子どもが野菜を嫌う理由
こんにちは。橋本です。
子どもには、なぜか野菜が苦手な子が多いですよね。
「野菜を嫌う理由はこれです!」とは単純に言えないのですが、まずあるのが子どもならではの味覚です。
匂いが嫌い、舌触りが嫌い、感触が嫌い。
生理的に嫌いというのがあるんですね。
もう、これはどうしようもありません。味覚は、明日からすぐに変わるものでもありませんから。
ただ、すぐには変わらないものの、時間をかけて大人に近づいていけば、いつの間にか野菜を普通に食べられるようになるものです。
しかし。
その一方で、学校に入ってからも、大人になっても、「野菜がどうしても食べられない」という子もいます。
そこまで、野菜嫌いな理由とは、いったい何なんでしょうか?
「もっと野菜を食べるべき」は大人の都合
野菜は体にいい。
だから、
・ 食べるべき
・ 食べさせたい
・ 食べてもらいたい
しかし、こういった願望は、すべて親の都合です。
幅広い食材を少しずつ食べるのが、子どもの体にとって、より安全なのは間違いありません。
だからといって、野菜を食べれば食べるほど、健康になるというのは、間違い。
野菜を食べれば、健康になって、食べなければ病気になる。
もっと食べないと、免疫アップしない、といえるほど食べ物は単純ではありません。
たとえば、野菜をたくさん食べさえすれば、肌がきれいになるとか、アトピーがよくなるということもないですし。
特定のものを食べると、病気が治るということもありません。
無理強い(むりじい)をさせるから
成長のために、子どもには、できるだけ野菜を食べてもらいたい。
それを理由に、無理強い(むりじい:無理やり)させれば、させるほど、野菜を食べるのが嫌になるのが、子どもです。
ましてや、
・ 一口食べるまで、食事を終わらせない
・ この野菜を食べないと、デザートはなしだからね
などと、脅したり、罰を与えてでも食べさせようとすると、余計に「野菜を食べたくない」という気持ちが大きくなり、おさえられなくなります。
首ねっこをつかまえて、脅して無理強いすれば、その場は解決しても、長期的にみると逆効果になることもあるわけですね。
家庭内で野菜を食べないことについて、厳しくしかるというのも、野菜嫌いになる理由のひとつです。
野菜はカロリーが少ない
子どもがなかなか野菜を食べないというのには、子どもなりの事情もあります。
それは、野菜はカロリーが少ない、ということです。
胃袋が小さい子どもにとっては、野菜ばかり食べることは、エネルギーの効率が悪いんですね。
大きな胃袋の大人ではたくさん野菜を食べても問題ないですが、子どもではエネルギーが不足しがちになってしまうという問題もあります。
実際に食品のカロリーをみてみると、母乳(100mlあたり)は、約70kcal。
ほかの食品(100gあたり)をみると、
ゴハン:168kcal
サバ:202kcal
ハンペン:94kcal
豚バラ肉:386kcal
鶏モモ肉:200kcal
全卵:128kcal
牛乳:67kcal
ブドウ:59kcal
オレンジ:39kcal
イチゴ:34kcal
バナナ:86kcal
野菜でも、豆類や根菜類(100gあたり)は、
納豆:200kcal
ソラマメ:112kcal
カボチャ:60kcal
レンコン:66kcal
ゴボウ:58kcal
ジャガイモ:73kcal
サトイモ:59kcal
ニンジン:30kcal
ダイコン:18kcal
タケノコ:30kcal
タマネギ:37kcal
と、割とカロリーがあるものもあるんですが、ほかの野菜は、
トマト:19kcal
キャベツ:23kcal
ナス:22kcal
ブロッコリー:27kcal
キュウリ:14kcal
アスパラガス:24kcal
ホウレンソウ:25kcal
など、カロリーがほかの食べ物に比べて少ないのです。
野菜ばかりで胃袋をいっぱいにしてしまうと、成長に必要なエネルギーをまかなえなくなることも考えられます。
子どもの胃袋は小さいという事情。
それも、子どもが野菜を積極的に食べられない理由のひとつでもあるんですね。
じゃあ、どうしたら野菜を食べてもらえるの?
生理的に嫌い。だからといって、無理強いしてはいけない。子どもにも事情がある。
それもわかるけど、「じゃあ、野菜嫌いはどうしたらいいの?」という話ですが。
いくつか工夫できることをあげてみます。
1) 子どもの望む目的につなげてあげる
野菜を食べると、○○くんみたいに強くなれる、大きくなれるかもしれないよ、など子どもの目指すものに近づくことができるとアドバイスする。
もしくは、頑張って食べたなら、ほめる、一緒に喜ぶ。
大げさや嘘はいけないですが、子どもが夢中になってること、やりたいことに、うまく野菜を食べることをつなげてあげる。
そうすると、「それなら食べよう」というきっかけになります。
2) 調理にひと工夫する
ダシや肉、マヨネーズ、ドレッシングなどを工夫して、うま味、脂肪の味をうまく使う。
適度な加熱で渋さや苦さがマイルドになっているか、噛みやすいか、飲み込みやすいか、味見をする。
切り方を変えてみる、和洋中などの調理法で味に変化をつける、などの工夫をすることで野菜も、より食べやすくなります。
野菜をみじん切りにしたり、ほかの料理に隠して加えるような、「だましうち」のような方法は、あまりおすすめしません。
3) 間食をあげすぎない
間食を食べ過ぎると、せっかくの食事への興味が薄れる原因にもなります。
4) 親が野菜をおいしく食べる
親が何気なくおいしそうに食べていると、子どもは横から欲しがることもあります。
5) 親が毎食きれいに食べる習慣をつける
「残さずに食べるのが当たり前」というのを、まず親が日頃から実践する。
苦労して作ってもらったものはきれいに食べるものというのを言葉ではなく、親自身が行動でしめす。
そうすることで、食卓に上がったものは食べよう、という子どもの気持ちも後押しします。
6) 子どもの好奇心をくみとる
好奇心があれば、子どもも調理に参加できるようにしてあげる。
ママがごはんを作っている時、興味がありそうなら、どんなふうに料理するか教えてあげる。
「これがこうなるんだ」というのがわかると、食べたくなることもあります。
いつでも野菜が食べられるように整える
このように野菜嫌いを克服するには、いろんな工夫をすることも必要ですが。
でも、いちばん大切なのは、「野菜を食べさせようと無理強いしない」という気持ちです。
子どもが、ふと手を伸ばしたときに、そこに食べやすい野菜が食卓にあるように。
子どもが気が向いたときに、いつでも十分に野菜が食べられるように、環境を整えてあげることが大事です。
人間には個性があります。
なかなか野菜が食べられない子も、だんだんと野菜が食べられるようになる子もいます。
子どもによっては、どんな野菜でも、お皿から全部つまみ出してしまうことさえあります。
それも子どもの個性、成長過程と考えることも必要。
親の都合ではなく、子どもが自分で食べたいと思ったときに食べられるようにしてあげるのが、トラウマになるような野菜嫌いをなくす、ひとつの方法です。
野菜を食べてと、無理強いさせれば、余計に野菜嫌いになる。
年頃になるまで、そのトラウマを引きずってしまう可能性もあります。
小盛りでもいいから、野菜を加えた料理を並べる、ちょこっと添える。
これでもかっ(苦笑)といわんばかりに、野菜たっぷりにする、とかではなくですね。
子どもが野菜だけ徹底的に、皿からつまみ出すとしても、やり方に細かく口を出さない。
そうやって、いつでも食べられる環境を整えてあげて、あせらず待つ。
いじらしいですが、子どものことを思えばこそ。長い目で見るとそういう気持ちも大切なんですね。