【若紫120-3】古文単語「干る・乾る」☆
古文単語には、
1.とにかく丸暗記して覚える
2.漢字やイメージで覚える
3.文脈判断で決める
などの覚え方があります。
今回は、なんとなくのイメージで訳せる古語☆
【今回の源氏物語】
「枕結ふ今宵ばかりの露けさを
深山の苔に比べざらなむ
乾がたうはべるものを」
と聞こえたまふ。
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今回出てきた古文単語
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■【枕結まくらゆ)ふ】…旅寝の枕を結ぶ
※【枕結ぶ(まくらむすぶ)】…野宿で、枕にするために草を束ね結ぶ。野宿する
■【今宵(こよひ)】…今夜
■【ばかり】…限定の副助詞
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【露(つゆ)けさ】…露に濡れてしっとりした様子
■【を】…対象の格助詞
■【深山の苔】…ここでは、自分(尼君)をさしていう
※【深山(みやま)】…遠く離れた深い山
※【苔(こけ)】…コケ。僧侶や陰者などの粗末な衣服を暗示する
■【に】…比較対象の格助詞
■【比べ】…バ行下二段動詞「比ぶ」未然形
■【ざら】…打消の助動詞「ず」未然形
■【なむ】…他への願望の終助詞
■【乾(ひ)がたう】…ク活用形容詞「乾がたし」連用形ウ音便
※【干がたし】…乾きにくい
■【はべる】…ラ変動詞「はべり」連体形
※【はべり】…丁寧の補助動詞(尼君⇒光源氏)
■【ものを】…詠嘆的逆接用法の終助詞
■【と】…引用の格助詞
■【聞こえ】…ヤ行下二段動詞「聞こゆ」連用形
※【聞こゆ】…「言ふ」の謙譲(作者⇒光源氏)
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒尼君)
◇ 今回は「なむ」にも注意しましょ♪
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☆ 本日の古文単語「干がたし」☆
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「枕結ふ今宵ばかりの露けさを
深山の苔に比べざらなむ
ひがたうはべるものを」と
聞こえたまふ。
問)傍線部の意味として最も適当なものを1つ選べ。
1.気持ちを受けがたくございます。
2.引き取りがたくしております。
3.涙が乾きにくくございます。
4.困ってしまいます。
5.認めにくいのです。
古文読解のためには
次の3つの知識が必要です。
● 古文単語をきっちり覚える
● 古典文法を押さえる
● 古文常識を理解する
この【重要古語】カテゴリでは
今回出て来た『源氏物語』の一語一語を
詳しく解説しつつ、
特に今回注目したい古語をピックアップして
詳しく解説しています。
今回の古語はこれ☆
「ひる」と聞けば
高校1年生で、まず初めに
動詞の活用として習いますよね!
「ひる」と文法事項で出てきても
あまり古文で出てこないので
忘れちゃったりしてませんか~?
今回も、「ひる」というよりも
「ひがたし」という連語として出てきています。
【ひがたし(干がたし・乾がたし)】
【自動詞:ハ行上一段活用】
①かわきにくい
②水が引きにくい
【答え】…3
「枕結ふ今宵ばかりの露けさを
深山の苔に比べざらなむ
乾がたうはべるものを」
と聞こえたまふ。
● 過去記事リンク
■ばかり
■―がたし
■はべり
■ものを
■きこゆ
■たまふ
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