水素水が「がんに効く」などと効能をうたって
販売した業者が逮捕されたという記事が載って
いました。世の中にはこの文脈によく似た話が
溢れています。
小林麻央さんが表参道の水素風呂に入ったとか
誇らしげに記載している医療機関のサイトも見
受けられます。
また、ビタミンCが「がんに効く」ということ
を大々的に標榜している医療機関もあります。
これらの共通点は活性酸素種を消去するという
性質をもっている点です。
現在の抗腫瘍治療に用いられる抗がん剤や放射
線などは活性酸素種 / フリーラジカルを介して
細胞毒性を発揮することが知られています。
そうするとすごく単純に考えると、水素水や
ビタミンCなどの還元作用の強い物質は、がん
治療を妨害することになります。
ちなみにビタミンCについては還元型と酸化型
があり、体内に入った元々の還元型ビタミンC
は急速に酸化を受け酸化型ビタミンCに変わり
この酸化型ビタミンCはグルコースとよく形状
が似ているため、がん細胞が間違えて取り込み
抗癌剤の代わりを果たすという仮説があります。
しかしながらビタミンCは体内で合成できない
非常に貴重な物質でありヒトではリサイクル
して使用するべく、酸化型を還元型に戻す働き
が肝臓で行われています。
ということは結果的に大量のビタミンCが投与
されると尿から排出されるまで肝臓でのリサイ
クルを繰り返し癌細胞自体の保護に役立つこと
および肝臓への負担が生じることが想定されま
す。
このように「がんに効く」というメッセージの
中には論理的には逆の作用を持つものもあり、
注意する必要がありますね。