2019年11月
兼題:「霧・時雨」「当季雑詠」 出題者:鈴蘭
<敬称略>

霧は秋の季語、時雨は冬の季語。
11月8日は立冬ですが関東ではまだ冬を感じることはないでしょうね。
【霧】微細な水滴が空中に浮いているもので、霞・靄・雲と同じもの。
気象用語では1キロ先が見えると靄、見えないと霧というが、俳句ではすべて霧という。
朝霧 夕霧 夜霧 狭霧(さぎり)
【時雨】晴れていると見る間にさっと降り、降ると見る間に数分で止んでしまう、
初冬の局地的な通り雨。
時雨るる 初時雨 村時雨 片時雨 小夜時雨 冬の雨 <角川書店の俳句歳時記より>
時雨るるや男心を読み取れず 泰山
「今流行りの取説を読んで下さい」
「男である自分でさえ分からないんだから」
村時雨山々遠くなりにけり 泰山
「そして間もなく見えなくなる」
「翌日山が消えておりました」
霧の中歩調に合ったコンチェルト 一桂
「見えない上にイヤフォンは危険」
「コンチェルト(協奏曲)」とコメントした碧水さんに初々しいで賞
浅漬を食む棟梁の股(もも)太し 一桂
「浅漬けは大根ですね」とコメントした素頓さんにコメント中賞
「読みがながあってよかった」とコメントした鈴蘭にコメント大賞
女傘借りて時雨の街に出る ゆめ
「後朝の朝か」 *「きぬぎぬの朝」と読む
「未亡人宅で密会して」
九体寺の吉祥天女初時雨 ゆめ
「奈良でしょうか」
「羽衣で雨よけしたのでしょうね」
夕闇の霧中信号影走る 素頓
「信号無視の人の陰」
「夕闇、霧、影三役揃い踏みです」
*「霧中信号」霧で視界が制限されたため、船舶や灯台で鳴らす音響信号が響きわたり、
浜の人々が何かあったのか忙しく動きだします。
子供らの去りて空き地の秋時雨 素頓
「子供らの声が止み、秋時雨の音と入れ替わる」
「時雨てきたので家に戻った」
散髪の鏡に映る時雨かな 鳥閑
「散髪中外は時雨 鏡に映るが良い」
「良く磨かれた鏡」
夕時雨滲むライトの幾重にも 鳥閑
「お年です。眼科医をご紹介します」
「われわれ老人の運転は特に幾重にも注意」
*最高得点句
「高速道路」とコメントしたゆめさんに作者から嬉しい賞が出ました。

燈台のビームかぼそき磯時雨 摩天
「燈台から光線銃だ」
「ウルトラマン」
しぐるるや診察券がまた一枚 摩天
「10枚になると天国からお迎えが来ます。」
「しぐれる年齢です」
朝霧が塗(まぶ)す鎮守の赤鳥居 一兎
「朝霧に塗されて鳥居はどうなったのでしょうか。」
「神様の体がピンク色に」
*「まぶす」にいろいろ意見あるも文句なしの最高得点句。
柿柿柿夕陽明るき田舎道 一兎
「虚子は柿が好きだったそうな,きっとこの句はお取りになるでしょう。」
「5音字なら「かきかきし」「かきしかき」「しかきかき」どれなのでしょうか」との素頓さんに発想豊かで賞。
朝霧の中へ漕ぎ出すエイトかな 碧水
「青春のひとこま」
「エイと気合い入れ」
秋日和親子四代誕生会 碧水
「大正昭和平成令和勢揃」
「それはそれはおめでとうございます」
霧の朝五分遅れのバスに乗る 鈴蘭
「この5分が実は大変な問題となります」
「大勢に影響はなからんとは思いますが・・」
ゴンドラの始発は八時霧の中 鈴蘭
「定刻に出ます。」
「早や!」
