おはようございます
雨が降ると肌寒い、晴れれば夏日。今月も寒暖の差が大きいですね。3月からこっち、気温の上下動が大きく、雨の降り方も激しく、風も強い。油断をすると外邪 に当たりやすい条件がそろっています。着るものをこまめに調節してくださいね。
さて、望診(望神と顔の望診 、子どもの指紋診 、舌診(舌質) 、舌診(舌苔) )、聞診(音 、におい )、問診(寒熱 、汗 、疼痛 、睡眠 、飲食 、二便(大小便) 、月経 )と終えて、切診も脈のとり方 と病脈 まで進み、今回の按診で、東洋医学の診察法もようやく最終回です。
からだを「按じる」ことで、治療するのが按摩(あんま)。皮膚やおなかに触れて、なでたり、つまんだり、押したり、もんだりすることを「按じる」と言い、按じることで診断することを「按診」と言います。
肌表(皮膚)の按診
肌のはり具合、乾き具合、湿り具合、腫れの有無、ざらつきの有無、熱や冷えの有無などをチェックします。
① 肌が芯から冷たければ、体内に冷えがある。
② 最初は熱いが、だんだんと熱が軽くなるのは、熱が体表面にある。
③ 長く按じていると、熱が強くなっていくのは、臓腑に熱がある。
④ 肌の表面だけが熱くて、熱が内側から上がってこないのは、虚労があって、からだが弱っている。
⑤ 肌がしっとりとしていれば、からだの水分(津液)の損傷はない。
⑥ 乾燥しているのは、津液 の不足か停滞がある。
⑦ 乾燥してざらついているのは、お血 がある。
⑧ 強く按じたとき、肌の凹みがもどらないのは、津液のめぐりが悪く、むくみがある。
⑨ 手の甲が熱いものは外邪 による発熱、手のひらが熱いものは内傷 による発熱。
腹診
日本では、按診の中でもとくに腹診が重視され、発達してきました。疼痛 の回でも腹痛を部位別にしていましたが、腹診ではさらに細かく分けてチェックします。もちろん毎回すべて按診するわけではなく、患者さんの症状を聞いたうえで、診るべきところを診る感じです。
↑のように、腹診する部位は、みぞおちを心下(しんか)、へその上を臍上(さいじょう)、へその下を臍下(さいか)、臍下の下を小腹(しょうふく)、小腹の両脇を少腹(しょうふく)、肋骨の下を胸脇(きょうきょう)、胸脇の下を脇下(きょうか)と呼びます。
① 腹満(腹部がはっている状態)
・ 拒按(押すと痛がり、押されるのを嫌がる状態) … 実証 で血や津液が停滞している。
・ 喜按(押しても痛みがなく、むしろ心地よく感じる状態) … 虚証 で気血が不足している。
② 胸脇苦満(きょうきょうくまん)
肋骨の下からみぞおちにかけて、はった感じや痞えるような感じのあるもの。ストレスによる肝鬱気滞 でよくみられます。
みぞおちを軽くたたくと、胃の中でポチャポチャ水音のするもの。脾の変調 で、水分代謝が悪くなっています。
みぞおちに痞えた感じがあって、押すと痛みや押し戻すような抵抗があったり、硬いものが触れたりするもの。脾胃や大腸・小腸など、消化器系に異常があります。
⑤ 小腹不仁(しょうふくふじん)、
小腹部の筋力がなく、押すと抵抗感なく凹んでしまう状態を小腹不仁と言い、腎虚 で生じます。
⑥ 少腹急結(しょうふくきゅうけつ)、小腹硬満(しょうふくこうまん)
左少腹部が硬くはって押すと強い痛みを感じるものは少腹急結、小腹部が硬くはって押すと痛みや抵抗感のあるものは小腹硬満と言います。これらは、お血
によるもので、婦人科系疾患の疑いがあります。
⑦ 心下悸(しんかき)、臍上悸(さいじょうき)、臍下悸(さいかき)
腹部大動脈の拍動を、みぞおちで触れるものを心下悸、へその上で触れるものを臍上悸、へその下で触れるものを臍下悸とそれぞれ言います。心の変調 によって、血のめぐりに異常があります。
腹診は、腹部の緊張の度合いを診るため、あおむけで両脚を伸ばした状態で行います。西洋医学では、腫瘍など実体のあるものを診るために、両ひざを曲げた状態で行うことが多いですね。でも、昔のお医者さん、戦前・戦中の教育を受けた方は、東洋医学の腹診に近いことをされていたように思います。西洋医学でも、十分応用は可能だもの。
一天一笑、今日もいい1日にしましょう。
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