【夕顔274-3】古文単語「今は」
源氏物語では、人の死、別れなど涙の場面が多くあります。
特に、死の別れに関する古語は、非常に多くあります。
出てきたものから覚えていくようにしましょうね!
源氏物語イラスト訳 重要古語
【古文単語の覚え方】
1.現代語から想像して覚える
2.漢字のイメージで覚える
3.ゴロを利用して丸覚えする
の3つのどれかで覚えます。
今回は、【古文常識】とともに覚えましょ♪
【今回の源氏物語】
召し寄せて、
「いかにぞ。今はと見果てつや」
とのたまふままに、袖を御顔に押しあてて泣きたまふ。
――――――――――
今回出てきた古文単語
――――――――――
■【召し寄せ】…サ行下二段動詞「召し寄す」連用形
※【召(め)し寄(よ)す】…お呼び寄せになる(「呼び寄す」の尊敬:作者⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【いかに】…どのようだ
■【ぞ】…強意の係助詞
■【今は】…臨終
■【と】…引用の格助詞
■【見果て】…タ行下二段動詞「見果つ」連用形
※【見果(みは)つ】…すっかり見きる。見終わる
■【つ】…完了の助動詞「つ」終止形
■【や】…疑問の係助詞
■【と】…引用の格助詞
■【のたまふ】…「言ふ」の尊敬(作者⇒光源氏)
■【ままに】…~や否や
※【まま】…とおり。まま
※【に】…時を表す格助詞
■【袖(そで)】…着物のそで
■【を】…対象の格助詞
■【御顔】…光源氏のお顔
※【御―】…尊敬の接頭語
■【に】…対象の格助詞
■【押し当て】…タ行下二段動詞「押し当つ」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【泣き】…カ行四段動詞「泣く」連用形
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
◇ 今回は「つや」にも注意しましょ♪
―――――――――――――
☆ 本日の古文単語「今は」 ☆
―――――――――――――
召し寄せて、
「いかにぞ。今はと見果てつや」
とのたまふままに、袖を御顔に押しあてて泣きたまふ。
問)傍線部の意味として、最も適当なものを一つ選べ。
1.もう本当に臨終であると、お前は見切ったのか。
2.もはやどうしようもないと、お前は見捨ててきたのか。
3.まったく問題はないと、お前は確認できたのか。
4.今はただ会いたくないと、お前も思ったのか。
5.今しがた、お前は鳩を見かけたのか。
傍線部の意味確認問題は、
大学入試では、センター試験のみならず、
私大一般入試や、国公二次でもよく出題されます。
特にこの手の、重要古語っぽいのが入っていない傍線部☆
けっこう最近ではよく出題されていますので、
こういうイラスト訳を足がかりに、慣れていってくださいね!
今回のポイントはこれ☆
【いまは(今は)】
【名詞】
…臨終。死にぎわ。最期
【連語:名詞+助詞】
①もはや今となっては。もうこうなっては
②もはやこれまで
※Weblio古語辞典より
古文でよく出てくるのは、
後者の連語ですよね~;;
もちろん、後者の場合でも、
臨終、最期という印象がかもし出されていますが、
前者の名詞の意を押さえておくと、
こういう古文で出てきた時に、ピンとくるようになります。
「死」は、誰にとっても、いつかは訪れる道です。
しかしながら、人生においては最も避けたいものであり、
死穢(しえ)に触れることを、昔の人はひどく恐れていました。
「言霊(ことだま)」って、聞いたことがありますか?
言魂とも言い、
言葉には何かを引き寄せる不思議な力が宿ると信じられていました。
良い言葉を使えば、良い言霊となり、
悪い言葉を使えば、悪い言霊となります。
今でも、「悪い」と言わず「良くない」と言え、とか、
「すべる」「落ちる」は、受験生の前では禁句だとか、言いますよね。
特に、人の死に関する言葉は、
昔も今も、忌み避けたいものですよね。
今でも、あからさまに「死ぬ」とは言わず、
「亡くなる」と言ったりします。
昔は、死穢に触れる機会も多く、
さまざまな婉曲表現が用いられました。
「今はの際(きわ)」という言葉が、現代でもありますが、
「今はの限り」、また「今は」だけでも、
「死」を暗示する言葉だったようですね。
【解答】…1
召し寄せて、
「いかにぞ。今はと見果てつや」
とのたまふままに、袖を御顔に押しあてて泣きたまふ。
● 過去記事リンク
■いかに
■ぞ・ぞや
■見果つ
■のたまふ
■ままに
■たまふ
ーーーーーーーーーーー