■ Even Money
小説家のキャロリンはスランプからついカジノに手を出してしまい、次第に深みにハマる。
落ちぶれた手品師のウォルターからアドヴァイスを受ける。しかしやはり損失を挽回できない。
一方で大学バスケットを舞台にして八百長が行われている。
配管工のクライドが借金のために脅されて、弟のバスケット選手のゴッドフリーが八百長をしている。
ウォルターはゴッドフリーの大学が負けるという情報をキャロリンにもたらす。二人は有り金をかける。
しかしクライドは、もう決心がついた。弟にもう八百長を要求しない。


製作:2006年、脚本:ロバート・タネン、監督:マーク・ライデル   予告編   予告編   予告編  


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■ 登場人物(キャスト)  キャロリン・カーヴァー(キム・ベイシンガー) 小説家
 トム・カーヴァー(レイ・リオッタ) キャロリンの夫、大学教授
 ニコル・カーヴァー(カーソン・ブラウン) トムとキャロリンの娘
 ゴッドフリー・スノウ(ニック・キャノン) 大学バスケットの選手
 クライド・スノウ(フォレスト・ウィテカー) ゴッドフリーの兄、配管工
 マーフ(グラント・サリヴァン) 学生、ノミ屋
 オーギー(ジェイ・モーア) 学生、ノミ屋
 ヴェロニカ(カーラ・グギノ) 看護師、マーフの恋人
 ヴィクター(ティム・ロス) 大物のノミ屋
 ウォルター(ダニー・デヴィート) マジシャン
 ブルナー(ケルシー・グラマー) 刑事
 ワシントン(チャーリー・ロビンソン) セントフランシス大学のコーチ


■ あらすじ

作家がスランプに陥って小説が書けなくなりギャンブルに狂ってしまうというありがちなストーリー。それを演じるのは、そういうことがありそうもないキム姐さん。

主人公は作家キャロリン・カーヴァー(キム・ベイシンガー)。キャロリンのストーリーの他に別ストーリーも展開するが、最後で繋がってくる。場面的にはキャロリンのストーリーが多い。

◆アイヴァンとウィン・ロー

本作には謎の大物ノミ屋として「アイヴァン」なる人物が背景にいる。表には登場しない。

まず冒頭でウィン・ローというノミ屋の死体が発見される。

◆ キャロリン

キャロリンは文章が書けなくなった苛立ちからか、通りすがりのカジノでギャンブルに手をだす。勝つこともたまにはあるが、次第に負けが込んでくる。

夫のトム(レイ・リオッタ)は大学教授。シェイクスピアあたりを研究しているらしい。キャロリンは、トムには「喫茶店で書いている」などと言って、実はカジノに通っている。

二人には13歳の娘ニコル(カーソン・ブラウン)がいる。このニコルがなかなかで、母親に「セックスのことを書けば、売れるのよ」などと「アドバイス」したりする。

トムは留守がちのキャロリンの代わりということもあろうがニコルのために食事を作ったりしている。ニコルとの関係もよい。よくできた夫である。また女子学生が単位が危ないので、トムに怪しげな依頼をしてくるが「勉強しなさい」と諭す。

キャロリンの帰りがいつも遅いので次第にトムはキャロリンの行動に疑問を持ってくる。

◆ クライド・スノウとゴッドフリー・スノウ

ゴッドフリー・スノウ(ニック・キャノン)はセントフランシス大学のバスケットの選手。ロヨラ大学のジャクソンとはライバルである。二人とも非常に有望な選手である。

兄のクライド・スノウ(フォレスト・ウィテカー)は配管工。仲がよい兄弟ではあるが、借金があることもあり、時々ゴッドフリーに八百長を頼んでいる。

いったんはゴッドフリーに約束したのだが、たびたび約束を破って八百長のお願いをしてくる。


◆ マーフとオーギー

マーフ(グラント・サリヴァン)とオーギー(ジェイ・モーア)は学生ではあるが、もう授業にはでておらず、ノミ屋をやっている。クライドを苦しめているのは彼らである。

マーフには恋人ができた。看護師のヴェロニカ(カーラ・グギノ)。オーギーは「一時の熱だ」と言うが、マーフは真面目である。

しかしヴェロニカが偶然に旧友と出会ってマーフの正体を知ってしまいマーフは振られてしまう。「ノミ屋と一生共にしたくない」「愛してると言ってくれ」「愛してないわ」。

マーフはノミ屋の仕事に対して疑問を持ち始める。

一方オーギーは胃痛に悩まされている。

◆ ヴィクター

ヴィクター(ティム・ロス)は、マーフとオーギーよりは大物のノミ屋である。

オーギーに「一緒に仕事をしよう」と持ち掛ける。オーギーは「ヴィクターがアイヴァンではないか」と疑っている。

オーギーはいったんはヴィクターの話を断るが再度ヴィクターに会いに行く。実はこの時に盗聴器を仕掛けていて警察がそれを傍受している。ここでヴィクターはウィン・ローを殺したことをオーギーに話す。

しかしヴィクターは警察にも顔が利き、ウィン・ロー殺害の証言の録音を消去させる。

◆ ウォルター

ウォルター(ダニー・デビート)は落ちぶれた手品師である。トレーラーハウスに住んでおり、カジノで小金を稼いだりして生活している。

キャロリンに出会い若干のアドバイスをしたり、またキャロリンと組んでインチキをして稼いで、キャロリンと分けたりする。

それなりのワルではあるが、言ってみれば実直なワルである。

キャロリンをトレーラーハウスに連れてきて、手品の腕を披露し「一緒に組まないか」と提案する。

トレーラーハウスの中には「アメイジング・エイブラハム」というポスターが貼ってあり、かってのウォルターの栄光を示している。キャロリンは、このポスターを見て次作のヒントが浮かんでくる。


◆ キャロリン

キャロリンの行動がますます怪しい。トムからしてみると疑わしいのは浮気である。キャロリンを追求する。

キャロリンは否定するのだが、カジノのことは言えないので、納得できる説明をできるわけもない。キャロリンは「あなたは退屈なの!」とか説明にはなっていないことを言って逆切れする。

ニコルもトムに「ママ、浮気してるの?」と聞く。

トムはキャロリンを尾行してカジノに入ったことを確認する。そして銀行預金の残高を見て、キャロリンが使い込んでいることを確認し愕然とする。ほとんど残高がない。

ここに至ってトムはキャロリンに離婚を言い渡す。

◆ 決着

すべての情勢が煮詰まってくる。

ゴッドフリーの八百長がコーチにバレて厳重注意を受ける。

胃痛で悩んでいたオーギーが死亡する。後で毒殺であることが判明。

ヴィクターがクライドに会い、脅してゴッドフリーの八百長を約束させる。すなわちセントフランシス大がロヨラ大に負ける。

ウォルターがヴィクターに会いに行って「アイヴァンの居所を教えてくれ」と頼む。ヴィクターは「俺の車を磨け」と嫌がらせの要求をするのでウォルターは怒る。

しかしヴィクターは「今度はセントフランシス大が負ける」という情報を教える。その情報をウォルターが信じてしまったのは信じがたいが、そのように展開する。

ウォルターはキャロリンに話を持ち掛けて、二人とも「セントフランシス大が負ける」に賭ける。キャロリンは、もう金を持っていないが「エージェントから借りられるかも」と言って金を調達する。

クライドは、もう覚悟が決まったようである。ゴッドフリーを励ます。八百長の話は持ち出さない。

試合は、最後のタイムがあり残り時間は9.4秒で再開、ゴッドフリーが劇的なシュートを決めて、セントフランシス大が逆転勝ち。86対85。キャロリンは気が狂ったようにウォルターを殴る。ヴィクターは茫然と結果を見ている。

◆ 結末

クライドはセントフランシス大の勝利を確認して会場を後にする。もう後悔はない。晴れ晴れとしている。鼻歌を歌っている。しかし車が近づいてきて殺される。犯人は明示されないが、おそらくヴィクターの手先。

ヴィクターはウォルターに射殺される。そしてウォルターはトレーラーハウスの中で首を括る。

ヴェロニカとマーフが仲直りしてデートする。

そして我らのキャロリン。「アメイジング・エイブラハム」が完成・出版されて、サイン会が開かれる。サイン会にトムが現れる。トムはキャロリンとよりを戻すつもりはないが、小説の出版を祝いに来た。

 


■ 蛇足

本作のキム姐さんは、他の作品とは髪の色が少し違うようである。茶色っぽい。おそらく染めているのだろう。

内容はご覧のようにシリアスな展開だが、けっこう面白かった。キャロリンが遊んではしゃいでいる時は、意外にも生き生きとしている。見ていて笑ってしまった。

キム姐さんがギャンブルをする作品は他にはないが、まじめ風なキム姐さんには、こんな才能もあったのかと感心する。ウォルターと組んで詐欺をするところも秀逸。

アホらしい話題を二つ。マーフがヴェロニカのことを「今度は違う。ハートで感じるんだ」と言うと、オーギーは「ここで感じてるんだろ」と股間を指さす。(まだ険悪な関係でない時に)トムがキャロリンに「寂しかった」と言うと、キャロリンは「息子さんも寂しかった?」と聞く。「息子に聞いてくれ」。教授と作家の会話とは思えん。

キム姐さんの2006年出演作は本作以外に「The Sentinel(ザ・センチネル/陰謀の星条旗)」と「The Mermaid Chair(マーメイドの祈り)」がある。

本作ではギャンブルに嵌まり、他の二つでは浮気をしている。なかなかよい出演作に恵まれた年である(笑)。ちなみに「ザ・センチネル」では大統領夫人役。大統領夫人が浮気するというすごい設定。

本作と「The Mermaid Chair」では夫が料理をする場面がある。妻がこのような状態なのに、なかなかできた夫である。さすがに大統領は自分では料理しない。

「The Mermaid Chair」にも娘が一人いる。17歳。本作と同じく13歳の娘がいるのは「花嫁はエイリアン」。

本作はキム姐さんが離婚される唯一の映画。「あなたに恋のリフレイン」では三回も離婚するが、すべてキム姐さんが離婚を言い渡す。
 


キム・ベイシンガー
(1978)ケイティ/Katie: Portrait of a Centerfold
(1981)解剖室殺人事件/KillJoy/Who Murdered Joy Morgan
(1982)大金塊/Mother Lode
(1984)ナチュラル/The Natural
(1986)ノーマーシィ/非情の愛/No Mercy
(1987)ブラインドデート/Blind Date
(1987)消えたセクシーショット/Nadine
(1988)花嫁はエイリアン/My Stepmother Is an Alien
(1989)バットマン/Batman
(1991)あなたに恋のリフレイン/The Marrying Man/Too hot to handle
(1992)愛という名の疑惑/Final Analysis
(1992)クールワールド/Cool World
(1993)ブロンディー/女銀行強盗/The Real McCoy
(1994)ゲッタウェイ/The Getway
(1994)プレタポルテ/Ready to Wear/Pret-a-Porter
(2000)永遠のアフリカ/I Dreamed of Africa
(2000)ブレス・ザ・チャイルド/Bless the Child
(2004)トラブル IN ベガス/Elvis Has Left the Building
(2004)セルラー/Cellular
(2006)マーメイドの祈り/The Mermaid Chair
(2006)ザ・ゲーム/Even Money
(2013)リベンジ・マッチ/Grudge Match