おはようございます
東洋医学の弁証論治のファーストステップ、四診(診察法)に入ります。四診とは、望診(ぼうしん)、聞診(ぶんしん)、問診(もんしん)、切診(せっしん)の4つ。まずは望診(視診)からいきますよ。
望診でみるものは、全身の状態と顔が中心。西洋医学でも同じかと思いますが、患者さんが診察室に入ってくるときの様子が望診のスタートです。目で見える範囲のものすべてがチェック項目となります。たとえば、体格、体型、姿勢や歩き方など。
その後、椅子の座り方、ベッドに横たわったときのからだ全体の様子。さらに、症状を訴える間の目の動きや身振り手振りの様子、顔つき、顔色、髪のつや、目鼻口耳の形や色、そして、もっとも重要な情報となる舌の状態をみていきます。場合によっては、鼻水や痰、尿や便の状態をみることもあります。
望神
望神とは、精神状態、意識がはっきりしているかどうか、動作が調和しているかどうか、反応が鋭いか鈍いかなどを観察すること。中でも注意するのは「目」です。目には神気(→No.24 )の状態が反映されやすいから。たとえ出ている症状が重篤でも、目に光があれば回復する可能性が高くなります。
① 得神(とくしん)
精気が充実して、神気が旺盛な状態。目が輝いて生き生きと活発によく動き、精神状態もはっきりとしていて、反応もよく、言葉も明瞭。正気(→No.20 )も充実していて、臓腑の衰弱がなく、症状が重くても、予後良好となることが多いです。
② 失神(しっしん)
目の光が弱く、生気が感じられません。反応が鈍い、呼吸が弱い、ひどいときは意識が混迷し、卒倒したり、手が宙を舞ったり、失禁したりします。正気が損傷しているため、病状が重くなりやすく、注意が必要です。
③ 仮神(かしん)
病気が重く長引いたり、精気が極度に衰弱したりすると、弱々しくなっていたのが突然活発に話しだすことがあります。また、精神的な衰弱がひどく、意識もはっきりしていなかったのに、急に頬に赤みがさして元気が回復したかのようにみえることがあります。一見よさそうですが、陰陽が拒絶しあって、離れようとしているときにおこる現象で、「残灯復明」と呼ばれる危険な兆候です。
顔の望診
一般に顔色がよく、つやがあれば、気血の衰えも少ないと判断でき、治癒しやすく、予後も良好です。顔色がくすんで暗く、やつれていれば、精気が衰弱していて、予断を許さない状態です。
顔の部位ごとに関係する臓腑が決まっています。それぞれの部位に異常がないかどうか、たとえばそこだけカサカサしているとか、そこにしょっちゅう吹き出物ができるとか。色については、日焼けしたとか、ぶつけて青あざができたとか、原因がはっきりしているものは除きます。
①庭 … 顔面
②眉間の上 … のど
③眉間の中央 … 肺
④眉間の下(鼻根) … 心
⑤心部の下(鼻背) … 肝
⑥肝部の左右 … 胆
⑦肝部の下(鼻尖) …脾
⑧脾部の左右(鼻翼) … 胃
⑨人中 … 膀胱、子宮
⑩頬の中央部(鼻尖の高さより上) … 小腸
⑪小腸部の下 … 大腸
⑫大腸部の左右 … 腎
病色の基本
青色 … 寒邪が侵入して気血が滞っている。寒証、痛証、血お証、驚風に現れやすい。
赤色 … からだに熱がこもってのぼせている。熱証に現れやすい。
黄色 … 脾の変調があり津液(水分)が停滞している。虚証、湿証に現れやすい。
白色 … 気血の不足あるいは停滞がある。虚証、寒証、血虚証に現れやすい。
黒色 … 腎が冷えていて気血が停滞している。腎虚証、寒証、痛証、痰飲証、血お証に現れやすい。
病的な顔色(顔全体の色合い)
顔色蒼白(そうはく;青白い状態) … 裏寒証
顔色紅(こう;紅潮している状態) … 熱証
顔色萎黄(いおう;黄色っぽくて光沢がない状態) … 脾虚証、血虚証
顔色晄白(こうはく;白くて光沢がない状態) … 陽虚証
顔色黧黒(れいこく;どす黒い状態) … 腎虚証、血お証
基本となるのは体調のよいときの自分の顔色です。ふだんより顔色がすぐれない場合、色合いがどう違うかをみることで、どこの調子がよくないのかを予測できます。実際の診断では、顔だけなく、ほかからの情報も加味して、総合的に判断しますが、朝顔を洗ったあとの体調管理チェックに使ってみましょう。たとえば、いつもより顔色が黄色っぽくて光沢も少なければ、脾の状態が万全ではない。食べすぎ・飲みすぎや偏食がなかったかどうか、考えてみてくださいね。
一天一笑、今日もいい1日にしましょう。
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