通信販売で銀行振り込みなどの「前払い」により代金を受領したときには改めて通知する義務があります | 個人経営者・女性起業家のための法律とWEBの基礎知識(神戸・大阪)

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法律とWEBの専門家、消費者法務コンサルタントの赤松です。消費者センターで11年間で15万件以上の相談を経験した元行政技術職員が、契約や取引の法律対応やWEB情報発信をサポートします。一般社団法人はりまコーチング協会 代表理事。ITコーディネータ。

通信販売で契約の申込みをした場合に、その代金について「前払い」と「後払い」があるのですが、前払いの時は、実際に商品が送付されたり、役務が提供されるまでは、契約が履行されるか不安定な状態になります。

そこで、「前払い」の時に代金を受領した場合は、遅滞なく、その通知をすることになっている、というのが今回の話になります。

つまり、前払いで代金を支払ったけど、納品などが先になる場合に、払いっぱなしで放置されるのは消費者にとって不利益になるので、前払いで代金を受領した場合には、いつごろ送付されるかなどの必要事項を改めて通知することになります。通知する事項については、通信販売広告の「特定商取引法に基づく表示」と矛盾しないようにしましょう。

ただし、履行までの時期によって例外規定などもあるので、実際に適用されるのは、オーダー品や注文品など商品を届けるまでに1週間以上かかるとか、役務(サービス)であれば、セミナーの受講など、1か月以上先の場合などが該当するでしょう。

通知事項

「その他の主務省令で定める事項」省令第12条では、次の事項を定めている。
① 申込みを承諾する旨又はしない旨(当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価の受領前にその申込みを承諾する旨又は承諾しない旨をその申込みをした者に通知している場合には、その旨)
② 販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号
③ 受領した金銭の額及びそれ以前に受領した金額があるときはその合計額
④ 当該金銭を受領した年月日
⑤ 申込みを受けた商品名及びその数量又は権利若しくは役務の種類
⑥ 申込みを承諾するときは、その商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期

なお、クレジットカード払いの場合は銀行口座から引き落とされるとき、代金の受領となるので、よほど先の場合を除き対象にはなりません。

さらに、遅滞なく商品送付したり役務提供した場合には、この通知を省略することができるとなっています(遅滞なくというのが1週間程度と考えられています)

消費者向けのセミナー・起業塾・コンサルティングなどが該当

商品ではなく、セミナーなどのサービスは1か月以上先の場合があるので、参加費を前払いで受領する場合は、銀行振込は当然対象になりますし、クレジットカードもタイミングによっては該当すると思います。

したがって、代金の決済が行われたのであれば、「支払いを受領しました」等の通知ともに、提供サービスの内容を改めて通知することになります。

それと、何度も書いていることですが、事業者向けの取引については、特定商取引法の適用対象外となっています。参加者が、事業者か消費者かを確認してください。

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