
悟ったようです。
どんなに偏差値が高い学校を卒業していようが、修士号を持っていようが、素晴らしい知識やスキルを身につけていようが、基本は大切です。
しかも、これから社会人としてバリバリ仕事をしていこうとする新入社員です。
先ずは、基礎・基本がせ大切なんです。
そういえば、ある企業のトップが入社式で言った有名な言葉があります。
「うちの会社は新入社員に助けてもらわなければいけないほど、落ちぶれていない」開口一番の言葉です。
伝えたかったのは次で、「新入社員に求めるのは、明るいこと・元気があること・素直であること・ほんのちょっぴりユーモアがあること・ハンカチを持っていること」でした。
人材育成の第一歩、「ハンカチ持っていますか?」わかる人にはわかるものです。
洗面所に行って手を拭かない人がどんな仕事をするのでしょうか?
