社会人2時年生の時、新入社員のA君の指導役を任されたことがあります。

 

バブル全盛期だったため、学生の就職活動は超売り手市場でした。

 

そのため、内定式後から入社辞退を防ぐためにA君の囲い込み作戦を指示されていました。

 

一例をあげると会員制クラブに連れて行きヘネシーのXOで乾杯して盛り上がる。

 

香港への出張に学生をビジネスクラスで同行させて貿易の現場を見せたりしていました。

 

今振り返ると本当にバブリーな時代でした。

 

そんなA君は英語が堪能でした。

 

入社後には、輸出入関係の書類もタイプライターでサクサク作成し、海外からの電話にも得意の英語で難なく対応していました。

 

そんなある日、少額ではあったのですが、外国為替のレートの見間違いから為替差損が発生してしまいました。

 

そのことが原因で落ち込み気味になっていたある日、「こんなはずではなかった」と私や常務の前で本音を吐露しました。

 

聞くと、子供のころからの夢でアメリカの会計士(CPA)の資格を取得して海外でバリバリ仕事をしたかったとのことでした。

 

普段、温厚でたいていのミスは許容してくれた常務がいきなりA君に「バカヤロー」と怒り始めました。

 

「こんなはずではなかったとは何事か、こんなはずなんだから」といった言葉が今も忘れられません。

 

そうなんです。子供の頃の夢を思い出しても、今は今なんです。

 

 「ああなりたかった」

 

 「こうなりたかった」

 

となげいていても仕方ありません。

 

今を直視して将来の方向をしっかり見定める必要があるんです。

 

常務は言葉こそ厳しい表現でしたが、迷いのあるA君を諭していました。

 

キャリアコンサルタントとしてカウセリングする時、この時の常務の「こんなはずなんだから」という言葉を思い出します。

 

仕事上のキャリア、プライベートのライフを考えるのに「こんなはず」の今を直視してみれば楽になります。

 

その延長線上にキャリアやライフの目標が見えてきます。

 

過去があり、現在があり、その先に未来があるのですから。