「IgE」ってなんですか?
こんにちは。橋本です。
アレルギーが関係する病気では、「IgE」という言葉がよく使われます。
「IgE」というのは、アレルギーの専門用語です。
アレルギーの治療にかかわったことがあれば、なんとなく、フィーリングで、「IgE」というものを知っている人も多いかと思います。
ここで改めて、「IgEとはなにか」を少し説明しておきますね。
「IgE」に関連するキーワードは、「免疫」「アレルギー」「抗体」です。
免疫とは
人間には、細菌、ウィルスなどの病原菌から、身を守るシステムが備わっています。
そのシステムを「免疫」とよんでいます。
免疫システムがあるからこそ、風邪を引いても、そのうちになおるんですね。
赤ちゃんが、汚いものをさわったり、なめたりしても、病気にならないのも、免疫システムがあるからです。
侵入されると抗体ができる
そして、一度でも、病原菌などにさらされると、体には「抗体」というものができます。
次から病原菌などが体に侵入しようとすると、この「抗体」が病原菌をキャッチしてつかまえるんですね。
「抗体」がキャッチしたあとは、免疫システムがはたらいて、病原菌を撃退してくれます。
つまり、この「抗体」がないと、病気にかかりやすい状態なんですね。病原菌などをうまくとらえることができないわけですから。
免疫システムを利用する
逆にいうと、「抗体」があれば、病気にかかりにくくなるわけです。
この考え方を実際に応用しているのが、予防接種なんですよね。
弱い病原体を、わざと体に注射して、病気にかかる前に、あらかじめ「抗体」を作っておく。
それが予防接種の役割です。
免疫システムは、病原菌など、体に害を及ぼすものを撃退するシステムです。
免疫システムで、アレルギーがおきる
この免疫システムが、体に直接害のない異物。たとえば、ダニ、花粉などに対して働くことがあります。
それを、アレルギーとよぶんですね。
アレルギーをもっている人だと、アレルギーをおこす異物を、キャッチするものが体に多く存在しています。
アレルギーをおこす異物を、キャッチするもの。これも「抗体」とよんでいます。
同じ「抗体」でも、即時型アレルギーに関係する抗体は、「IgE」とよばれています。
即時型アレルギーとは、アレルギーのなかでも、アレルゲンにふれてから1~2時間ぐらいであらわれるアレルギーのことです。
「IgE」は、「免疫グロブリンE」を略したもので、英語で書くと Immunoglobulin E となります。
Immunoglobulin E の頭文字をとって、IgE。
「免疫グロブリンE」の E は、英語の Erythema をあらわしていて、Erythema とは、「皮膚が赤くなること」「紅斑(こうはん)」を意味しています。
IgEで何がおきるのか?
IgEが、アレルゲンをキャッチすると、IgEがくっついている細胞から、アレルギー反応を引き起こす物質がまきちらされます。
この物質がいろんな反応を体におこす結果、体にダメージを与えるため、アレルゲンに接触した部分に炎症があらわれるわけです。
・ 気道に炎症があらわれれば、ぜんそく
・ 鼻に炎症があらわれれば、アレルギー性鼻炎、花粉症
・ 皮膚に炎症があらわれれば、じんましん
アトピーに関していえば、「IgE」がどれだけ影響しているかは、人それぞれ違っていて、個人差はかなり大きいのが現状です。
アトピーという病気に「IgE」が関係していることは、間違いありません。
しかし、「IgE」がどれだけ関係しているか、ということは、まだはっきりわかっていません。
「IgE」が反応した、典型的な皮膚症状は、「じんましん」です。アトピーではありません。
そのため、アトピーを治療するうえでは、「IgE」を意識することに、現時点ではあまり意味はありません。
おさえておいてほしいのは、
・ 「IgE」は、アレルゲンをキャッチするもの
・ キャッチすると、アレルギー反応がおこり、体に炎症が出る
・ しかし、アトピーにどれだけ「IgEによるアレルギー反応」が影響しているかは未知数
ということですね。
よく誤解されていることですが、「IgEによるアレルギー=アトピー」ではありません。
アトピーにIgEによるアレルギー反応が関係しているのは間違いないが、どれだけ影響しているかわからない。
つまり、アレルゲンの除去がどれだけアトピーの改善に役立っているかも、未知数なのです。
そういう意味でも、アトピーの治療で最優先されるべきは、「皮膚の炎症をおさえる」「皮膚のバリア機能の回復させる」ことなんですね。
参考記事:
IgE値 : (血液検査の読みかた)