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子どものアトピー性皮膚炎治療、スキンケアなどについての正しい知識を、わかりやすくまとめています。

キュレルのクリームって、どんな保湿剤?


こんにちは。橋本です。


乾燥性敏感肌を考えた保湿剤、キュレル


肌の弱い人なら、一度はその名前を聞いたことがあるかもしれないですね。


キュレルは、セラミド機能成分が配合されていることで有名なスキンケアブランドです。


今日は、保湿クリームの「キュレル」がどんなものか、ざっくりとまとめておきたいと思います。


キュレルクリーム:パッケージ


 


乾燥性敏感肌を考えたスキンケアブランド


キュレル(Curel)は、日用品・化粧品メーカーの花王が乾燥性敏感肌の方に向けて立ち上げたブランドです。


ブランドの製品ラインナップはとても広く、洗浄、保湿、美白ケア、UVケア、メイク用品まで、30種類以上のアイテムが揃っています。


その中でも、全身に使える保湿クリームとして販売されているのが、「キュレルクリーム」です。


キュレルシリーズ:製品ラインナップ


 


合成セラミド類似脂質を配合している


キュレルクリーム最大の特徴は、合成セラミド類似脂質(ごうせい・せらみど・るいじししつ)を配合していること。


なんだか難しい名前の成分ですが、簡単にいえば、「セラミドのようなもの」を配合しているということですね。


セラミドは、肌の水分保持機能、バリア機能にとって、とても大きな役割を果たしています。


なぜ本物のセラミドを使わないかというと、本物のセラミドには「高価であること」と、「製品に溶かしにくい」という問題があったからなんですね。


参考記事:

セラミドの保湿剤が広まらない理由とは?


本物のセラミドは高価なので、多く配合するとそれだけ保湿剤も高価になってしまうのが問題になります。


そこで、キュレルクリームには、「セラミドのようなもの」を配合して、その問題を解決しています。


雑誌などでは、よく擬似セラミド(ぎじ・せらみど)なんて呼ばれることもあります。


魚釣りに使う、本物のエサに似せた「ルアー」のことを、疑似餌(ぎじえ)と呼ぶように、擬似(ぎじ)というのは「本物に似せたもの」のこと。


製造販売メーカーの花王は、このことを「セラミド機能成分を配合」とうたっています。


じつは、セラミドが肌のバリア機能にとって、とても大きな役割をしている、バリア機能そのものとなっているのを、あきらかにしたのも花王による研究なんですね。


ですが、合成セラミド類似脂質は、天然のセラミドではないので、パッケージの成分表示に「セラミド」と表示することができません。


実際にキュレルクリームに配合されているのは、


ヘキサデシロキシPGヒドロキシエチルヘキサデカナミド

長鎖二塩基酸ビス3-メトキシプロピルアミド


この2つです。


長すぎて、ちょっと名前が覚え切れないですね。目がチカチカします(苦笑)。


花王は、セラミドの分子構造を解析して、分子設計や合成方法を工夫することで、セラミドのような働きをする脂質を合成したわけです。


でも問題は、「セラミドに似ていれば、どんなものでも肌にいい」とは限らないことです。


その点、キュレルクリームに使われている合成セラミド類似脂質は、肌のバリア機能に効果があることが、臨床試験を含めた複数の論文で報告されています。


また、キュレルクリームには、肌のセラミド合成をうながすといわれる、ユーカリエキスも配合されています。


 


価格が手頃な保湿剤


セラミド配合の保湿剤というと、通常は値段が高めです。


高くならないようにすると、セラミドの配合量を少なくするしかなありません。


それでは、期待できる効果も少なくなるのもしかたありません。


つまり、セラミドが原料として高いことに問題があるわけです。


キュレルは、この問題を合成セラミド類似脂質を使うことでクリアしています。


天然セラミド合成バイオセラミドは、いろいろ工夫をしても、どうしても割高になってしまいます。


それに比べ、キュレルに使われている合成セラミド類似脂質は、コストが安くおさえられているため、価格が手頃になっているんですね。


90gで、店頭で買うと、だいたい1個1,500円くらいです。


キュレルクリーム:中身


 


病院では処方してもらえない


キュレルは、ドラッグストアなどの量販店でも広く流通しています。


価格も手頃で、お店でも手軽に買えるキュレル。


そのため普段のスキンケアにも取り入れやすいアイテムです。


ただし、キュレルクリームは、病院では処方してもらえません。


というのも、病院で処方される治療薬として認可されるには、大規模多施設のランダム化比較試験で効果を確認できていないといけないからです。


残念ながら今のところ、キュレルクリームは、大規模多施設の比較試験まではおこなわれていません。


小規模な比較試験では、いくつか効果が認められる報告がされています。


キュレルクリーム:テクスチャ


 


軽い力でよくのび、肌によくなじむ


肝心の使い心地はどうかというと。


感触にとろみがあり、適度にゆるさのあるクリームです。


塗り心地は軽く、肌にスッとのび、よくなじむため、使用感にすぐれています。


内容量も90gと、比較的多めで、広い範囲に塗りやすく、顔だけでなく、全身に使うことができます。


敏感肌向けということで無香料です。


それにもかかわらず、くせのある匂いがないというのも、キュレルクリームのいいところですね。


キュレルクリーム:塗った感じ


 


油中水型(w/oタイプ)のクリ-ム


「のびがいい、さらっとしたクリームだと、保湿力が弱いのではないか?」


そう思われやすいですが、キュレルクリームは、肌にフタをする力は強いほうです。


なぜかというと、キュレルクリームは、油中水型(w/oタイプ)のクリ-ムだから。


さっぱり系のクリームにするとなると、普通はこの逆の、水中油型(o/wタイプ)になります。


水中油型だと、油分が水分で包まれているので、水ですぐに洗い流すことができ、使用感もさっぱりします。


その代わり、デメリットとして、肌にフタをする力は比較的弱くなってしまいます。


フタをする力が弱いということは、肌の水分が逃げやすくなるんですね。


反対に、キュレルクリームのような油中水型(w/oタイプ)のクリ-ムだと、肌をフタする力が強めで、保湿力も高まるわけです。


油中水型(w/o)と水中油型(o/w)の違いについてはこちら:
   ⇒ クリームの「しっとりタイプ」「さっぱりタイプ」の違い、わかりますか?


ただそう聞くと、「ベタつくのがいやだな」と敬遠(けいえん)されがちですが、意外と最初の塗り心地は、さっぱりしています。


「本当に油中水型か?」と思わせるぐらいに工夫されています。


しかし、時間が経つにしたがって、人によっては、もともと皮脂の分泌が多い部分でベタつきが強く感じられてくるかもしれません。


この油中水型(w/oタイプ)を保湿力が高いとしてメリットと受け取るか、ベタつくとしてデメリットと受け取るか。


それも、キュレルクリームを使うか、使わないかの、人それぞれの基準になるのかなと思います。


肌に炎症がある場合は使えない


1つ注意点として、原則的にキュレルクリームは、肌に湿疹や赤みなど、炎症がおきている部分には使用できません。


炎症がおきている肌に塗ってしまうと、症状を悪化させてしまう可能性があるからです。


乾燥の強い、荒れた肌では、肌の内部で炎症がおきているケースもあるので注意が必要です。


炎症がある場合は適切に薬を使い、保湿剤はプロペトなどワセリン系の肌に浸透しないものを、まずは試してみるほうが安全です。


 


 


 


関連記事:

セラミドの保湿剤が広まらない理由とは

親水軟膏ってどんな感じ?

ウレパールクリーム……この保湿剤ってどんな感じ?


蕁麻疹とアトピーを見分けるには?


こんにちは。橋本です。


日常的に子どもによくみる症状の中でも、アトピーに似ているもの、蕁麻疹(じんましん)。


しかし、この蕁麻疹は、アトピーと「かゆみがある」という点では似ていますが、明確に見分けることができます。


蕁麻疹の特徴は、膨疹(ぼうしん)とよばれる、プクっとした皮膚にあらわれるふくらみです。


通常の湿疹と、この膨疹を区別するのが、蕁麻疹とアトピーを見分けるポイントです。


蕁麻疹:膨疹


 


膨疹(ぼうしん)とは?


膨疹というのは、蕁麻疹にみられる特徴的な症状ですが、あまり日常的に聞かない、聞き慣れない言葉ですよね。


膨疹は、皮膚が部分的に、またはピンポイントでふくらんだ状態。


皮膚の浅いところで、むくみができ、皮膚がふくらんだ状態をあらわした医学用語です。


浮腫(ふしゅ:「むくみ」のこと)の「ブツブツ版」とでもいうんでしょうか。


蚊に刺された後に、プクっとはれる。あれも、膨疹のひとつです。


症例写真:

膨疹
症例写真蕁麻疹にみられる膨疹(ぼうしん)


膨疹は、プクっとしたプツプツ、細かいブツブツだけでなく、広く地図状に出るタイプもあります。


膨疹は、見た目にもいろいろなタイプがありますが、赤みやかゆみをともなうのが大きな特徴です。


症例写真:

地図状に広がる蕁麻疹
症例写真地図状に広がる蕁麻疹


また、蕁麻疹はアトピーとは違い、短時間でおさまります。


通常30分~2時間ほど、長くても24時間以内にはおさまっていく、一過性の症状です。


おさまれば、色素沈着が残ったり、肌荒れが残ったりすることはありません。


もう1つ、特殊な蕁麻疹のタイプに、血管性浮腫(けっかんせい・ふしゅ)という症状があります。


蕁麻疹もより皮膚や粘膜の深いところでおこると、血管性浮腫、またはクインケ浮腫とよばれる、はれた状態になることもあります。


血管性浮腫が、まぶたや唇にあらわれると、パンパンにはれたりします。


膨疹が境界が割とはっきり、プクっとはれるのに対して、血管性浮腫(クインケ浮腫)は、境界がはっきりせず、ぼんやりとはれぼったくなります。


症例写真:

血管性浮腫
症例写真血管性浮腫


膨疹が典型的な蕁麻疹の症状ですが、血管性浮腫も蕁麻疹と同じ仲間です。


ただ、血管性浮腫は、通常の蕁麻疹と違って、赤みやかゆみはおこりにくいのですが、わずかに痛みを感じるケースがあります。


 


水分がしみだした状態


蕁麻疹は、アレルギーや刺激によっておこります。


実際には、アレルギーや刺激を受けると、皮膚にあるマスト細胞(肥満細胞ともよばれる)といわれるものから、様々な化学伝達物質が放出されます。


マスト細胞:脱顆粒


「ヒスタミン」という名前を聞いたことはありませんか?


アレルギーにかかわる物質として、一般的によく耳にするヒスタミンというのも、蕁麻疹にかかわる化学伝達物質のひとつです。


このような様々な化学伝達物質が放出されると、それを受けた皮膚の非常に小さな血管内から、血漿(けっしょう)という水分のようなものが、外にもれ出す。


この現象が、蕁麻疹。


化学伝達物質:刺激


もれ出した血漿成分で皮膚がふくらみ、膨疹となってあらわれるわけですね。


また、化学伝達物質を受けると、小さな血管が、グッと拡張されます。


蕁麻疹で肌に赤みが出るのは、この血管拡張がおこるためです。


蕁麻疹


化学伝達物質が過ぎ去れば、小さな血管からもれ出した水分も徐々に吸収され、血管の拡張も元に戻り、かゆみもおさまってきます。


そのため、通常なら蕁麻疹は、短時間でおさまるわけですね。


アトピーのような湿疹の場合は、症状がゆっくり持続しながら悪化していきます。


蕁麻疹の場合は、それとまったく違い、膨疹が突然ぱっと現れたり、消えたりを繰り返し、肌のかさつきをともないません。


蕁麻疹を見分けるポイント:

⇒ 皮膚がプクっとふくらんだ膨疹が出る

⇒ 膨疹に赤みかゆみがある

肌のかさつきをともなわない

⇒ 突発的にぱっと現れ、数時間以内、長くても24時間以内に消える

⇒ 症状がおさまれば、跡が残らない


 


 


 


関連記事:

カサカサした肌がボロボロはがれる症状

「刺すダニ」と「アレルギーの原因になるダニ」は種類が違う

「アトピーはアレルギーの病気」という誤解


感染症……ステロイド薬の全身的な副作用(1)


こんにちは。橋本です。


ステロイド薬を服用すると、感染症にかかりやすくなることがあります。


多量のステロイド薬を長期に渡って投与すると、様々な副作用があらわれる可能性がありますが。


その中でも、「感染症にかかりやすくなる」という副作用は、とくに注意しておきたい副作用です。


なぜかというと、たとえば、ニューモシスチス肺炎という感染症は、適切に治療をしないと致命的になる大変な病気だからです。


そのため、大量にステロイド薬を使っている場合は、入院して治療をしたり、なるべく人ゴミを避けるようにします。


感染症はささいなきっかけでなってしまいますが、時として、重大な結果につながる危険性もあるので注意が必要です。


ステロイド副作用:感染症


 


日和見感染(ひよりみ・かんせん)とは?


ステロイド薬を大量だとか、長期に渡って服用するとかかりやすくなる感染症。


このステロイド薬の服用した状態でおこる感染症にはある特徴があります。


それは、日和見感染(ひよりみ・かんせん)。


日和見感染というのは、普段は害のない、ありふれた病原体(びょうげんたい)に、感染してしまうことです。


身の回りによくあるような、人間の体にも住み着いているような、普通なら病原体にならないようなもの。


普段は害にならない、細菌、ウイルス、真菌(しんきん:「カビ」のこと)などでも、感染症をおこしてしまう。


そういうのを通常のタイプの感染と区別して、日和見感染とよんでいるんですね。


日和見感染をおこすような感染症は、健康な人なら、普通、かかることはありません。


人間が本来持っている、病原体に対する「抵抗力」によって、感染を防ぐことができるからです。


抵抗力があるから、病原体が体内に入り込もうが、感染することがないのです。


普段から、多少、そのような病原体が住み着いていようが、感染をおこすほどに、やたらと増えてしまうようなこともありません。


しかし。


ステロイドを大量、長期に服用すると、体内の炎症をおさえるとともに、病原体に対する抵抗力を落としてしまいます。


その結果、普段では害にならない、細菌、ウイルス、真菌などに対しても、感染症をおこしてしまうわけです。


ステロイド副作用:抵抗力の低下


 


たとえば、どんなものに感染するの?


ステロイド薬の内服により、抵抗力が落ちた状態では、日和見感染だけにとらわれず、様々な感染症にかかる可能性を考えて、治療を進めていかなければなりません。


なぜなら、特定の感染症だけを想定してしまうと、感染症の診断を間違えてしまい、そのために治療方法も間違ってしまう恐れもあるからです。


早期発見、早期治療するには、あらゆる感染症を想定して、治療を進めます。


その上で、一般的に、日和見感染でおきやすい感染症には、次のようなものがあります。


 


1) ニューモシスチス肺炎


典型的な日和見感染のひとつに、ニューモシスチス肺炎というのがあります。


ニューモシスチス肺炎は、昔はカリニ肺炎ともよばれていましたが、現在は呼び名がニューモシスチス肺炎に統一されています。


ニューモシスチス肺炎は、ニューモシスチス・イロヴェチという特殊な真菌(しんきん:「カビ」のこと)の一種に感染しておきる病気です。


ニューモシスチス・イロヴェチという菌は、ほとんどの人、健康な人にも、ある程度、肺に住み着いているものだといわれています。


この菌があるから、即、肺炎をおこす、というわけではないんですね。


悪い菌が体内で増えないようにする力、感染しないようにする力。


いわゆる抵抗力とか、免疫力とかいった、本来人間がそなえている機能が低下すると、こういった菌の増殖をおさえられなくなってしまいます。


その結果、普段なら害をなさないような菌に感染してしまい、ニューモシスチス肺炎を引きおこしてしまうわけですね。


ニューモシスチス肺炎


 


2) 口腔カンジダ症(こうくう・かんじだ・しょう)


口腔カンジダ症は、口の中に存在するカンジダという真菌(しんきん:「カビ」のこと)に感染することによっておこる病気です。


口腔カンジダ症になると、舌や粘膜に白い苔(こけ)状の膜ができたり、苔状のものがまったくない場合は、粘膜が赤くなったりします。


粘膜が赤くなるようなタイプの症状だと、食べたり飲んだりする時にヒリヒリした痛みを感じることもあります。


口腔カンジダ症
症例写真口腔カンジダ症(こうくう・かんじだ・しょう)


カンジダは、水虫の原因菌としてもよく知られている真菌。


カンジダ自体は、ありふれた真菌で、だれの口の中にも存在しているものです。


しかし、この菌も健康であれば問題ないのですが、抵抗力が落ちていると、口腔カンジダ症を引きおこすことがあります。


そのため、抵抗力を落とす作用のあるステロイド薬を内服しているときは、この口腔カンジダ症になっていないか注意する必要があります。


 


ステロイドでどれだけ、感染しやすくなるのか?


複数のデータを検証したメタアナリシスでは、プレドニゾロン(ステロイド剤の製品名)で、1日10mgなら感染症のリスクは上昇しないと報告しています 1)


1日20mg以上になると、少なくとも2~3倍に感染症のリスクが高まると考えられています。


プレドニゾロンで、1日20mg以上では、投与14日後から感染症の発生率が徐々に高くなります 2)


1日40mg以上になると、日和見感染の危険度がさらに高くなるといわれています 3)


また、もともと治療している病気が何か、でも感染症の発生のしやすさが変わってくるという報告もあります。


その1つが、全身性エリテマトーデス(SLE)という病気の患者では、46%の症例に感染症がおこったという報告です 4)


 


感染を防ぐには?


通常知られているのは、感染症に対しては、抗生物質(こうせい・ぶっしつ)のような細菌を殺す薬、抗菌薬(こうきんやく)。


または、カビを殺す薬、抗真菌薬などを、ケースに合わせて使うことです。


原因菌にあった抗菌薬をうまく選んで使えば、菌が死滅してくれます。


しかし、抗菌薬の予防的な投与は、多剤耐性菌(たざい・たいせいきん)という、薬の効かない菌を増やしてしまったり、真菌への感染を招く恐れがあります。


そのため、予防的に抗菌薬を使う場合は、お医者さんの説明をよく聞いた上で、慎重に判断する必要があります。


ただし、大量のステロイド投与から治療を始める場合は、抵抗力が極端に落ちるため、感染症にかかると致命的になることも考えられます。


その場合は、幅広い病原菌に効く抗菌薬、いわゆる広域(こういき)抗菌薬を予防的に使うほうがいいと考えられています。


たとえば、肺・気管支の細菌感染予防には、クラリスロマイシン(製品名:クラリス錠)。


ニューモシスチス肺炎の予防には、ST合剤(製品名:バクタ配合錠)。


口腔カンジダ症の予防には、アムホテリシンB(製品名:ファンギゾンシロップ)などを使います。


そして、感染を完全に防ぐことはできませんが、手洗いや人ゴミを避ける、生ものを食べないようにするなど、病原体との接触を減らす努力も、ある程度は有効だと思われます。


 


早期発見、早期治療


感染症の場合、早期発見、早期治療が原則。感染の異変に早く気づくことも大切です。


感染の初期症状としては、たとえば、


発熱のどが痛むせきが出るたんが出る口内炎ブツブツができる水ぶくれができるトイレが近くなる尿がおかしい排尿時に痛みを感じる


などがあります。


こういった症状は、ステロイド薬が強力に炎症をおさえる作用を持っているために、気づきにくく、発見が遅れがちになります。


皮肉にも、ステロイドが感染症の症状を隠してしまうわけですね。


発見が遅れると、病気の進行を進めてしまうことにもなりかねません。


少しでも異変に気づいたら、感染症をおこしていないか、喀痰検査(かくたん・けんさ)という、たんを調べる検査。


それから、肺の状態をチェックするレントゲン検査などをおこないます。


症状に効く抗菌剤を適切に選ぶには、検査によって原因菌をきちんと特定することも重要です。


 


ステロイドが減量できるまでは入院管理


このような感染症の治療や検査をすぐにおこなうためにも、ステロイド薬を多量に服用している間は入院するのが原則です。


たとえば、ひとつの例として……


プレドニゾロンで1日40mg以上が必要な場合は、入院

1日40mg以上では、病院内の移動は極力控えるか、マスクを着用する

外泊・外出の目安は、1日40mg以下になってから

病状がよくなってきて、1日25~30mgに減量できたら退院できる


など、お医者さんや病院によってそれぞれ違いはありますが、治療スケジュールの目安を設けています 5)


入院や治療のスケジュールについては、あらかじめお医者さんとよく話し合っておく必要があります。


また、感染症がおこったからといって、あわててステロイド薬を中止すると、逆に危険になることもあります。


場合によっては、症状や体調をみながら、ステロイド薬を増量して治療していくケースもあるんですね。


感染症にかかったとしても、お医者さんの指示にしたがって、ステロイド薬を服用することが大切です。


 


 


 


関連記事:

ステロイド薬を内服した場合の副作用とは?

糖尿病……ステロイド薬の全身的な副作用(2)

高血圧……ステロイド薬の全身的な副作用(3)


参考文献:

1) 小池 竜司: ステロイド誘発感染症. Modern Physician 29(5): 695-698, 2009.

2) 橋本 博史, 金井 美紀: 気をつけたいステロイド剤の副作用. 臨牀と研究 81(5): 798-802, 2004.

3) 井門 敬子, 末丸 克矢, 荒木 博陽: ステロイド剤の服薬指導. 臨牀と研究 81(5): 819-825, 2004.

4) 市川 陽一: リウマチ, 痛風, 膠原病診療update ステロイドの副作用対策はどうしたらよいか. 臨床医 26(3): 380, 2000.

5) 牛山 理, 長澤 浩平: 主な副作用の対策 ステロイドと感染症. 臨牀と研究 78(8): 1441-1444, 2001.


野菜はどれだけ食べればいいのか?をイメージでつかむ


こんにちは。橋本です。


子どもにたくさん野菜を食べてほしい。


そう思っているママも多いかと思います。


ですが、そもそもの話。


子どもには、1日にどれぐらいの野菜を食べてもらうのが理想なんでしょうか?


野菜:適量


 


これで1日分


「これぐらいの栄養を摂るのがいいですよー」


という、1日に摂る栄養の目安は、日本人の食事摂取基準で提案されています。


「日本人の食事摂取基準」は、栄養に関する日本の専門化グループが厚生労働省の依頼により、信頼できる研究論文データを世界から現在できうる限り集め、厳しく評価したものを科学的根拠とした栄養摂取のガイドライン。


いってみれば、「日本人の食事摂取基準」以上に手間を惜しみなくかけた栄養に関する科学的根拠はありません。


しかしながら、実際の食品をどれだけ食べれば、その栄養が十分に足りるのか、反対に過剰になり過ぎないかまでは、この「日本人の食事摂取基準」では語られていません。


そこで、日本人の食事摂取基準(2010年度版)から、1日に野菜をどれだけ食べるのがいいのか、換算した1例。


まずは、おおよそ理想といえる、「1日にこれぐらいの量の野菜を食べたいな」という目安量年齢別に、ざっと並べてみます。


もちろん、野菜の「適量」は、個人差おかれている状況によっても、人それぞれ大きく違ってきます。


ここで示しているのは、あくまでも目安、一例にすぎません。


量をあらわす写真に使った小皿は、だいたい両手をあわせて器を作ったぐらいの大きさ。直径16cmのお皿です。


本:皿の大きさ(16cm)


一度、確認の意味でも、「ああ、こんなもんか」ぐらいに、日々に必要な野菜の量をイメージでつかんで、ぜひ日々の献立にいかしてくださいませ。


 


1~2歳の子ども


緑黄色野菜 90g

緑黄色野菜90g

淡色野菜 120g

淡色野菜120g

いも類 40g

いも類40g

きのこ類 5g

きのこ類5g

海藻類 5g

海藻類5g

果実類 150g

果実類150g


 

緑黄色野菜 90g(例…ホウレンソウ 30g、カボチャ 30g、ニンジン 30g)

淡色野菜 120g(例…レタス 20g、トマト 20g、インゲン 20g、キュウリ 30g、ブロッコリー 30g)

いも類 40g(例…ジャガイモ 20g、サツマイモ 20g)

きのこ類 5g(例…シメジ 5g)

海藻類 5g(例…ワカメ 5g)

果実類150g(例…リンゴ 50g、バナナ 50g、ブドウ 50g)


 


3~5歳の子ども


緑黄色野菜 90g

緑黄色野菜90g

淡色野菜 150g

淡色野菜150g

いも類 60g

いも類60g

きのこ類 5g

きのこ類5g

海藻類 5g

海藻類5g

果実類 150g

果実類150g


 

緑黄色野菜 90g(例…ホウレンソウ 30g、カボチャ 30g、ニンジン 30g)

淡色野菜 150g(例…レタス 30g、トマト 30g、インゲン 30g、キュウリ 30g、ブロッコリー 30g)

いも類 60g(例…ジャガイモ 30g、サツマイモ 30g)

きのこ類 5g(例…シメジ 5g)

海藻類 5g(例…ワカメ 5g)

果物類 150g(例…リンゴ 50g、バナナ 50g、ブドウ 50g)


 


6~8歳の子ども


緑黄色野菜 90g

緑黄色野菜90g

淡色野菜 150g

淡色野菜150g

いも類 70g

いも類70g

きのこ類 5g

きのこ類5g

海藻類 5g

海藻類5g

果実類 150g

果実類150g


 

緑黄色野菜 90g(例…ホウレンソウ 30g、カボチャ 30g、ニンジン 30g)

淡色野菜 150g(例…レタス 30g、トマト 30g、インゲン 30g、キュウリ 30g、ブロッコリー 30g)

いも類 70g(例…ジャガイモ 40g、サツマイモ 30g)

きのこ類 5g(例…シメジ 5g)

海藻類 5g(例…ワカメ 5g)

果物類 150g(例…リンゴ 50g、バナナ 50g、ブドウ 50g)


 


9~11歳の子ども


緑黄色野菜 90g

緑黄色野菜90g

淡色野菜 200g

淡色野菜200g

いも類 100g

いも類100g

きのこ類 5g

きのこ類5g

海藻類 5g

海藻類5g

果実類 150g

果実類150g


 

緑黄色野菜 90g(例…ホウレンソウ 30g、カボチャ 30g、ニンジン 30g)

淡色野菜 200g(例…レタス 40g、トマト 40g、インゲン 40g、キュウリ 40g、ブロッコリー 40g)

いも類 100g(例…ジャガイモ 50g、サツマイモ 50g)

きのこ類 5g(例…シメジ 5g)

海藻類 5g(例…ワカメ 5g)

果物類 150g(例…リンゴ 50g、バナナ 50g、ブドウ 50g)


 


12~14歳の子ども


緑黄色野菜 100g

緑黄色野菜100g

淡色野菜 200g

淡色野菜200g

いも類 100g

いも類100g

きのこ類 10g

きのこ類10g

海藻類 10g

海藻類10g

果実類 150g

果実類150g


 

緑黄色野菜 90g(例…ホウレンソウ 30g、カボチャ 30g、ニンジン 30g)

淡色野菜 200g(例…レタス 40g、トマト 40g、インゲン 40g、キュウリ 40g、ブロッコリー 40g)

いも類 100g(例…ジャガイモ 50g、サツマイモ 50g)

きのこ類 10g(例…シメジ 10g)

海藻類 10g(例…ワカメ 10g)

果物類 150g(例…リンゴ 50g、バナナ 50g、ブドウ 50g)


 


15~17歳の子ども


緑黄色野菜 120g

緑黄色野菜120g

淡色野菜 230g

淡色野菜230g

いも類 100g

いも類100g

きのこ類 10g

きのこ類10g

海藻類 10g

海藻類10g

果実類 150g

果実類150g


 

緑黄色野菜 90g(例…ホウレンソウ 30g、カボチャ 30g、ニンジン 30g)

淡色野菜 230g(例…レタス 50g、トマト 50g、インゲン 40g、キュウリ 40g、ブロッコリー 50g)

いも類 100g(例…ジャガイモ 50g、サツマイモ 50g)

きのこ類 10g(例…シメジ 10g)

海藻類 10g(例…ワカメ 10g)

果物類 150g(例…リンゴ 50g、バナナ 50g、ブドウ 50g)


 


ママやパパの場合


緑黄色野菜 120g

緑黄色野菜120g

淡色野菜 230g

淡色野菜230g

いも類 110g

いも類110g

きのこ類 10g

きのこ類10g

海藻類 10g

海藻類10g

果実類 150g

果実類150g


 

緑黄色野菜 90g(例…ホウレンソウ 30g、カボチャ 30g、ニンジン 30g)

淡色野菜 230g(例…レタス 50g、トマト 50g、インゲン 40g、キュウリ 40g、ブロッコリー 50g)

いも類 110g(例…ジャガイモ 60g、サツマイモ 50g)

きのこ類 10g(例…シメジ 10g)

海藻類 10g(例…ワカメ 10g)

果物類 150g(例…リンゴ 50g、バナナ 50g、ブドウ 50g)


 


 


 


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保湿剤を塗っても、塗っても、乾燥するのはなぜ?


こんにちは。橋本です。


保湿剤を塗っても、塗っても乾燥肌がよくならない。おさまらない。


アトピーではそういう場合、適切にステロイド外用薬を使ってあげると、


「今までは何だったのか?」


というぐらい、スムーズに肌の乾燥がおさまってくれることがあります。


アトピー:保湿剤


 


乾燥ではなく、軽いアトピー?


ごく普通の乾燥肌なら、うまく保湿剤を使ってあげると、ゆっくりと潤いのある肌を取り戻すことができます。


しかし、アトピーの場合だと、少し事情が違うんですね。


皮膚を見ただけでは、乾燥しているだけのように見える。


そんな肌も、アトピーによる症状の場合、皮膚の内部で、すでに軽い炎症をおこしているケースもあるのです。


いわば、軽いアトピー。


ただの乾燥肌に見える部分も、軽いアトピーの症状である可能性もあるわけです。


アトピーの乾燥肌:保湿


 


乾燥肌に薬なんて使いたくない


「薬をなるべくなら使いたくない」


そういう思いが強いと、乾燥肌にまで、わざわざステロイド外用薬を使って治療するのは、かなり抵抗があるかと思います。


ですが、弱い炎症でも、放置をすれば、肌にダメージを与え続ける場合もあります。


それが、「いくら保湿剤を塗っても、乾燥肌が治らない」という現象につながることがあるわけです。


素人目には、乾燥肌だからといって、皮膚に軽い炎症がおきているなんてことはイメージできません。


でも実際は、軽症のアトピーでは、荒れた乾燥肌になり、内部で弱い炎症がおきているケースがあるのです。


アトピー:軽症


 


アトピーの重症度に合わせた外用薬の選択


ここで少し、日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドラインをみてみましょう。


ガイドラインでは、アトピーの重症度を


重症

中等症(ちゅうとうしょう)

軽症

軽微(けいび)


この4段階にわけています。


そして、それぞれの重症度に合わせて、治療に使用する外用薬を変えることをすすめています。


で、ここで問題なのが、「軽症」と「軽微」の違いです。


「軽症」と「軽微」について、その違いと外用薬の選択をガイドラインでは、こう説明しています 1)


軽微(けいび)

炎症症状に乏しく(とぼしく)乾燥症状主体

ステロイドを含まない外用薬を選択する

軽症

乾燥および軽度の紅斑(こうはん)鱗屑(りんせつ)などを主体とする

ミディアムクラス以下のステロイド外用薬を第一選択とする


このように、同じ乾燥症状でも、炎症症状がほとんどないのが軽微(けいび)のアトピー。


皮膚が赤くなる紅斑(こうはん)や、皮膚がポロポロはがれる鱗屑(りんせつ)といった、すでに炎症がおこっているような症状が軽症のアトピーなんですね。


2つは同じ乾燥症状だとしても、ステロイド外用薬を使うか、使わないかが変わってくるわけです。


しかし、素人が乾燥肌をみても、軽微のアトピーか、軽症のアトピーかは、正しく判断できません。


だからこそ、多くの人の肌を診察して、診断、治療をおこなう経験を積んできたお医者さんに診てもらう必要があるのです。


 


アトピーとは、炎症が何度も繰り返す病気


アトピーの治療のキモ。それは、


絶えず繰り返す皮膚の炎症をどうコントロールするか?


です。


そこで、皮膚の炎症をおさえることのできるステロイド外用薬があれば、アトピーの子どもにとっても、アトピーと戦うための大きな武器を持ったことになるんですね。


アトピーのケアでは、「武器に保湿剤しか持たない」というのは、竹やりを持って戦争に向かうのと同じようなものです。


ただし、ステロイド外用薬という武器は強力なだけに、使い方が大事。


使うときを見極めて、「使う時は使う」というのが大事なんですね。


一見、乾燥肌にしか見えない症状も、軽いアトピーだととらえ、ミディアムクラスのステロイド外用薬を適切に使うと、きれいに治ることがある。


こういったケースも、ステロイド外用薬の適切な使い方を覚える上で、ぜひおさえておいてもらいたいポイントです。


 


炎症のダメージによる乾燥


ひからびた田んぼには、水をまけば元に戻るような気がします。


だから、乾燥肌は保湿すれば治る、と。


しかし、アトピーによる乾燥は、皮膚内部でおこっている炎症、それによる肌へのダメージによってあらわれている場合もあるのです。


軽いアトピーというのは、単なる「ひからびた田んぼ」ではありません。


田んぼの地中では、弱い炎がくすぶっているのかもしれないのです。


乾燥:炎症


 


今まで保湿剤だけを塗っていたのがバカらしい


一週間ほど、ステロイド外用薬をコツコツ塗っていくと、翌週には肌を触るのがうれしくなるほど、モチモチになることも実際にあるんですね。


そうなると、「今まで、延々と保湿剤を塗っていたのは何だったのか?」とバカらしい気持ちになってしまいます。


ですが、この考え方も度を過ぎると、「何でもかんでもステロイドを塗ってしまえ!」というふうになってしまい、ステロイド外用薬の使い過ぎになってしまいます。


ステロイド外用薬の使い過ぎは、やはり、長い目でみると、肌を弱くしてしまいかねません。


 


必要なときに、適切に使う


でもアトピーだと、乾燥肌だからといって、軽く見ることは案外できないんですよね。


単なる乾燥に見える症状でも、適切なケアをせず長く放置すると、象のような肌になる苔癬化(たいせんか)のような状態になりかねないからです。


なかなか治らない乾燥肌は、軽症のアトピーだと疑って、「ステロイド外用薬も使ったほうがいいか?」、お医者さんとよく相談するのがベスト。


もちろん、ステロイド外用薬を使ったら、副作用が出ていないか、再診で肌をていねいに診てもらうことも重要です。


 


 


 


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参考文献:

1) 古江 増隆, 佐伯 秀久, 古川 福実ほか: 日本皮膚科学会編「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」. 日皮会誌 119(8): 1515-1534, 2009.