特定商取引法が適用されるかを判断する最重要ポイントは消費者対象のビジネスか事業者対象のビジネスか | 個人経営者・女性起業家のための法律とWEBの基礎知識(神戸・大阪)

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法律とWEBの専門家、消費者法務コンサルタントの赤松です。消費者センターで11年間で15万件以上の相談を経験した元行政技術職員が、契約や取引の法律対応やWEB情報発信をサポートします。一般社団法人はりまコーチング協会 代表理事。ITコーディネータ。

前回紹介した通信販売のうち、最も規制が厳しいのが「特定商取引法」です。
特定商取引法という法律は読んで字のごとしで、トラブルの多い特定の取引を規制する法律で、7つの取引類型があげられています。

その7つが「訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売、訪問購入」であり、悪質商法のオンパレードということに気づくと思いますが、通信販売もトラブルの多い取引として認識されているのです。

そして、アメブロでビジネスをされている事業者の中では、特定商取引法の通信販売に該当するビジネスと該当しないビジネスに大きく分けられます。ここが、通信販売の規制を知る第一歩になります。

特定商取引法の通信販売の定義

①消費者対象に
②商品だけでなく教室やサロンなどのサービスの契約の申し込みを
③通信手段(フォームやメールや電話など)で受け付けている
場合は、「特定商取引法」の「通信販売」として規制を受けます。

さらっと書きましたが、とても奥が深いので、何回かに分けて解説します。

事業者対象の場合は特定商取引法の適用対象ではないというのが最大のポイントです

そもそも、消費者と事業者の間には情報の質・量・交渉力に格差があります。その格差を解消するために、消費者を保護する法律や消費者センターがあるのです。

民法が消費者も事業者もすべての対象者の契約について定めているのに対して、消費者との契約に限定したものが「消費者契約法」であり、さらに、その消費者契約の中のトラブルの多い特別な取引類型について規制したものが特定商取引法になります。3つの法律が同時に適用されるのです。なお、消費者契約法については別の機会にお話しします。

アメブロで多いビジネスは2つのパターン

消費者対象のビジネス

エステ・アロマ・ヒーリングなどのサロン系、英会話などの語学系、料理・パン・ケーキなどの教室系が多く、セミナーやイベントも含めて、消費者対象のビジネスとなっています。
この場合は条件の①を満たしていますので、条件②と③を満たしているかを検討します。①②③のすべてを満たせば特定商取引法の通信販売となります。

事業者対象のビジネス

ビジネスを成功させるための集客講座、ホームページ制作、コンサルティング、ビジネス系のオンラインサロンなど、アメブロの中でも非常に多くの、そして多種多様な事業者向けのビジネスがあります。セミナーやエベントも事業者対象であればこちらになります。
この場合は、そもそも①を満たしていないので、消費者契約法にも、特定商取引法にも該当しません。したがって、民法の契約の一般原則に従うことになります。

ただし、事業者の先には消費者がいるということを意識しておくことが重要です。

どちらも対象のビジネス

起業塾や副業セミナーなど、契約する段階では事業者ではなく消費者の場合があると思います。すると、消費者に対しての契約と事業者に対しての契約の2種類が混在するわけです。

商品やサービスを売る側のリスクの違い

消費者対象のビジネスでは規制が強く、あとから契約を取り消しされたり、消費者センターに苦情を入れられたり、行政処分や行政指導を受けるリスクがあります。

一方、事業者対象のビジネスは、お互いプロなので、民法の契約自由の原則に従うことになります。不利益な契約でもお互いが合意すれば成立してしまうのでトラブルになることがあります。

事業者間取引の契約自由の原則では契約トラブルに関して民法=弁護士で対応しなければならないことも多いです。

※今回は特定商取引法の通信販売の定義の①について紹介しました。②③については後日紹介します。

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