■ Cool World(1992)
ホリーはクールワールドからリアルの女性になって人間社会にでてくる。
ホリーが人間社会で勝手なことをするので、クールワールドの刑事フランクがでてくる。
ホリーは高いビルのてっぺんに上る。フランクとクールワールド作者ジャックがホリーを追いかける。


製作:1992年、脚本:マイケル・グレイス、マーク・ヴィクター、監督:ラルフ・バクシ   予告編   予告編   インタヴュー   インタヴュー  


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ホリー・ウッド(キム・ベイシンガー)
 ジャック・ディーブス(ガブリエル・バーン)
 フランク・ハリス(ブラッド・ピット)

コミックの世界のキャラクタのホリー・ウッドがリアル世界の人間になりたいと願うストーリー。「クールワールド」とは、このコミックのタイトル。コミックのホリーの声とリアルのホリー役がキム。

実はクールワールドにはフランク・ハリスというリアルの人間が住んでいる。第二次大戦後に帰還した後、母親とバイクに乗っている時に、酔っ払い運転の車と衝突し、それをきっかけに、この世界に飛ばされた。クールワールドは、この世界に住人によると、コミックが描かれる前から存在しているらしい。

フランクは、コミックのある女性と親しい間柄である。名前はロネット。彼女はホリーのことを「尻軽女」と批判している。フランクはロネットを好きだけれども、人間とコミックの間柄なので、より深い関係に陥ることは抑制している。ロネットはそれが不満である。

フランクは、この世界ではなぜか刑事をしている。警察署もあるし、部下の警官もいる。署長はいないけど。
 


■ あらすじ

◆ ホリーがリアルの女性になる

クールワールドの作者、ジャック・ディーブスは、妻の浮気の相手の男を殺して服役。出所の直前に、なぜかクールワールドに飛ばされる。いったんリアル世界に戻って、また出所直後に飛ばされる。ホリーはジャックと出会って「待ってたわ!」。

ホリーはリアルの女性になりたい。「本物の女がしていることをしたいの」。フランクは「人間に手を出したら、クラブは営業停止だ」とか言って二人は押し問答するが、「あなたは現実に目を向けるのが怖いのよ」と言われると「そうかもな」と若干弱気ではある。

ホリーは「リアル世界に行けるか?」と問いを立てて「フランクはこちらに来た」ので「私は行ける」と言う。フランクが反対するので「フランクには頼まない。ジャックに頼む」。

フランクはクールワールドにリアルの人間(ジャック)が来たという疑いで捜査している。ジャックを捕まえる。「僕は君が創作したんじゃない」「どうりで野暮だ」「ホリーはインクの無駄遣いだ。男を見ると誘惑する」。ホリーもひどい言われようである。

ジャックはいったんリアルの世界に戻るが、ホリーの「ジャック、戻ってきて」の声を聴いて戻ってくる。ホリーがリアルの人間になるのは、ホリーとジャックのセックスとそれに伴う何かの爆発のようである。

リアルの女性の姿になって「ジャック、私たちは人間なのよ」。ホリーは「私はでていくわ」とみんなに宣言して、ジャックとともにリアルの世界に登場。

◆ ホリーのせいで時空が狂い始める

ジャックの隣人が訪ねてくる、ホリーは田舎からでてきたことにするが、隣人評は「安っぽいわ」「でも美人」。

二人でパーティに出かけると、ホリーは興奮。「男は私のとりこ」。ステージで歌って踊ると拍手喝采である。

しかしおかしなことが発生する。ホリーが間歇的にコミックになる。この時のコミックは、元のホリーではなく別の姿である。クールワールドかリアル世界に現れる。いわば「浸透現象」である。

ホリーがリアルの世界に出てきたことで、言ってみれば時空が微妙に狂ったようである。浸透現象はホリーだけではなく、他の人々にも現れ始める。

二人は車に乗るが、ジャックを蹴とばして車から落として「スパイク」とその発明者ヴェガサス・ヴィニーを探しに出かける。しかし誰もヴェガサス・ヴィニーを知らないようである。どうもヴェガサス・ヴィニーは、ずっと昔の人のようである。スパイクでエネルギーが得られるらしい。

◆ フランクがホリーを追いかける

フランクがホリー追いかけるためにリアル世界に行くことを決心する。刑事としての任務である。ロネットは反対するが「ホリーをほっといたら、この世界は破滅だ」と言って振り切る。

フランクがジャックの家に到着し、ジャックとその隣人と三人でホリーを追いかける。浸透現象がますます激しくなっていく。

◆ ホリーがビルのてっぺんに上る

ホリーはあるビルの屋上にスパイクを発見し、ビルの階段を上っていく。フランクが追いかける。

ホリーはフランクに追い詰められる。「よく化けたな、まるで人間だ」。ホリーは窓から外に出てビルから落ちそうになる。怖くなって、けっきょくフランクに助けを求めて、フランクも外に出るが、ホリーに落とされ死亡する。ホリーを弁護しておけば、わざとフランクを落としたのではなく、この瞬間に浸透現象が起きて、その衝撃でフランクが落ちたもの。

ホリーは屋上に到達。この事態を見てジャックは自分の責任と認識する。なぜかジャックの両手が無限に伸びてビルの頂上まで届く。今度は両手が縮んでジャックはビルの屋上に到達する。

◆ ラスト

本作は一応ハッピーエンドとなる。フランクがコミックでとして生き返る。ロネットと幸せに暮らす。

ジャックがコミックになる。ホリーは元の姿に戻る。ジャックとホリーも仲良く暮らすが、ホリーはリアルの人間にはなれなかった。

 


■ 補足

ホリーは、本作の半分くらいのところでリアルの世界に出てくる。希望としては、もっと早く例えば1/3くらいのところで出てきてほしかった。

これまた少々残念なのが「浸透現象」がリアル世界転送直後からでてくること。リアルのホリーには、もっと活躍してもらって、コミックの世界でそうであったように、もっともっと周囲の人間を惑わせてほしかった。コミックのホリーはセクシーかつ挑発的に見えるが、リアルのホリーは比較で言えばマジメに見える。

そして、リアルの女性になって、いろいろゴタゴタはあったとしても、ずっと人間界で暮らすような最後にしてほしかった。

本作には「火炎電気」という奇妙な日本語が使われている。英語ではspike。もう少しよい訳語がなかったのか?本稿では「スパイク」とした。注、本作では「スパーク」というキャラクタがいる。

コミックのホリーよりもリアルのホリーの方が美人である。キムなので当たり前か!?

クールワールドの最大の武器はペンらしい。これで相手を一発で消せる。
 


■ 出演作
キム・ベイシンガー
(1978)ケイティ/Katie: Portrait of a Centerfold
(1981)解剖室殺人事件/KillJoy/Who Murdered Joy Morgan
(1982)大金塊/Mother Lode
(1984)ナチュラル/The Natural
(1986)ノーマーシィ/非情の愛/No Mercy
(1987)ブラインドデート/Blind Date
(1987)消えたセクシーショット/Nadine
(1988)花嫁はエイリアン/My Stepmother Is an Alien
(1989)バットマン/Batman
(1991)あなたに恋のリフレイン/The Marrying Man/Too hot to handle
(1992)愛という名の疑惑/Final Analysis
(1992)クールワールド/Cool World
(1993)ブロンディー/女銀行強盗/The Real McCoy
(1994)ゲッタウェイ/The Getway
(1994)プレタポルテ/Ready to Wear/Pret-a-Porter
(2000)永遠のアフリカ/I Dreamed of Africa
(2000)ブレス・ザ・チャイルド/Bless the Child
(2004)トラブル IN ベガス/Elvis Has Left the Building
(2004)セルラー/Cellular
(2006)マーメイドの祈り/The Mermaid Chair
(2006)ザ・ゲーム/Even Money
(2013)リベンジ・マッチ/Grudge Match