Elvis Has Left the Building

ハーモニーの前でエルヴィス・プレスリーの衣装を着た男性が次々に死亡する。
ハーモニーは魅力的な男性マイルスに声をかけられる。しかしマイルスがエルヴィスの衣装を(着ているのではなく)持っているのを見て逃げ出す。
理由が分からないマイルスはハーモニーを追いかける。死亡現場に落ちていた口紅を手掛かりにFBIも追いかけてくる。


製作:2004年、脚本:アダム=マイケル・ガーバー、ミッチェル・ガーネン、監督:ジョエル・ズウィック


映画関連目次(闇雲映画館)

■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ハーモニー・ジョーンズ(キム・ベイシンガー) - 主人公
 シャール(アニー・ポッツ) - ハーモニーの友達
 マイルス・テイラー(ジョン・コーベット) - 広告代理店の社長
 ベリンダ・テイラー(デニース・リチャーズ) - マイルスの妻、離婚騒動中

ハーモニーは化粧品メーカー「ピンク・レディ」のセールスレディ。本作ではハーモニーの子供時代の場面が何度も映される。

母親は自動車整備の仕事をしている。ハーモニーは、そばで母親の仕事ぶりを眺めている。なのでハーモニーは車などのメカに強いという設定。時々整備工場に同じ年頃の少年が現れる。

ある時エルヴィス・プレスリーが車を修理するために現れる。ハーモニーは「エルヴィスでも自分で(修理を)頼みに来るの?」と聞く。ハーモニーはエルヴィスの車に乗せてもらってドライヴする。

ハーモニーは大人になっても、これを思い出す。また何か悩みごとがあったりすると、心の中のエルヴィスに相談する。
 


■ あらすじ

冒頭は友達のシャールとプールにいる場面。「仕事していても、なんか満たされないのよね」というと、シャールは「それは男がいないからよ」と言うが、ハーモニーはそれを聞いてシャールに水をかける。水をかけるのは「男は欲しくない」からではなく「シャールから真実を言われたから」である。

さて今回は仕事でラスヴェガスに向かう。途中、いく人かのエルヴィスの衣装を着た人たちに会う。

そしてなんとハーモニーの前で彼らがことごとく死亡する。タバコの火が衣装に着火する。倒れた看板につぶされる。ハーモニーの車が郵便箱にぶつかり、それが空中を飛んでバイクを直撃する。ラジエターの故障を応急修理するためにハーモニーが渡した口紅が飛び出して額に突き刺さる。

ハーモニーは自社の口紅は会わないので、実はライバルのサレンダーの口紅を使っている。現場に口紅を落としていく。注、看板事件の時は落とさない。

実はラスヴェガスで「エルヴィスそっくりさん大会」が開かれており、彼らはそれを目指していたもの。

エルヴィスの衣装を持っている人物がもう一人。こちらは着ているのではなく持っているところが違う。マイルス。ちょうどサレンダーの広告を作っているところ。

妻のベリンダとは離婚騒動の最中。ベリンダは女性ではあるが大会に出場しようとしており「エルヴィスの衣装を届ければ離婚成立」という約束になっている。

マイルスから声をかけられたハーモニーは思わず心がときめいてしまうが、エルヴィスの衣装を見て慌てて逃げ出す。理由が分からないマイルスはハーモニーを追いかける。

事件を追いかける二人のFBI捜査官。漫才コンビのようである。ハーモニーが現場に残していったピンクレディとサレンダーの口紅を手掛かりにハーモニーに迫ってくる。捜査官の一人はなんと口紅からハーモニーの顔を復元する(←できるわけないだろ!)。彼ら四人のドタバタが本作のメインコンテンツ。

マイルスはハーモニーの車のフロントガラスにバラの花とメッセージを張り付ける。ハーモニーは口紅でマイルスの車の窓ガラスにハートを描いて応答する。以後マイルスは、ハートマークのまま車を走らせる。

ハーモニーがタイヤの交換をしている場面がある。もちろんハーモニーにとっては何でもない作業。そこにマイルスが現れる。「こんな作業は女性にはできないだろう」という気持ちからか「自分がやろう」と提案。

一瞬の躊躇ののちマイルスに作業を代わってもらう。その後マイルスはハーモニーの掌に口紅でハートを描く。この口紅は、その前にハーモニーがハートを描くのに使ったもの。

二人はデートの約束をする。二人とも車なので別々に走っていく。待ち合わせ場所に着いたハーモニーは、嬉しくなって車のトランクを開けて商品を無料で提供しレストランに入っていく。それを見た女性たちは、我先に商品をいただいていく。

マイルスも待ち合わせ場所に向かうが、途中で自分の車が手配されていることを知る。なぜマイルスの車が手配されているかは不明だが、FBIの高度な捜査能力のたまものだろう。

待ち合わせ場所に到着してハーモニーの車の後ろに立つが、パトカーのサイレンが聞こえてきた。マイルスはトランクに隠れて半分開けた状態で様子をうかがう。

ハーモニーはマイルスがまだ現れないので振られたと思い、店から出てきてトランクをバタンと閉める。この閉め方には力がこもっている。マイルスを閉じ込めたまま、悲しそうな顔をして会場に向かう。

なぜ会場に向かうのかといえば、シャールの夫がケガをして、大会のエントリー書類を代わりに届けるため。もちろんシャールの夫がケガをしたのもエルヴィスの衣装を着ていた祟りである。

二人のFBI捜査官も大会の会場に向かい、エルヴィスの衣装を着て潜入捜査を行う。終わって捜査官がハーモニーの車に誰か(=マイルス)が閉じ込められているのに気が付く。

ハーモニーとマイルスはやっとハッピーエンド。

最後は子供の時の場面。例の少年とお互いに名前を確認すると....。
 


■ 補足

原題は「ものごとは決着してしまった」という意味の慣用句らしい。日本語タイトルがなかなか秀逸。

四人のドタバタがメインコンテンツと書いたが、シャールとベリンダも面白い。二人ともけっこう気が強い。ベリンダは衣装がないので、他人の衣装を拝借して出場する。

子供の時の場面。母親は車の整備をするが、その時はいつもスカート姿。車の下に潜り込むのもスカート姿。

現在の場面。母親とレストランで会う。母親は「こんなきれいな女性が自分の子供だなんて」と言う。

女性に口紅のサンプルを投げて渡す。しかしこの口紅はピンク・レディではなく、サレンダーの口紅だったりする。サレンダーのネーミングは何?

キムは50歳でこんな役をするのか!?30歳くらいの役だろう。いやいや「I am here」では60歳で妊娠する役をしている。

車のキーや口紅のサンプルを投げて渡す場面がある。Hard Countryでも妹に車のキーを投げて渡す。Door In The FloorやNadine(消えたセクシーショット)でも車のキーを投げて渡す。アメリカ人はみんなそうなのだろうか?

ジョン・コーベットは本作ではキムの相手役だが、「The Burning Plain(あの日、欲望の大地で)」では、ジーナ(キム)の娘のシルヴィア(シャーリーズ・セロン)の相手役。
 


■ 出演作

キム・ベイシンガー
(1978)ケイティ/Katie: Portrait of a Centerfold
(1981)解剖室殺人事件/KillJoy/Who Murdered Joy Morgan
(1982)大金塊/Mother Lode
(1984)ナチュラル/The Natural
(1986)ノーマーシィ/非情の愛/No Mercy
(1987)ブラインドデート/Blind Date
(1987)消えたセクシーショット/Nadine
(1988)花嫁はエイリアン/My Stepmother Is an Alien
(1989)バットマン/Batman
(1991)あなたに恋のリフレイン/The Marrying Man/Too hot to handle
(1992)愛という名の疑惑/Final Analysis
(1992)クールワールド/Cool World
(1993)ブロンディー/女銀行強盗/The Real McCoy
(1994)ゲッタウェイ/The Getway
(1994)プレタポルテ/Ready to Wear/Pret-a-Porter
(2000)永遠のアフリカ/I Dreamed of Africa
(2000)ブレス・ザ・チャイルド/Bless the Child
(2004)トラブル IN ベガス/Elvis Has Left the Building
(2004)セルラー/Cellular
(2006)マーメイドの祈り/The Mermaid Chair
(2006)ザ・ゲーム/Even Money
(2013)リベンジ・マッチ/Grudge Match