侵攻性の悪性リンパ腫の標準治療は抗がん剤
+標的薬です。放射線治療は併用する場合も
しない場合もありますが、もし併用する時は
IFRT(病変のある領域をすべてカバーする
超広範囲照射野での治療)となっています。
最近、悪性リンパ腫の放射線治療はPET-CT
などで確認された病変のみに限局した高品位
照射(ISRT)が勧められるという報告が見られ
ます。ただしその場合でも全身治療である抗
がん剤+標的薬を省略できるわけではありま
せん。
7年前に標準治療を拒否した侵攻性悪性リン
パ腫を経験しました。
たまたま成功した例であり、今でもこの方法
をお勧めする根拠はないことをお断りしてお
きます。
でもこの方が治ったのは事実ですし、今日、
電話で元気なお声を聞き、これでよかったと
安心しました。
やはり、
自分のがんを治すのは自分自身なのだと
いうことを改めで感じました。
症例 50歳 女性 悪性リンパ腫 ステージ2
3年前 左鼠径部腫大 生検実施するも放置
次第に増大しCTなどで複数のリンパ節腫大
生検にてML(DLB)、標準治療として抗がん剤
+標的薬勧められるが拒否
当院初診
PET-CTにて腹部-骨盤部のリンパ節腫大確認
標準治療がR-CHOPであることを再三説明す
るも拒否され、放射線単独での治療を希望
全病変に43.3Gy/13回3週のIGIMRT(画像
誘導下強度変調照射)
6か月後 PET-CTにてCR
sIL2R(腫瘍マーカー)
治療前2640 → 3か月後258(正常)
7年経過後も無再発生存
図 IGIMRT線量分布図
IFRTでなくISRT用の分布が選択されている
図 治療前 PET-CT
腹部大動脈以下の多発リンパ節腫大(水色矢)
中央に正常膀胱の取り込みを認める
図 治療6か月後PET-CT
病変の完全消失を認める
正常な心、腎、膀胱への取り込みのみ