東洋医学講座 No.64 問診 睡眠 | 春月の『ちょこっと健康術』

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「いいかも?」というものをお持ち帰りくださいませ。

おはようございます ニコニコ


暖かで穏やかだった週末から一転、昨日は冬寒の雨でした。これで、今日はまた暖かくなり、この週末はまた気温が下がる。3月の気温変化 と似たようなパターンが、今月も繰り返されそうです。体調管理に気をつけてくださいね。


東洋医学の問診、寒熱疼痛 に続いて、今回は睡眠について。睡眠にも、からだの陰陽バランスが影響します。問題視されることが多いのは、もっぱら不眠のほうですが、睡眠不足がないのに眠くて、時間と場所を選ばず眠ってしまうのを嗜睡(しすい)といって、こちらも病気の徴候としてとらえます。


1 不眠


なかなか寝つけない、眠っても目がさめやすい、一度目をさますと眠れなくなる、小さな物音でもすぐ目をさまして安眠できない、熟睡感がないなど、不眠の症状は西洋医学の分類とほぼ同じです。古典には、「目不瞑」、「不得眠」、「不得臥」、「不寝」などと書かれています。


一過性の不眠、たとえば何か緊張することがあった、興奮することがあった、考え事をしていた、外の音がうるさかった、異常に暑かった・寒かったなどで眠れなかったものは、もちろん除きます。また、発熱、疼痛、咳や喘息などがあって眠れない場合は、それらの症状に対処して、不眠としては扱いません。


不眠は、何らかの原因で、 が蔵する が不安定となったときに生じます。この状態を心神不安といいます。心神不安を生じやすい病証は次の4つ。


① 心脾両虚 … 心血虚脾気虚 によって、心が十分に栄養されない状態

不眠症状: なかなか寝つけない、夢を多くみる、目がさめやすい

随伴症状: 動悸、自汗顔色萎黄 、胃の痞え感、疲労感

手当のツボ: 三陰交神門 、脾兪、心兪


② 心腎不交 … 腎陰虚 によって、心と腎の関係 が失調して、心火亢進 を生じた

不眠症状: 胸がモヤモヤして眠れない、少し眠ったと思うとすぐ目がさめる

随伴症状: 手足や顔のほてり、ちょっとしたことにすぐ驚いてドキドキする、盗汗 、めまい、耳鳴り、のどの乾き

手当のツボ: 太渓、腎兪神門 、心兪


③ 痰熱 … 長期にわたる食滞によって、内火 が生じ、心神に影響した

不眠症状: 眠りが浅い、よく目が覚める、夢を多くみる

随伴症状: 胸が苦しい、胃の痞え感、ゲップがよく出る、めまい

手当のツボ: 豊隆内関中かん、天枢


④ 肝火亢進 … 肝鬱気滞 によって、肝火が生じ、心神に影響した

不眠症状: なかなか寝つけない

随伴症状: 頭痛、めまい、胸や脇の脹痛 、目が赤い、イライラしやすく怒りっぽい、、耳鳴り、口が苦い

手当のツボ: 行間、太衝 、肝兪、胆兪


2 嗜睡


昼夜を問わず眠りたがる、声をかけるとすぐ目ざめるが、すぐにまた眠ってしまうもので、傾眠ともいいます。古典には、「好臥」、「嗜臥」、「多臥」、「善眠」などと表現されています。熱病や慢性疾患末期の昏睡とは別物。


嗜睡は、おもに陰盛陽虚 によって起こります。陰陽のうち、陽が動的で、陰が静的であるので、陰が強ければ、からだを休ませる方向に働くからです。


① 湿邪困脾 … 湿邪 が侵入して、脾の機能失調を生じたもの

特徴: 肥満している人に多くみられる

随伴症状: 食欲不振、からだの重だるさ、痰が多い、便がゆるい

手当のツボ: 豊隆中かん 、章門、公孫


② 脾気虚/脾陽虚  … 虚弱体質、病後、老化によるもの

特徴: 食後に眠くなる

随伴症状: 倦怠感、疲労感、息切れ、食が細い、自汗 、手足の冷え、顔色萎黄または晄白

手当のツボ: 足三里関元百会 、脾兪


一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


春月の『ちょこっと健康術』-チューリップ


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