■ The Marrying Man(1991)/同じカップルが四回結婚、三回離婚


製作:1991年、脚本:ニール・サイモン、監督:ジェリー・リース   予告編   予告編   予告編


■ あらすじのあらすじ

結婚直前の大会社の御曹司チャーリーはショーを見に行って、歌手のヴィッキーに釘付けになる。ショーが終わってなんとヴィッキーの部屋まで訪ねていく。

ヴィッキーは当地のギャングの情婦。ギャングはヴィッキーをお払い箱にしようと思っていたところで、強制的に結婚させられる。

ヴィッキーからはすぐに離婚されるが、チャーリーは性懲りもなく、ヴィッキーのショーを見に行って、そのたびにヴィッキーに申し込む。しかしまた離婚される。
 


■ あらすじ

本作は四度結婚(と三度離婚)を繰り返した夫婦の物語。実話が元になっているらしい。

◆ 一度目の結婚

チャーリー・パール(アレック・ボールドウィン)は、歯磨き粉会社オーナーの御曹司である。時代設定は1948年ということなので、今日のように練り歯磨きではなく歯磨き粉。歯磨き粉会社と言っても馬鹿にしてはいけない。けっこう金はある。

チャーリーはもうすぐ結婚。相手はアデル・ホーナー(エリザベス・シュー)。ハリウッドの映画関連の会社のオーナーの娘。もちろんかなりの金持ち。いうまでもなく二人は熱々。

さてチャーリーは、悪友四人とともにラス・ヴェガスに遊びに行った。そしてショーを見た。ヴィッキー・アンダーソン(キム・ベイシンガー)という歌手が出演。スポットライトの中にシルエットが浮かび上がり、やたらと妖しい腕の振り方をして登場する。

チャーリーは釘付けになった。もう少し正確に言えば歌ではなくヴィッキーに釘付けになった。ここまでならば釘付けられ方の程度が若干オーバーであったとしても、まあ普通のことである。

ショーが終わってチャーリーがカウンタで飲んでいると、すぐ隣にヴィッキーが座った。そして「チャーリー」と話しかけてきた。チャーリーはびっくりするが、実はそばにいるバーテン。

話しかけるがヴィッキーは取り合わない。実はヴィッキーは当地のギャングの情婦であり、恐いギャングのお兄さんが現れて脅される。しかしなんとかヴィッキーが泊まっている部屋を聞き出す。そして別れた。

もう一度言っておくが、チャーリーは、もうすぐに富豪の娘と結婚する予定である。いくらヴィッキーが魅力的ではあったとしても、この行動は異常である。

いや画面のヴィッキーを見てみれば、チャーリーがヴィッキーに我を忘れたということは納得できる。キム姐さんにアレック・ボールドウィンが我を忘れたと言うことも納得できる。かもしれない......。注、本作の後、二人は本当に結婚する。

さてチャーリーは、本当にヴィッキーの部屋を訪れる。実はヴィッキーもまんざらでもなさそうではある。二人はベッドに入るが、電話がかかってくる。ヴィッキーは「殺される」と怖がる。

そして先ほどのギャングが現れる。ドスの効いた声で脅される。若干幸運なことではあるが、当のギャングはヴィッキーをお払い箱にしようとしていたところであり、後任の情婦も決まっている。

そこで二人は強制的に結婚させられる。神父だか牧師だかも用意されて、二人は脅されながら結婚式。そして結婚の事実が翌朝の当地の新聞に報道される。その新聞の別の面にはチャーリーとアデルの結婚の記事もあったりする。

二人は喧嘩しながらドライブする。そしてすぐに離婚。しかしヴィッキーは「でも昨日は最高に楽しかったわ」とも言った。

言うまでもなくアデルの父親はカンカンである。チャーリーに罵詈雑言。しかしこれは、若干言葉が過ぎようとも父親の方が正しい。

父親とアデルは三か月間、ヨーロッパ旅行にいく。アデルの方はチャーリーに未練があるようでもあり、その後に会うことになる。蛇足だがアデルのキャラクタはわりと面白い。

二人が旅行から戻ってきた。父親はチャーリーに「過ちを正したか?」と詰問し、結果、一週間後に結婚式となる。今回は簡素な結婚式ということになる。チャーリーは50万ドルの保証金を要求される。問題があった場合には、保証金は没収され少年院に寄付される。


◆ 二度目の結婚

さて二日後、また例の悪友仲間の登場。ショーを見に行く。しかし出場予定の歌手が病気で倒れ、別の歌手が歌うとのこと。ここでまた悪女いや運命の女性が登場する。ヴィッキー。パチパチパチ。

チャーリーは「すぐに戻る」と言って離席するが、実はヴィッキーの部屋に行く。ヴィッキーに「今度の火曜日に結婚する。結婚の決意が変わらないか確認しに来た」と言って、すぐに出ていく。

しかしヴィッキーの魅力には勝てなかったらしい。またすぐに戻ってきてドアを開けた。ヴィッキーも「さっき出ていったとき、私、死にたかった」と言う。

結果、二度目の結婚式。その後アデルの父親の手先から殴られて病院行き。病院の中で50万ドル寄付のお礼の手紙を受け取る。

とりあえず(笑)は幸せな結婚生活が始まる。ここでヴィッキーに朗報。ミュージカルのオーディションの受けることになった。非常に喜んでいる。

しかし、すんなりと行かないのがこの夫婦。チャーリーの父親が脳溢血で入院とのこと。ヴィッキーはやむなくオーディションをキャンセルして二人でボストンに行く。

二人は父親のベッドのそばに付き添ったが、ヴィッキーがトイレに立った隙に父親は死亡し死に目には会えなかった。<

跡を継いでチャーリーが社長となりヴィッキーは社長夫人。優雅な生活ではあるが、社長夫人仲間との退屈な付き合い。チャーリーは仕事熱心でヴィッキーをかまってくれない。そしてボストンではヴィッキーの望みはかなえられないという事情もある。

二年間我慢したが、喧嘩した日の翌日にヴィッキーは離婚届を置いてでていく。二回目の離婚。


◆ 三度目の結婚

またまた悪友仲間の登場。ラス・ヴェガスに旅行。車で走っていると「ヴィッキー・アンダーソン」の看板。当然の展開でショーを見る。

チャーリーは仲間を捲いてヴィッキーの部屋に行く。どうもチャーリーはぜんぜん懲りてないらしい。いやヴィッキーの魅力を考えれば当然か?

しかし今度のヴィッキーは冷淡である。当然だろう。ヴィッキーはチャーリーに花瓶などを手当たり次第に投げつける。

ヴィッキーは、またギャングの情婦になっており、ここでギャングの手下が入ってくる。チャーリーは殴られて倒れる。それを見て興奮したヴィッキーは手下を後ろから殴り倒す。二人で逃げ出す。

仲間と合流して車で逃げ出す。手下が追ってくる。あやういところで手下の車が谷底に落ちる。

三度目の結婚となるが、ヴィッキーは少し躊躇した後、誓いの言葉に頷く。

さてチャーリーは会社の株をすべて売却してしまったそうである。その金で当地で映画プロダクションを設立しヴィッキーをネタに映画を作ろうとする。チャーリーの頭の中では素晴らしい映画が出来上がるが、経験もなくあえなく倒産。

ヴィッキーが歌って稼いでチャーリーを養う。映画はできなかったが、子供はできた。

さて悪友の一人が結婚するそうである。結婚式の招待状が届くが、チャーリーは気が進まない。理由はチャーリーが自分の経済状態を自己卑下しているため。ここで喧嘩となる。発端は細かいことではあるが、売り言葉に買い言葉。ヴィッキーの怒りが爆発。

はい、ここで三度目の離婚。子供はヴィッキーが育てる。


◆ 四度目の結婚

チャーリーを除いた悪友四人組がヴィッキーのショーを見ている。相変わらず魅力的である。しかし会場を見渡すとチャーリーも来ているではないかっ!

チャーリーに聞くと、よくヴィッキーを聞きに来ているそうである。今はコンピュータ関連の会社を経営していて、それなりに順調らしい。そしてヴィッキーにプロポーズするとのこと。指輪を持ってきている。

ヴィッキーが歌いながらテーブルに来てチャーリーにキスする。会場からは大拍手。ステージに戻るが、いつのまにか指輪をしている。

今度は離婚しなかったとのこと。本当か?

 


■ 蛇足

キム姐さんは、本作で「第12回ゴールデンラズベリー賞」の「最低女優賞」にノミネートされた。私はこんなことは気にしない。いささかの揺るぎもない。残念ながら受賞はしなかったらしい(笑)。受賞していれば面白かったのに。

三度の離婚は、すべてヴィッキーの主導。

悪友の五人組の会話が楽しい。

子供が生まれたことになっているが、子供は場面には登場しない。

原題は「The Marrying Man」となっているものもあるが、私のDVDでは「Too hot to handle」。後者はイギリスでの公開のタイトルのようである。

本作ではキム姐さんはギャングの手下を殴り倒したが「消えたセクシーショット」では警官を後ろから殴り倒す。

アレック・ボールドウィンは、胸毛いっぱい男。キム姐さん出演作で、ストーリー中で離婚するのは「ザ・ゲーム」。こちらはキム姐さんは小説家キャロリン・カーヴァー。カジノに嵌って家の金を使い込んで夫(レイ・リオッタ)から離婚される。
 


キム・ベイシンガー
(1978)ケイティ/Katie: Portrait of a Centerfold
(1981)解剖室殺人事件/KillJoy/Who Murdered Joy Morgan
(1982)大金塊/Mother Lode
(1984)ナチュラル/The Natural
(1986)ノーマーシィ/非情の愛/No Mercy
(1987)ブラインドデート/Blind Date
(1987)消えたセクシーショット/Nadine
(1988)花嫁はエイリアン/My Stepmother Is an Alien
(1989)バットマン/Batman
(1991)あなたに恋のリフレイン/The Marrying Man/Too hot to handle
(1992)愛という名の疑惑/Final Analysis
(1992)クールワールド/Cool World
(1993)ブロンディー/女銀行強盗/The Real McCoy
(1994)ゲッタウェイ/The Getway
(1994)プレタポルテ/Ready to Wear/Pret-a-Porter
(2000)永遠のアフリカ/I Dreamed of Africa
(2000)ブレス・ザ・チャイルド/Bless the Child
(2004)トラブル IN ベガス/Elvis Has Left the Building
(2004)セルラー/Cellular
(2006)マーメイドの祈り/The Mermaid Chair
(2006)ザ・ゲーム/Even Money
(2013)リベンジ・マッチ/Grudge Match