197回 霧・時雨
2019年11月兼題:「霧・時雨」「当季雑詠」 出題者:鈴蘭 <敬称略> 霧は秋の季語、時雨は冬の季語。11月8日は立冬ですが関東ではまだ冬を感じることはないでしょうね。【霧】微細な水滴が空中に浮いているもので、霞・靄・雲と同じもの。気象用語では1キロ先が見えると靄、見えないと霧というが、俳句ではすべて霧という。朝霧 夕霧 夜霧 狭霧(さぎり)【時雨】晴れていると見る間にさっと降り、降ると見る間に数分で止んでしまう、初冬の局地的な通り雨。時雨るる 初時雨 村時雨 片時雨 小夜時雨 冬の雨 <角川書店の俳句歳時記より>時雨るるや男心を読み取れず 泰山「今流行りの取説を読んで下さい」「男である自分でさえ分からないんだから」村時雨山々遠くなりにけり 泰山「そして間もなく見えなくなる」「翌日山が消えておりました」霧の中歩調に合ったコンチェルト 一桂「見えない上にイヤフォンは危険」「コンチェルト(協奏曲)」とコメントした碧水さんに初々しいで賞浅漬を食む棟梁の股(もも)太し 一桂「浅漬けは大根ですね」とコメントした素頓さんにコメント中賞「読みがながあってよかった」とコメントした鈴蘭にコメント大賞女傘借りて時雨の街に出る ゆめ「後朝の朝か」 *「きぬぎぬの朝」と読む「未亡人宅で密会して」九体寺の吉祥天女初時雨 ゆめ「奈良でしょうか」「羽衣で雨よけしたのでしょうね」夕闇の霧中信号影走る 素頓「信号無視の人の陰」「夕闇、霧、影三役揃い踏みです」*「霧中信号」霧で視界が制限されたため、船舶や灯台で鳴らす音響信号が響きわたり、浜の人々が何かあったのか忙しく動きだします。子供らの去りて空き地の秋時雨 素頓「子供らの声が止み、秋時雨の音と入れ替わる」「時雨てきたので家に戻った」散髪の鏡に映る時雨かな 鳥閑「散髪中外は時雨 鏡に映るが良い」「良く磨かれた鏡」夕時雨滲むライトの幾重にも 鳥閑「お年です。眼科医をご紹介します」「われわれ老人の運転は特に幾重にも注意」*最高得点句「高速道路」とコメントしたゆめさんに作者から嬉しい賞が出ました。 燈台のビームかぼそき磯時雨 摩天「燈台から光線銃だ」「ウルトラマン」しぐるるや診察券がまた一枚 摩天「10枚になると天国からお迎えが来ます。」「しぐれる年齢です」朝霧が塗(まぶ)す鎮守の赤鳥居 一兎「朝霧に塗されて鳥居はどうなったのでしょうか。」「神様の体がピンク色に」*「まぶす」にいろいろ意見あるも文句なしの最高得点句。柿柿柿夕陽明るき田舎道 一兎「虚子は柿が好きだったそうな,きっとこの句はお取りになるでしょう。」「5音字なら「かきかきし」「かきしかき」「しかきかき」どれなのでしょうか」との素頓さんに発想豊かで賞。朝霧の中へ漕ぎ出すエイトかな 碧水「青春のひとこま」「エイと気合い入れ」秋日和親子四代誕生会 碧水「大正昭和平成令和勢揃」 「それはそれはおめでとうございます」霧の朝五分遅れのバスに乗る 鈴蘭「この5分が実は大変な問題となります」「大勢に影響はなからんとは思いますが・・」ゴンドラの始発は八時霧の中 鈴蘭「定刻に出ます。」「早や!」