特定商取引法(通信販売)の電子メール広告での事業者の義務などの3つのポイント | 個人経営者・女性起業家のための法律とWEBの基礎知識(神戸・大阪)

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法律とWEBの専門家、消費者法務コンサルタントの赤松です。消費者センターで11年間で15万件以上の相談を経験した元行政技術職員が、契約や取引の法律対応やWEB情報発信をサポートします。一般社団法人はりまコーチング協会 代表理事。ITコーディネータ。

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前回は、特定商取引法の平成20年改正における消費者保護のなかの「請求や承諾のない電子メール広告の禁止(いわゆる「オプトイン規制」)」について書きましたが、今回は、その具体的なポイントを3つ解説します。

 

オプトイン規制の3つの骨組み

① 相手方から請求や承諾がない限り、原則として通信販売電子メール広告を行うことはできない(法第12条の3第1項)。

② 相手方から請求や承諾があった場合には、当該請求又は承諾があったことの記録として主務省令で定めるものを3年間保存しておかなければならない(法第12条の3第3項)。

送信する通信販売電子メール広告には、相手方が通信販売電子メール広告の提供を受けない旨の意思を表示するための連絡方法を記載し、相手方から拒否の意思表示があった場合には、その相手方に対してその後通信販売電子メール広告を行ってはならない(法第12条の3第2項、第12条の3第4項)。

なお、販売業者等が通信販売電子メール広告に関する一定の業務を他者に一括して委託している場合には、その委託を受けた者(通信販売電子メール広告受託事業者)が、上記の②(記録保存義務)と③(表示義務等)の義務を負うこととなる。

上記は逐条解説をそのまま引用しましたが、読みやすいので原文のままでも大丈夫だと思います。

①オプトイン規制

①は前回説明した「オプトイン規制」という相手からの承諾がない限り、こちらから勝手にメール広告を送ってはいけないということです。

そこそこの規模の事業者だと基本的にはクリアしていると思います。
例えば、注文画面の最下部にお知らせ広告メールを受信するというチェックボタンに最初からチェックが入ったりしています(これも消費者の立場からするとおかしいと思いますが)。
また、どこかに、お知らせ広告メールを送信することがあります、という一文があったりします。 ちなみに、個人情報の第三者提供もさりげなく書いてあったりします。

②記録の保管

②のメール広告を承諾した旨の記録の3年間保存ですが、個別に承諾した記録を残すのが原則ですが、現実には難しいですよね。

そこで、定型的な方法(広告メール配信のチェック欄や広告メール配信する旨の文言)で承諾したことがわかるものであれば、個別ではなくそのフォーム等と表示した期間を残しておけばOKということになります。

③配信解除方法の記載

③では、広告メールを受信したくない場合は、その方法を記載しなさいということで、一般的には広告メールの中の「メール配信を希望しない場合はこちらをクリック」などのボタンがあると思います。
このシステムはメルマガ配信事業者を使っていた場合には自動的に入っていたりします。

私もワードプレスのプラグインで送信しているメルマガには自動的に表示される仕組みになっています。

メルアドが含まれた文字列の場合はワンクリックで解除できたりします。
なかには、IDとパスワードを入れてマイページから配信解除してくださいという面倒な場合もあります。

この解除の仕組みについては、特定電子メール法でも規制されているので浸透していると思います。

もし、昔ながらのメールソフトによる一斉送信システムを使っていたとするなら抜けていないか確認しましょう。

特定商取引法なので消費者対象であり、事業者への広告メールは特定所取引法の対象外

ここが、消費者との取引と事業者間取引の大きな違いです。

この記事を読まれている方には、消費者対象に事業をしている方と、事業者対象に事業をしている方に分かれると思います。後者の場合は、この規制の対象外です。ただし、サポートしているクライアントが消費者対象のビジネスであれば、特定商取引法に規制がかかる可能性もあり、誤ったことをアドバイスしないように知識を持っておくことは必要です。

ちなみに、特定電子メール法でも事業者対象の電子メール広告は原則として規制の対象外となっています。

通信販売の規制シリーズ 
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