他人のミスをあげつらうのは多少気が引けるが、これはひどい。米アップルの新型スマートフォン「アイフォーン5」に搭載された地図のことだ。21日に発売された直後、次々と間違いが指摘され、世界中から苦情が殺到しているらしい。
▼地図はアップル自身が開発したのだという。お膝元の米国では首都のワシントン記念塔が数百メートルも南へ「移動」している。英国ではシェークスピアの生誕地の町が消えてしまったそうだ。だが日本についても負けず劣らず、強烈な間違いがある。
▼東京の羽田空港がなぜか、大手製紙会社の所在地になっている。そうかと思うと皇居の真ん中に千鳥ケ淵公園が引っ越し、2つの美術館が建っている。普段からスマホの地図が頼みという人たちにとって頭の中が「?」だらけになることだろう。
▼デタラメの原因はまだよく分からない。ただ日本について言えば、製作者の日本への無関心さにある気がする。その歴史に少しでも関心があれば、天皇陛下のお住まいに美術館が同居するわけがないことはすぐ分かる。ハングルによる公園の表記があるのも理解に苦しむ。
▼関心といえば米議会では最近、中国の尖閣攻撃への危機感を持つ議員が増えたという。だがそれは政治家で、欧米の一般国民がどこまで関心を持っているかとなると心もとない。地図のハングルでも分かるように日本と韓国、中国との区別がつかない人も多いのではと心配になる。
▼中国や韓国もそんな国際社会の無関心さに乗じてきた面もあった。それなら日本は、もっと正確に事実を知ってもらう努力が必要である。だがそれ以上に大事なのは、日本人自身が今以上に日本の歴史や領土に対し関心を持つことだ。