特定商取引法(通信販売)の電子メール広告規制がファクシミリ(FAX)広告規制にまで広がりました | 個人経営者・女性起業家のための法律とWEBの基礎知識(神戸・大阪)

個人経営者・女性起業家のための法律とWEBの基礎知識(神戸・大阪)

法律とWEBの専門家、消費者法務コンサルタントの赤松です。消費者センターで11年間で15万件以上の相談を経験した元行政技術職員が、契約や取引の法律対応やWEB情報発信をサポートします。一般社団法人はりまコーチング協会 代表理事。ITコーディネータ。

前回は、特定商取引法の平成20年改正における電子メール広告規制「請求や承諾のない電子メール広告の禁止(いわゆる「オプトイン規制」)」について書きましたが、同時に、ファクシミリ広告まで、その規制範囲が広げられたました。

「承諾をしていない者に対するファクシミリ広告の提供の禁止等」第12条の5

「ファクシミリ広告についても一方的な商業広告の送りつけ問題が増加した」という理由からです。

FAX広告って、今もあるのでしょうか?と思ったりしますが、インクと紙を一方的に消費してしまうので迷惑といえば迷惑ですね。私は印刷せずSDカードに保存する方式にしています(印刷するときはPCのプリンタ)。

法律の規制内容は、基本的に電子メール広告規制と同じです

オプトイン規制の3つの骨組み

① 相手方から請求や承諾がない限り、原則として通信販売ファクシミリ広告を行うことはできない(法第12条の5第1項)。

② 相手方から請求や承諾があった場合には、当該請求又は承諾があったことの記録として主務省令で定めるものを1年間保存しておかなければならない(法第12条の5第3項)。

送信する通信販売ファクシミリ広告には、相手方が通信販売ファクシミリ広告の提供を受けない旨の意思を表示するための連絡方法を記載し、相手方から拒否の意思表示があった場合には、その相手方に対してその後通信販売ファクシミリ広告を行ってはならない(法第12条の5第2項、第12条の5第4項)。

なお、ファクシミリ広告については、広告の受託事業者に関する規制は設けておらず、仮に販売業者等が広告業務の全てを他社に委託している場合であっても、当該販売業者等が規制対象となる。

上記は逐条解説をそのまま引用しましたが、前回と同じく、読みやすいので原文のままでも大丈夫だと思います。

①オプトイン規制

①は前回説明した「オプトイン規制」という相手からの承諾がない限り、こちらから勝手にファクシミリ広告を送ってはいけないということです。

事業者にファックス番号が知られていることも少ないと思いますので、なかなか送信されることは少ないかもしれませんが、何らかの申込書にファックス番号を書いている場合もあるでしょうね。

すると、ファクシミリ広告をする旨の記載が必要となるわけですね。あまり見たことがありません。

②記録の保管

②のファクシミリ広告を承諾した旨の記録の3年間保存ですが、個別に承諾した記録を残すのが原則ですが、現実には難しいですよね。

そこで、定型的な方法(ファクシミリ広告配信のチェック欄や配信する旨の文言)で承諾したことがわかるものであれば、個別ではなくそのフォーム等と表示した期間を残しておけばOKということになります。

③配信解除方法の記載

③では、ファクシミリ広告を受信したくない場合は、その方法を記載しなさいということで、ファックシミリ広告の中に「ファクシミリ番号(FAX番号)」を記載するということになっています。

事業者の住所や電話番号やメールアドレス等を記載して、連絡してください、とする方法はだめということになるのが少し面白い方法ですね。

実際にはいちいちFAXで拒絶の返信はしないでしょうね。まあ、こちらから電話等で連絡するのはありでしょう。

特定商取引法なので消費者対象であり、事業者へのファクシミリ広告は特定所取引法の対象外

電子メール広告と同じですね。ここが、消費者との取引と事業者間取引の大きな違いです。

この記事を読まれている方には、消費者対象に事業をしている方と、事業者対象に事業をしている方に分かれると思います。後者の場合は、この規制の対象外です。ただし、サポートしているクライアントが消費者対象のビジネスであれば、特定商取引法に規制がかかる可能性もあり、誤ったことをアドバイスしないように知識を持っておくことは必要です。

通信販売の規制シリーズ 
通信販売の定義シリーズ