漢方治療の基本的なスタイル
基本漢方処方は生薬処方が原則。でも無理強いはしない。
普段の外来は西洋医学のみ
西洋医学の治療を希望されているのに生薬をいきなり出すのは憚れる。例えば定期受診していて降圧剤を処方している方に、いきなり補腎のために八味丸を上乗せするのは酷だ。ただしこれは西洋医学ではちょっと無理かもという場合、エキス剤から処方を開始して、東洋医学の入口に誘なうこともある。
漢方エキス剤の有効性と限界
私の漢方治療は基本煎じ薬。自由に生薬を配薬する。ただ、よく耳にするエキス剤は比較的処方し易さがある。処方する側もされる側も楽だ。お湯に溶かしてインスタントコーヒーのように飲む。あるいはそのまま頂く。
エキス剤はそもそもOTCとして開発された。薬害が少ないように各生薬量が少ない傾向がある。いわば薬局で患者さんがご自身で、薬剤師のアドバイスを聞きながら買うお薬として作られた。
となると量や配薬は当然一定。だから患者さんに合わせて合方することが多い。合方とは複数のエキス剤を合わせることがある。そこで、二種類三種類とエキス剤を合わせていく。すると余分な配薬が目立つようになる。例えば甘草はその最たるところだ。何故ならば多くの方剤に甘草が含まれるからである。甘草が多くなると無駄に強く守胃することになる。さらに低カリウム血症が起きやすくなる。
煎じ薬は無敵?
一方生薬による煎じ薬は、私にとって処方は楽だ。しかし患者さん側にしてみたらともかく手間だ。まず30分程度お茶のようにコトコトと煎じる。場合によっては40分。味も強め。さらに煎じた後の滓は多量に出るので、ゴミが増える。そのかわりその方に合った処方ができる。さらに量を調節すれば作用も強い。