健康食品あれこれ
昨日、知り合いの患者さんから相談を受けました。「とりあえずのがん治療は終了したのだけど、何もしないのも不安なので健康食品を飲みたい。候補としてA,B,Cを考えているがどれがいいか?」EBMを標榜する医師の立場からいえば、「効く根拠のないことはしてはいけない」といえば事が済みます。一般に大病院の専門医は、自分が行った医療行為のみが正当化されるべきであり、他のすべての選択肢は統計学的に劣っているから棄却されるべきというテーゼに立っています。でも再発の不安を抱える患者さんの気持ちに寄り添った対応(NBM)の立場からは一概に否定して済む問題ではないように思われます。がんにいいといわれる健康食品ですが、その効果には前提のなる根拠が確立しているものは殆どありません。一方、使用経験例の検討はなされていることが多いので、服用した場合の毒性に関しては「この程度」というデータは示されています。そのことを前提としてどのような選択をするのが望ましいでしょうか?まず言えることは、どの健康食品も効果が実証されているわけではなく、摂取し続けて元気に過ごせたとしてもそれはあくまで結果的にそうなったとしか言えないということです。ここで重要なことは、「結果として」再発せず副作用もなかったということです。ということは、自分でこれはいいと思われるものが3つあるのであれば全部試してみる、もし副作用が出た場合にはどれかまたは全部をやめるという選択が、この場合最もふさわしいと考えられます。ただし、あくまでその摂取については自分の判断でという条件付きではありますが。皆さんはどうお考えでしょうか?