【夕顔360-2】助動詞「る」「らる」の識別法☆
イラスト解釈では
源氏物語イラスト訳で出てきた古文の
入試対応オリジナル問題を掲載しています☆
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を名のり、左大臣の娘葵(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬…。光源氏は尽きせぬ恋を重ねていくのでした。
ただ今、「4.夕顔」の巻です。17歳の光源氏は、五条にひっそり住まう夕顔の君に恋をし、彼女を廃院に誘いますが、夕顔は物の怪に襲われ急死してしまいます。部下の惟光(これみつ)の助けを借りながら夕顔の葬儀を終え、光源氏は失意に沈みつつ、右近(夕顔の侍従)を二条院へ招き入れます。ある夕暮れ時、右近から亡き夕顔の忘れ形見である少女がいることを聞き出しました。
【今回の源氏物語】
竹の中に家鳩といふ鳥の、ふつつかに鳴くを聞きたまひて、かのありし院にこの鳥の鳴きしを、いと恐ろしと思ひたりしさまの、面影にらうたく思し出でらるれば、
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☆ 古文オリジナル問題~助動詞の意味~☆
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竹の中に家鳩といふ鳥の、ふつつかに鳴くを聞きたまひて、かのありし院にこの鳥の鳴きしを、いと恐ろしと思ひたりしさまの、面影にらうたく思し出でらるれば、
問)傍線部の助動詞の文法的意味として最も適当なものを、次の中から1つ選べ。
1.受身
2.尊敬
3.自発
4.完了
5.可能
大学入試センター試験の古文では
第2問めに、上記のような文法問題がよく出ます。
まあ、こんなカンタンな一問一答ではなく
組み合わせ問題がほとんどですが…
☆「る」「らる」の識別法☆
○ 直前の接続から、助動詞「る」「らる」であることを確定する
● 「~に」といった受身の対象が確認できれば⇒受身
● 主語が身分の高い人⇒尊敬の場合が多い
● 下に打消を伴う⇒可能の場合が多い
● 心中語(「思ふ」「泣く」など)のあと⇒自発の場合が多い
あくまでこの可能性が高いというだけで
最終判断は文脈から見分けましょうね!
それでは、実際にやってみましょう!
!Σ('◇'*)
○ 直前の接続から、助動詞「る」「らる」であることを確定する
思し出で/らるれ/ば、
「らるれ」の直前が「思し出で(e)」となっています。
【おぼしいづ(思し出づ)】
【他動詞:ダ行下二段活用】
…お思い出しになる(「思ひ出づ」の尊敬)
*『全訳古語例解辞典(小学館)』より
「らる」の接続は
四段・ナ変・ラ変以外の未然形とあります。
つまり、「―e+らる」という接続になるということで
今回の「思し出で+らるれ」の「らる」は
受身・尊敬・可能・自発の助動詞「らる」でOKです。
これ、「る」や「れ」の識別の場合は
完了の助動詞「り」も考えられますので
もっとしっかり確認しなくちゃなりませんね!
1.受身
2.尊敬
3.自発
4.完了
5.可能
では次に、「らる」の4つの意味を識別していきましょう!
● 「~に」といった受身の対象が確認できれば⇒受身
● 主語が身分の高い人⇒尊敬の場合が多い
● 下に打消を伴う⇒可能の場合が多い
● 心中語(「思ふ」「泣く」など)のあと⇒自発の場合が多い
思し出で/らるれ/ば、
先ほどみたように
「思し出づ」は尊敬語なので
主語は、光源氏という身分の高い人です。
しかしながら、地の文で光源氏に対して
「思(おぼ)し」と「らる」という二重尊敬を用いるのは
不自然というものですよね。。
よって、ここでは
「思し出づ」が、心中語であることに着目しましょう!
いいですか!
選択肢問題は、正答をえらぶのではありません。
「最も適当(マシ)」なものを選ぶんですよ!
【答え】…3