これまでも何度か小林麻央さんの闘病に関する

記事がネット上で報道されていました。2月4日

のYahooニュースには『小林麻央、放射線食道

炎の症状が快方へ「少しお腹が空く感覚戻って

きた」』とありました。

 

一般に骨転移は根治的適応とはならないため、

がんを制御することを目的とした放射線治療は

行われないこととなっています。

そのためがんと周辺の正常組織にはほぼ等しい

放射線量が投与されます。そしてその投与量は

周辺の正常組織がそこそこ耐えられると想定され

ている量となります。

そのため、一時的と考えられる放射線食道炎は

生じることがほぼ確実となります。

ただし、この症状自体はちょうど寿司屋で熱い

「あがり」を間違えて飲み込んだ時のような

のどの「ちりちり」感が主体となります。さらに

お腹は空いていても飲み込む時の痛みや通過障害

のために実際に物が通りにくいという状況となり

ます。

なのでお腹が空かないという症状は放射線食道炎

とは別の原因である(おそらくは放射線被曝によ

る全身倦怠感や嘔気)と思われます。

 

脊椎転移で以前に放射線治療が行われた部位から

再発した場合、再治療は不可能といわれることが

ほとんどです。それは前治療において病巣と正常

組織の投与線量が同じであるためです。

それでも、十分な線量勾配を設定することにより

正常組織のダメージを限りなく減らして再治療を

行うことは不可能ではありません。

 

 

脊柱管進展を伴う脊椎転移の再照射例線量分布です

脊髄(水色矢食道(黄色矢)をしっかり保護し

40Gy/5Fの照射にて疼痛著明改善、下肢神経症状

消失しました。放射線食道炎症状は全くなく3か月

後のPET-CTにてCRとなりました。