エピゲノムとは、ゲノムの配列ではなく、
ヒストンの脱アセチル化やDNAのメチル化
のような化学修飾により規定される遺伝情報
のことでした。
このエピゲノムの変調ががんだけでなく生活
習慣病や各種神経精神疾患の原因の一つであ
ることもわかっています。
一方、妊娠中の母体が極端なダイエッターで
あった場合、生まれてくる子供が太るという
ことが知られています。その原因として低栄
養状態で胎児期を経過することにより、胎児
のエピゲノムに変調が生じ生下時に脂肪を蓄
積するような代謝が優位となることが最近の
研究で判明しました。おそらく胎児は生まれ
てくる環境が生残に厳しいものになるであろ
うことを感知し予め代謝系を修飾したことに
よるものと推定されています。
しかしエピゲノムの変調は継続するわけでは
ないようです。普通の栄養状態で育った子供
は数年で正常なプロポーションに戻ります。
ということはエピゲノムの変調で生じる疾患
ももとに戻る可能性があることが考えられま
す。現時点でどのような環境の変化により、
その変調が修復されるのかについて全容は解
明されていません。
今後、適正な環境の個別最適化が進むことが
期待されます。