源氏イラスト訳【若紫279】直衣
君は、上を恋ひきこえたまひて泣き臥したまへるに、御遊びがたきどもの、
「直衣着たる人のおはする、宮のおはしますなめり」
と聞こゆれば、
ーーーーーーーーーーーーーーー
YouTubeでも「イラスト訳」の動画を作成しています。
見るだけで楽に、古文の速読力が身についてきます。
【源氏物語イラスト訳】
君は、上を恋ひきこえたまひて泣き臥したまへるに、
訳)姫君は、尼上を恋い慕い申し上げなさって泣き臥せっていらっしゃったが、
御遊びがたきどもの、
訳)お遊び相手たちが、
「直衣着たる人のおはする、宮のおはしますなめり」と聞こゆれば、
訳)「直衣を着ている方がいらっしゃるのは、父宮さまがおいでであるようだわ」と申し上げると、
【古文】
君は、上を恋ひきこえたまひて泣き臥したまへるに、御遊びがたきどもの、
「直衣着たる人のおはする、宮のおはしますなめり」
と聞こゆれば、
【訳】
姫君は、尼上を恋い慕い申し上げなさって泣き臥せっていらっしゃったが、お遊び相手たちが、
「直衣を着ている方がいらっしゃるのは、父宮さまがおいでであるようだわ」
と申し上げると、
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
■【君】…姫君。若紫をさす
■【は】…取り立ての係助詞
■【上(うへ)】…尼上。若紫の祖母上をさす
■【を】…対象の格助詞
■【恋ひ】…ハ行上二段動詞「恋ふ」連用形
■【きこえ】…ヤ行下二段動詞「きこゆ」連用形
※【きこゆ】…謙譲の補助動詞(作者⇒尼上)
■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」連用形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒若紫)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【臥(ふ)す】…臥せる。横になる
■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【る】…存続の助動詞「り」連体形
■【に】…単純接続の接続助詞
■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒若紫)
■【遊びがたき】…遊び相手(「かたき敵」は「相手」の意)
■【―ども】…複数を表す接尾語
■【の】…主格の格助詞
■【直衣(のうし)】…男性の衣装
■【着】…カ行上一段動詞「着る」連用形
■【たる】…完了(存続)の助動詞「たり」連体形
■【の】…主格の格助詞
■【おはする】…サ変動詞「おはす」連体形
※【おはす】…「来」の尊敬語(遊び相手⇒父宮)
■【宮(みや)】…父宮の、兵部郷宮をさす
■【の】…主格の格助詞
■【おはします】…「来」の尊敬語(遊び相手⇒父宮)
■【なめり】…~であるようだ
※【な】…断定の助動詞「なり」連体形撥音便無表記
※【めり】…推定の助動詞「めり」終止形
■【と】…引用の格助詞
■【聞こゆれ】…ヤ行下二段動詞「聞こゆ」已然形
※【聞こゆ】…「言ふ」の謙譲語(作者⇒若紫)
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「遊びがたき」というのは
「遊びにくい」という意味ではなく、
「遊び敵」と書いて
「遊び相手」という意味です。
こういう人物が登場してくるところからも
若紫の幼さが垣間見れますね。