■ Batman/カメラウーマンがバットマンの恋人になる


製作年:1989年     予告編   予告編   予告編   予告編   インタヴュー  


■ 登場人物(キャスト)
 ヴィッキー・ヴェイル(キム・ベイシンガー)
 ブルース・ウェイン/バットマン(マイケル・キートン)
 ジャック・ネーピア/ジョーカー(ジャック・ニコルソン)
 アレクサンダー・ノックス(ロバート・ウール)
 


■ あらすじ

◆ ヴィッキー・ヴェイル

この映画は、ヴィッキー・ヴェィル(キム・ベイシンガー)のまさにファッションショーのようである。いくつもの服や帽子を取り換え、髪型を変えて登場する。メガネをかけたり外したりする。

全般に暗い場面が多く、その中でヴィッキーのファッションがさらによく見えるという効果を醸し出している。画面は暗くてもヴィッキーの顔はちゃんと見えるように撮影している。

「仕事で出張してきているのに、そんなにファッショナブルな服をいくつも持ってきているのか?」と疑問が湧く。また最初はストレートの髪型だが、途中でパーマになって、またストレートになってしまっている。その後また再度髪型が変わっている。そんなに頻繁に美容室に行ったのか?これも疑問である。

ヴィッキーはとても魅力的な女性である。

しかも単にきれいなだけではなく、ヴィッキーは、爽やかで知的である。ちゃんと個性を持っている。ノックス記者やブルース・ウェイン(バットマン)に対して、はっきりとした物言いをする。これが素晴らしい。

この映画をニ三度見れば、ご存知ない方でもヴィッキー・ヴェィル=キム姐さんのファンになってしまうに違いない。

カメラマンいやカメラウーマンのヴィッキーは、戦場での写真をレポートしタイム誌のカヴァーストーリーとなった。今回は、ノックス記者(ロバート・ウール)のバットマンの記事に触発されて、バットマンの写真を撮影しようとゴッサムシティに来た。

◆ ヴィッキーとノックス

ヴィッキーとノックスの会話が軽快で楽しい。

初対面の場面。場所はゴッサムシティの記者クラブ。ノックス記者があるデスクに近づいていくと、ミニスカートの女性が机に脚を乗せて新聞を読んでいる。ノックスが声をかけると脚を下に降ろし、新聞をたたんだ。(3)の髪型、メガネをかけたヴィッキーが現れる。女性が脚を机の上にあげているといっても、その時の印象はいやらしいものではなく、むしろ爽やかである。

「あなたの記事を読んでたの」「君の足を見てた」「ヴィッキーよ」「カメラマンだろ、僕のヌードを撮るんだったよ喜んで協力するよ」。ここでヴィッキーはタイム誌を見せる。ヴィッキーが撮った戦場の写真がある。

「この街の野生動物を撮影しに来たの。コウモリが好きなの」「信じてくれたのは君が初めてだ。僕と結婚して」「いやよ」「じゃランチおごって」「いいわ」。

「私がバットマンの写真を撮るので、二人でピュリッツァー賞を」と提案する。ゴードン総監がウェイン家のパーティに出ると言うので、二人で出かける。

しばらくの後、ノックスが「今夜食事どお?」と誘うと「今夜ブルースとデートなの」「退屈な男だよ」「ご意見ありがとう、バイ」と簡単に断られる。

ブルースのことに絡んで、ノックスが「僕たちはチームだろ?」と言うと「それ、個人的な発言でしょ?やきもち焼いてるの?」と反論。

最後ジョーカーが死亡した後にヴィッキーに「記者会見は取材しないの?、ピュリッツァー賞は?バットマンの写真は?」。そして「ボクのことは?」とちゃっかりと付け加える。ヴィッキーは賞には興味がなくなったらしい。


◆ ヴィッキーとブルース

ヴィッキーとノックスは富豪のブルース・ウェイン(マイケル・キートン)宅で開かれたパーティに出かける。ヴィッキーがブルースに「ブルース・ウェインさんはどちらに?」と聞くと「わからないな」との答え。どうもブルースは内気らしい。それとも突然美女が現れたのでうろたえたのか?立ち去っていくヴィッキーを目で追っており気になっているようである。

ノックスと二人で美術品が飾ってある部屋を見学しているとブルースが入ってきて、今度は自己紹介する。

しかし突然前触れなく、ブルースとヴィッキーが付き合い始める。ここではブルースはなぜか素早く行動する。

ウェイン家のやたらと縦長のテーブルで二人で食事。二人は五メートルくらい離れて話しながら食事。白けてしまったので、場所を変えて執事のアルフレッドと一緒に食事をする。こちらでは和気あいあい。

階段を降りる時に「私、酔ったわ。あなた酔わないの?」「空、飛んじゃってる」。ネクタイを掴んでブルースをグイっと引き寄せて「飛ぶの嫌い?」と挑発すると、ブルースがキス。この場面が非常に秀逸。

さっそく、一夜を過ごした。これも素早い。

朝になって「うちへ来ない?写真を見せるわ」「今日はだめだ。旅行に行くかもしれない」。しかしアルフレッドによれば、そのような予定はないそうである。

ブルースには謎が多いので、後日、ヴィッキーは後をつける。ブルースは道端に一輪の花を置いていく。ヴィッキーは、その花を見て考え込む。ノックスに「パール通りで昔何か事件があったか調べてくれる?」と依頼する。

昔、その場所でブルースの両親が殺されたことが分かる。殺したのはジャック、後のジョーカー。その時にジャックは「月夜に悪魔と踊ったことがあるか?」と言った。

ブルースの優柔不断が続く。「好意を感じたから、一晩一緒に過ごしたのに、電話もくれない。旅行に行くと言うのもウソ。あなたなんなの」。ブルースは「人は誰でも二つの面がある」と弁解。

「あの時は私たちは心が通じたのよ、でもこれはどういうことなの?私たち愛し合っていいの?」と疑問をぶつけると「そうしたいけど、あいつを倒すためには...。宿命なんだ」とつぶやく。

この優柔不断の理由は、ブルースとバットマンの二重性なのだが、ヴィッキーとしてはもどかしい。ヴィッキーのファンとしてももどかしい。

◆ ヴィッキーとジョーカー

ヴィッキーの魅力に参ったのはブルースとノックスだけではない。ジョーカーもヴィッキーに惹かれてしまった。ヴィッキーの写真を見て「俺の新しい恋人だ!」。

ブルースを装ってデートの約束を取り付ける。ヴィッキーは「美術館に10分遅れる」とアルフレッドを介してブルースに伝言するので、ブルースはヴィッキーが騙されていることを認識する。

ヴィッキーが美術館で待っていると届け物、マスク。「これを着けろ」とメモ。毒ガスが襲ってくる。周りの人々が次々に倒れていく。慌ててマスクを口にもってくる。

ジョーカー一味が現れる。しかしジョーカーは(恋人と思っているので)ヴィッキーを傷つけたりはしない。ここでバットマン登場となり、ジョーカー一味と戦う。ヴィッキーはバットマンの特技のロープ技で現場を離脱。

蛇足。ここでバットマンはヴィッキーに体重を聞く。「50キロくらい」と言うがロープで高いところに上ったところで「もっと重かったぞ」。ヴィッキーの答えは英語では「About 108,I think.」。注、108ポンドで約49KG。下に降りて戦っているバットマンをカメラに収めるが、後でバットマンにフィルムを抜き取られてしまう。これは謎。

さらに事件は続く。ブルースとヴィッキーの部屋にいる時に、再びジョーカー一味が襲ってくる。ここでブルースは驚くべき行動をする。いや行動をしない。

ヴィッキーの恋人ならば、敢然と立ちあがって一味と戦うのが本当の姿なのだが、ブルースはへらへらとしている。そして、どこかへ消えてしまう。ヴィッキーは取り残されて不安そうである。

ジョーカーはヴィッキーへの贈り物の箱を置いて立ち去る。箱を開けると花を手にした腕が飛び出してくるので、ヴィッキーは気絶。

情勢が押し詰まってきた。ジョーカーは毒が入った食品や化粧品を流通させて社会を混乱させる。そしてパレードを開き、紙幣をばらまく。そして集まった市民をターゲットに空中の巨大風船から毒ガスを噴射。

多くの市民が倒れていくが、これはバットマンがバットウィングを駆使して阻止。しかしバットウィングはジョーカーに撃墜される。

そしてジョーカーはヴィッキーをさらってビルの上に上っていく。迎えのヘリコプターが近づいてくる。バットマンが二人(と手下一味)を追ってビルを上ってくる。しかしここではなぜか得意のロープ技は使わない。

バットマンが到着し乱闘状態となるが、結果、バットマンとヴィッキーがビルから下に落ちそうになり、ビルの壁に張り付いてぶら下がる。ジョーカーは迎えのヘリコプターにぶら下がる。

この後バットマンがロープ技を使ってジョーカーを仕留める。ジョーカーは地上に落下する。
 


■ 蛇足

ヴィッキーはデスクにいる時はメガネをしていて、外出するときはメガネを外している。すなわちヴィッキーは若いのに遠視のようである。

髪型は以下の四種類。
(1)長くてパーマがかかっているもの。
(2)上の髪型のパーマをなくしてストレートにしたもの。
(3)(2)を後ろに束ねたもの。

ヴィッキーの髪は他の出演作と違い銀髪である。

ヴィッキーが持っているカメラは画面を止めてみるとNikon。カメラを持ってきてないはずなのに、次の瞬間には、カメラを構えていたりする。ま、それはよしとしよう。

ヴィッキー役はショーン・ヤング(⇒ブレードランナーのレイチェル)だったが、ケガをしたために、キム姐さんになったらしい。
 


■ リメイク案

◆ リメイク案1(キム・ベイシンガー⇒バットウーマン)

なんでリメイクするかと言えば、主たる理由はブルース・ウェインが頼りないからら。ヴィッキーの恋人ならば、もっとシャキッとしてほしい。

もうブルース・ウェインは首にしてヴィッキーをバットマンいやバットウーマンにする。

普段の姿はカメラウーマン。何かあればマスクをかぶって敢然とジョーカーに対決する。

アレクサンダー・ノックスとヴィッキーは割と気が合うので恋人同士にする。あ、いやしかしベッドシーンはなし。キスはオーケー。

ノックスがジョーカーにさらわれて「キャーッ!」と叫び声をあげるので、バットウーマンが駆けつけて助ける。

◆ リメイク案2(キム・ベイシンガー⇒ジョーカー)

さらにドラスティックなリメイク案がこれ。いや名前はジョーカーでなくてもいいけど。

ゴッサムシティなんてチンケな話は止めて、ヴィッキーは世界征服を企む悪の組織のリーダー。

この案ではブルース・ウェイン=バットマンは留任。

ジャック・ニコルソンの人材は捨てがたいのでヴィッキーの右腕。いやしかし実はリーダーの地位を狙っているとしてもよいかも。

アレクサンダー・ノックスは手下。ヴィッキーには妹もいて、ノックスと恋人同士。いやでも本当はノックスはヴィッキーが好き。いやいや敵同士だけど、バットマンもヴィッキーが好きらしい。

ラストはヴィッキーが世界征服を達成して、高笑いしているところ。
 


キム・ベイシンガー
(1978)ケイティ/Katie: Portrait of a Centerfold
(1981)解剖室殺人事件/KillJoy/Who Murdered Joy Morgan
(1982)大金塊/Mother Lode
(1984)ナチュラル/The Natural
(1986)ノーマーシィ/非情の愛/No Mercy
(1987)ブラインドデート/Blind Date
(1987)消えたセクシーショット/Nadine
(1988)花嫁はエイリアン/My Stepmother Is an Alien
(1989)バットマン/Batman
(1991)あなたに恋のリフレイン/The Marrying Man/Too hot to handle
(1992)愛という名の疑惑/Final Analysis
(1992)クールワールド/Cool World
(1993)ブロンディー/女銀行強盗/The Real McCoy
(1994)ゲッタウェイ/The Getway
(1994)プレタポルテ/Ready to Wear/Pret-a-Porter
(2000)永遠のアフリカ/I Dreamed of Africa
(2000)ブレス・ザ・チャイルド/Bless the Child
(2004)トラブル IN ベガス/Elvis Has Left the Building
(2004)セルラー/Cellular
(2006)マーメイドの祈り/The Mermaid Chair
(2006)ザ・ゲーム/Even Money
(2013)リベンジ・マッチ/Grudge Match