47.「矢に学ぶ」⑦矢になる
「40.的中は矢から学べ」で説明しましたように、矢所が安定しない原因は、会から離れの瞬間までの矢の動きを注視することで学べることが多くあります。会は一射の中の最終局面であり、総仕上げの段階となるので、ここを分析することが最も大切です。
今回は、矢に学ぶと言う考え方の最終回「矢になる」です。
ここは、精神論となるので、物理的な解説はいたしません。皆さんで受け止めてください。そして、呼吸に合わせて弓を引くことは忘れずに心がけてください。
「矢に学ぶ」
⑦矢になる(今回)
昔の考え方なので、今では違和感があるところもありますが、今回も原文のまま紹介したいと思います。
「矢に学ぶ」(原文)
S59.10.25
⑦矢になる
- 私達は弓を縦に張り分けることによって弓の中に割り込むつまり「弓になる」ことを学んできました。今度は私達は矢を横に水平に押し伸ばし、引き張って、矢を矢筋通りに乗せて行く。つまり「矢になる」という研究です。
- 射は最終的にどんな矢を射出しているかということです。そのために弓構、打揚、開き、大三、引取り、引込という順にそれぞれの段階を通して矢を大切に「育ててきた」のであります。そして最後に如何にうまく矢筋に乗せるかという決定的な課題に当面しているのです。
- これは、しかも一秒の二万分の一という極めて微細な高速度カメラでしか検出できない全くの一瞬に現れて消えて行く「離れ」という自然現象に対応できる「技」を如何に手得するかということです。だからこれは「神妙」の一語に尽きると思います。
- 「技は気に乗りて働く」と申しますように、繰り返し、繰り返し稽古して、心気に乗って働く「心技」を極めなければなりません。つまり「矢に乗る」と申しますのは、一射一射の矢に気迫を乗せることであります。一本の矢に自分の命を吹き込んでやる心意気が欲しいと思います。
当時の直筆のレポート
次回は、スランプの原因を物理的に考察する を予定します。
的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。
解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。
もくじ
37.的中を維持するには、お風呂でエクササイズという手がある