はじまりは「紅斑」という症状
こんにちは。橋本です。
湿疹には、いろんな見た目、たくさんのバリエーションがあります。
そのひとつに、「紅斑(こうはん)」というのがあります。
アトピー性皮膚炎の症状としても、紅斑はよくみられます。
しかし、アトピー以外にも紅斑がみられる病気は数多くあり、「紅斑だからアトピーだな」とは簡単にはいえません。
アトピーかどうかの判断は、必ずお医者さんにしてもらうことが大切です。
実際の症例写真:紅斑
紅斑は湿疹の第一段階
「紅斑」は、ひらたくいえば、「皮膚に赤みが出てはれた状態」です。
アトピーの場合、湿疹は皮膚に炎症がおこることでできます。
「紅斑」は、その炎症によるダメージが、はじめに目に見える形になったもの。
湿疹のはじまり、ともいえるわけですね。
アレルギー反応をおこす抗体、IgEのネーミングは、「Erythema(紅斑)」の E からきています。
「炎症により肌の細胞がダメージを受けて、毛細血管が拡張し、血液の成分も血管の外にしみ出る」
そのために、皮膚が赤くなったように見えます。
紅斑が発展していくと・・・
ごく初期の「紅斑」には、盛り上がりはありません。
アトピーの場合には、カサカサして、かゆみがあります。
さらに炎症がそのまま続くと、紅斑は盛り上がってブツブツができ、炎症が長期間続けば「苔癬化(たいせんか)」という状態に発展していくこともあります。
「苔癬化(たいせんか)」は、皮膚が厚く硬くなった状態。
そこまでいくと、強めのステロイド外用薬を使わないと、炎症がなかなかおさまらないだけでなく、症状もぶり返しやすくなってしまいます。
やはり、そのためには、初期の「紅斑」の段階で、炎症をしずめてあげたほうが、そのあとのケアは楽になります。
そのあたりは、虫歯の治療などにも似てますよね。
強い紅斑が長く続いたり、繰り返したりすると、湿疹が治っても、皮膚に色素沈着が残ることもあります。
初期消火が基本
もちろん、アトピーは、「良くなったり」「悪くなったり」が繰り返す病気です。
紅斑をほうっておいたら、必ずひどくなるとも限りません。
自然によくなることも、少なくありません。
しかし、「ほうっておく」、良くいえば「自然治癒」。そのような、なりゆきにまかせるのは、ギャンブルみたいなもの。
よくなることもあるかもしれませんが、逆に、悪くなって湿疹が広がってしまうことも、十分ありえるのです。
軽い乾燥や「紅斑」の段階で、炎症をおさえておけば、肌をぶり返しにくい、いい状態にキープしやすくなり、自然治癒にもつながりやすくなるんですね。
炎症を早めに消す。
そして、スキンケアも続けながら、ゆっくり悪化因子をなくしていく。
それが、アトピー治療の基本です。
しかしだからといって、炎症をちょこちょこ薬でおさえていることを繰り返すのもよくありません。
「薬は使うべきときに、正しい使い方をする」
ステロイド外用薬にしても、プロトピック軟膏にしても、ここのところを、ぜひマスターしてくださいね。
参考記事:
「虫刺されの薬」のように、ステロイドを使ってはいけない