2020年5月         *敬称略

兼題 「青葉・若葉」 「当季雑詠」
出題者 素頓  

       

新型コロナウイルス感染症の集団感染でクルーズ船が横浜港に停泊していたのが2月、
それから全国各地でも感染者が出てしまい緊急事態宣言発令、そして解除。
コロナ禍のなか、季節はいつも通りに青葉若葉の美しい季節になりました。


オンライン句会も3回目。
今月は一桂さんの5句も加わり青葉若葉の豊かな句会になりました。



柿若葉散歩仲間もそれぞれに   泰山
「社会的距離とは何ぞや」
2m!?

惨禍なりそして生きてく若葉雨   泰山
「死ななくてよかった」
「飲み過ぎての惨禍は死にたくなります」

歩き来て青葉のにほひ命湧く   一桂
「生き返るような新緑の匂い。中には癖のある匂いも。」
「私は外出自粛を守っていましたが、青葉の道を散歩したという方の写真を見て、命の泉も沸いたのではないかと想像しました。」

一心に日々を過ごして立夏なり   一桂
「出来ることを愚直にやるしかない」
「そして、一身に何事もなかったことに感謝して」

書に倦みて緑滴る森に入る   ゆめ
「上手い。緑滴るで青葉若葉の雰囲気が十分に感じられる」

空青く地は麦秋の黄なりけり  ゆめ
「青、黄、あとは赤ですね。」
「太陽は真っ赤です」



白雲の蔵王連峰窓若葉  素頓
「窓から若葉を覗いているとふと蔵王が見える気がした」
「旅心を誘われます」
白雲を残雪として季重なりでも良い句は良い句。

坂下るバスのライトや山若葉   素頓
「ライトに照らされる緑。いろは坂での光景」
「観光バスの中からライトアップの山若葉」

藁葺の屋根に噴き出す若葉かな  鳥閑
「若芽ならわかりますが、若葉が屋根に噴き出す。屋根に樹が生えた。」
「若芽でなく若葉なのは「兼題」だから(笑)。又、芽では遠くから見えない。」
★生命力強く◎2〇4の最高得点句です。

学び舎は青葉若葉の密の中  鳥閑
「こういう密は大歓迎です。」
「今は密で分かりますが、時が経つと分かりません」

若葉陰路上ライブのギターの音  摩天
「偉い!路上ライブなら三蜜にならない」
「葉のざわめきとで、アランフェス協奏曲です」

蟄居して古典ひもとく薄暑かな  摩天
「日本の文化人として矜持です。」
「経済白書の古典「もはや戦後ではない」」
この古典はなに?読破の暁には教えていただけそうなので待ちましょう。



若葉風外出自粛の拡声器   一兎
「拡声器の声が若葉風にのってくる様子が目に浮かぶ。
緊急事態の中で季節は巡り、若葉風。しかしその音は悲しい。」
聞こえにくいと評判の「防災無線」ですが、それでは字余り。
拡声器ではパトロールカーになりますが、ご勘弁を。

冷や酒と一人青葉城恋歌   一兎
「おー、青葉の有効活用」
「あの人はもういない、やけ酒か」

若葉風心が先に旅に出る  碧水
「心の旅路です。そのまま帰ってきません。」
「外出自粛ですもの」

廃校の軒端を巣立つ燕かな  碧水
「若い燕となって都会に出る」
「巣立を上手く詠みました」
若い燕とコメントの鳥閑さんにコメント賞。さすが鳥関係のコメントお上手。

「日常」に戻れず渋谷若葉なり   鈴蘭
「スクランブル交差点。静かです。」
「これが「日常」ということになるかも」

若葉雨休校続く門に錠 鈴蘭
「南京錠で武漢コロナの侵入を防ぐ」
「錠が錆び付いてしまいました」


首都圏も北海道も他に遅れて緊急事態宣言が解除になりました。
油断はできません!
第2波、第3波が心配されますので十分にご用心くださいませ。