東洋医学講座 No.68 切診 脈のとり方 | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます ニコニコ


東洋医学の診察法、四診のうち望診(望神と顔の望診子どもの指紋診舌診(舌質)舌診(舌苔) )、聞診(におい )、問診(寒熱疼痛睡眠飲食二便(大小便)月経 )を終えました。今週から切診に入り、3回に分けて、脈診(2回)と按診をお届けします。


脈診は、舌診とともに、これぞ東洋医学!という診察法です。とはいうものの、実は、西洋医学の医師たちも、今ほど血液検査やMRIのような診断が発達していなかったころは、東洋医学で診るほど細かくはないにしても、必ず舌と脈は診たものですけどね。


1 脈をとる部位


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手首の近く、親指側の橈骨(とうこつ)が出っ張っているところを(かん)、その手のひら寄りを(すん)、ひじ寄りを(しゃく)といいます。よく脈拍数をはかるときに指をあてる場所で、橈骨動脈の拍動部になります。それぞれに臓腑とからだの部位が、↑図のように対応しています。


2 脈のとり方


① 患者の姿勢

すわらせるか、仰向けに寝かせ、腕と心臓を同じくらいの高さにして、手のひらを上向きにします。


② 指の当て方

まず中指で橈骨の出っ張りを探してを定め、人差し指をに、薬指をに当てます。指を置く間隔は、患者の身長に合わせて、広げたり狭めたりします。大柄な男性の鍼灸師が、小柄な女性の脈をとるのは、ちょっと苦労します。


③ 指の力加減

脈に当てる指の力を3段階に分けて、脈の状態を診ます。

1) 浮取(ふしゅ) … 軽く皮膚に当てる

2) 沈取(ちんしゅ) … 力を入れて骨の近くまで沈める

3) 中取(ちゅうしゅ) … 浮取沈取の中間

寸・関・尺の3部に対し、それぞれ浮・中・沈の3候があるため、これを合わせて「三部九候」といいます。


④ 脈象

脈に当てた指先から感じとるのは、脈拍の形象であり、これを脈象と呼びます。脈の速さ、リズム、脈打つ力の強弱、波の幅、脈が現れる深さなどを包括したものが脈象となります。端的にいえば、脈から受けるイメージです。


3 正常な脈象


正常な脈象を「平脈」または「常脈」といいます。一呼吸の間の拍動回数を至数(しすう)といいますが、平脈の場合は四至で、1分間で60~80回くらい。脈象は、リズミカルで力があり、速くもなく、遅くもなく、大きくもなく、小さくもない。寸関尺のどこでも脈に触れることができる状態です。


年齢、性別、体質、精神状態、環境などによって、生理的な範囲での脈象の変化は生じます。たとえば、年齢は低いほど速く、若い男性は力強く、年を取れば弱く、気分が高揚すれば強く、空腹時には弱いといった具合です。四季の変化の影響も受けます。


春 … 弦脈(琴の弦をはじくような脈)に近い状態

夏 … 洪脈(波が押し寄せるような大きな脈)に近い状態

秋 … 浮脈(浮取でとれる、沈取すると相対的に弱くなる脈)に近い状態

冬 … 沈脈(浮取や中取では触れられず、沈取して初めて感じられる脈)に近い状態


こうした生理的な変化を考えて、病気の脈と鑑別する必要があります。ということで、次回は病脈についておとどけします。


一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


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