特定商取引法の通信販売の電子メール広告に関する規制には悪質業者との長い戦いの歴史があります | 個人経営者・女性起業家のための法律とWEBの基礎知識(神戸・大阪)

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法律とWEBの専門家、消費者法務コンサルタントの赤松です。消費者センターで11年間で15万件以上の相談を経験した元行政技術職員が、契約や取引の法律対応やWEB情報発信をサポートします。一般社団法人はりまコーチング協会 代表理事。ITコーディネータ。

ネット通販で商品を購入したら、山ほど広告メールが来て、うっとおしくなった経験はあると思います。
楽天やヤフーショッピングの最終申し込み画面の一番下に、メールマガジンを購読するボタンがデフォルトで(最初から)オンになっていて、チェックを外すのを忘れて、「しまった」と思ったこともあると思います。

この通信販売での電子メール広告についても特定商取引法による規制があるのです。

条文のタイトルは「第十二条の三(承諾をしていない者に対する電子メール広告の提供の禁止等)」

タイトルのとおりですね。勝手に広告メールを送り付けてはだめなんですね。

電子メール広告規制の歴史

携帯電話が普及し始めたころは、電子メールを受信するたびにパケット料金がかかっていましたよね。
これがバカにできない金額になったりしていました。
メールボックスが広告メールだらけになって大事なメールが埋もれてしまうのです。
そのような背景から、電子メール広告を規制することになりました。

ちなみに、迷惑メール規制として、範囲が広い「特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)」という法律があり、この規制と特定商取引法の規制とがリンクしています。

平成14年改正でオプトアウト規制

消費者の承諾を得ずに送信するメールには、その旨を表示する義務が課されました。

覚えているでしょうか?
「未承諾広告※」とメールの件名に書いてましたよね。

受け取りを希望しない場合にはその連絡を行う方法を表示すること、また、一度希望しないとしたなら再度送信してはいけない、という感じです。

広告を拒否(アウト)することを選ぶ(オプト)ことができるので、オプトアウト規制といいます。

しかし、全く効果がありませんでした。

メール受信システムに「未承諾広告※」のタイトルは自動的に迷惑メールとしてフィルタリングされる機能が追加されましたが「未※承※諾※広※告」など、姑息な手段でフィルタリングを避けようとする業者も多く、私もたくさんのメールを受信しましたが、そのやり方には関心するぐらいでした。

平成20年改正でオプトイン規制

そこで実効性のある制度に変更するため、勝手に送り付けるのは禁止で、相手からの請求や承諾があった場合にのみ広告メールを送信できる制度に変わりました。

広告を希望した場合にだけ受信(イン)することを選ぶ(オプト)ということで、オプトイン規制といいます。

これが現時点まで続いているルールになっています。

ちなみに、FAX広告も平成28年改正で新たにオプトイン規制が導入されました。

ということで、電子メール広告規制について、何回かにわたって解説します。

通信販売の規制シリーズ 
通信販売の定義シリーズ