「ステロイド外用薬は怖くない」は本当か? | 子肌育Blog アトピーに負けない生活。

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子どものアトピー性皮膚炎治療、スキンケアなどについての正しい知識を、わかりやすくまとめています。

「ステロイド外用薬は怖くない」は本当か?


こんにちは。橋本です。


アトピーは、湿疹、かゆみなど。皮膚の炎症が、症状を悪化させる病気です。


だから、この「皮膚の炎症」をおさえないことには、なかなか楽にはなりません。


で、今のところステロイド外用薬ほど、「皮膚の炎症」をおさえる力をもった塗り薬は、ほかにありません。


私も、ステロイド外用薬なしでアトピーの治療をするのは、「消防車を使わずに火事の現場へ向かうものですよ」と説明しています。


でも。でも、ですよ。


「ステロイド外用薬は、怖がることなんかない」なんてことまで、いう人もいます。


これって本当でしょうか?


ステロイド外用薬が怖い本当の理由


結論からいうと。


私は、ステロイド外用薬は、じゅうぶん「怖がっていい薬」だと思っています。


ポイントをさえおさえて使えば、「怖い薬だ」という意識をもって使ったほうが、うまく使える塗り薬。


私は、ステロイド外用薬を、そうとらえています。


なぜなら、ステロイド外用薬をあまりにも気軽に常用すると、常用しているところの皮膚が、だんだん薄くなってしまうんですね。


これは、副作用です。


ステロイド外用薬は、皮膚の炎症をおさえると同時に、皮膚の生まれ変わりを助ける細胞の働きもおさえてしまいます。


それが、長く使うと副作用として、「皮膚が薄くなる」「肌のみずみずしさがなくなる」など、目に見える変化としてあらわれるわけです。


「皮膚が薄くなる」「肌のみずみずしさがなくなる」ということになると、結果的に皮膚のバリア機能が落ちてしまいます。


バリア機能が落ちてしまうと、「アレルゲン」や「刺激」など。


アトピーを悪化させるものが、皮膚の中に入りやすくなってしまうんですね。


つまり、皮膚の炎症をおさえるために使っているステロイド外用薬によって、長い目でみると、炎症をおこしやすい弱い肌になってしまうわけです。


はたして、これを「怖くない」といえるでしょうか?


湿疹ができたら、ステロイド外用薬でおさえないわけにはいきません。


でも。


湿疹ができたからといって、「出たら塗る、出たら塗る・・・」と、もぐらたたきのように繰り返していくと、バリア機能の弱い皮膚になってしまいます。


無計画な使いかた。ダラダラとした使いかた。


ステロイド外用薬は、そういう使い方には向いていない薬です。


少しコツがあるんですね。


ステロイド外用薬で湿疹をきれいにする。

見た目がよくなっただけでストップせず、皮膚の中の炎症が消えるまでしっかり塗る。

保湿剤でフォローアップ。

保湿剤を続けて、なるべく長くいい状態をキープする。

いい状態のうちに、できる範囲で悪化原因(ダニ、カビ、ペット、汗、汚れなど)を取り除く。


こういう使い方を守ることが、重要です。


ここで、最初の話に戻ります。


「ステロイド外用薬は怖くない」は本当か?


私はステロイド外用薬を、「怖い薬」だと思っています。長期的に常用すれば、皮膚のバリア機能が弱くなるからです。


ステロイド外用薬を「怖い」と思って、心配になり、いろいろとお医者さんに質問するママさんたち。


それを「ちょっと、神経質すぎるよねー」なんていう人もいますが、そういう人はアトピーの治療について何もわかっていません。


「怖い薬だ」という認識をもって、薬の厳しい管理をできるママのほうが、かえってステロイド外用薬をうまく使えるのです。


決して、「無計画な使いかた」「ダラダラとした使いかた」「気軽な使い方」をしないわけですから。


世の中には、薬を使っても、なかなか炎症をおさえられない。薬が効かない病気もあります。


そんな中でも、子供のアトピーでおきる皮膚の炎症は、そのほとんどが、適切なステロイド外用薬を、正しく使えば、おさえられます。


うまく使えば、長期間の常用は避けられるわけです。


長期間の常用は、皮膚のバリア機能を弱め、炎症をおこしやすい肌になってしまう可能性があります。


ですから。


「ステロイド外用薬は怖くないですよー」は、間違っています。


「なんとなく怖いなー」でも、いけないと思います。


ステロイド外用薬という、使い方に「コツ」がいる薬を、いかに使うか。それによって、アトピー治療の結果は、大きく変わってきます。